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⚠️注意⚠️ Twitter(X)で呟いた「なんやかんやあって神の缶詰知識使う事になったけど、適応するのに数十年単位で時間が必要でその間廃人化しちゃった空くんを介護する放浪者が見たいな〜!!」(意訳)という妄想から出来ました ※ご都合設定山盛りです ※一部身体捏造や設定捏造あり ※放浪者が物凄くデレています ※放浪者が滅茶苦茶デレています ※空くんが廃人 ※気持ち悪いモブ学者が出てきます ※誤字脱字、セリフの順番がおかしい等は見つけ次第修正致します。 大体何でも見れる方のみお進み下さい。
スメールの一角。町外れにある、こぢんまりとした小さな家。
そこには誰が出入りしているのか。スメールの一般市民だけで見れば、あまり知る者は居ない。が、学者らにとってはかなり有名な話だ。
今日も既にスメールの町が静まり返ったと言うのに、未だにその家の窓からは、暖かく小さな光が見えていた。
278日、経過観察 今日はいつもより調子が良いみたいだ。 食欲もあり、普段よりも多く食事を口にしてくれた。 呼び掛けに反応する事はなかった。 明日は少し遠くまで散歩に連れて行く。
……短く、淡白な文章。 これで構わない。そう言ったのは、他でもない草神クラクサナリデビその人だ。 この……日記は、旅人を引き取ると決めてから彼女が書いて定期的に見せて欲しい、と頼んで来た為に書いているものだ。
日記を書き終えて席を立つと、放浪者は部屋の隅に止めた木製の車椅子まで歩み寄る。
放浪者
誰にも聞かせた事の無いような、甘ったるい声。 態々しゃがんで、目線を合わせてまでそう言葉を掛けた相手は他でもない旅人──空だ。
その瞳には光が宿っておらず、彼はぼんやりと車椅子に座ったまま、何の反応も示さない。
ベッドの脇に車椅子を止め、その細腕には見合わぬ力で空を横抱きにし、ベッドへ優しく寝かせてやる。 ……前は日に日に軽くなる体重に、放浪者は何度肝を冷やした事か。 最近では放浪者の介護もあってか、体重は落ちなくなった。
今日も体重は変わっていない。ほっと小さく息を吐くと、同じベッドへ放浪者も潜り込んだ。 放浪者は愛おしげに空の頭を撫でる。 艶を失った、少しカサついた髪の感触でさえも放浪者にとっては愛おしいものだ。
放浪者
そう言って、優しく空の体を抱き寄せる。 こうしてやると、数分と経たぬ内に眠ってくれるのだ。
彼が眠ったのを確認すると、放浪者も眠りにつく。 彼の生活習慣に合わせる……いや、彼の生活習慣を崩さないようにする為だ。 とはいえ、何も放浪者まで眠る必要は無いのだが。 ふ、と何から来るのか分からない安心感に息を零すと、放浪者はスリープモードへ移行した。
カラカラ、小気味よい音が整備された道に沿って響く。
パルディスディアイまで訪れた2人は、池に沿ってぐるりと周囲を見て回る。 麗らかな陽射しに照らされた池は輝いていて、池に浮かぶ草花をより引き立てている。 珍しく湿っていない、柔らかな風が頬を撫でる感触は心地よい。 正に今日は絶好の散歩日和だ。
放浪者
……相変わらず、その問い掛けに答える声は無い。 傍から見れば独り言を言っているように見えるだろうが、事情を知ればそんな思考はすぐに排斥される。
放浪者
不意に放浪者の纏う気配が鋭くなる。彼の感情に呼応するかの様に風は冷え、太陽は雲に姿を隠す。
学者
放浪者
放浪者の目の前に立つ男は、彼と同じく因論派に所属する学者だ。 常ににちゃにちゃと厭らしい笑みを浮かべる彼は、何かと放浪者を『誘って』くるのだ。 例えばサークル活動。当然ながら最初から却下する気でいたし、心底どうでも良かった為、そもそも何のサークルに勧誘されたかすら放浪者は覚えていないが。
その他にもレポート研究、挙げ句の果てには飲み会や食事の誘い等、プライベートに干渉する様な誘いまで来るのだ。鬱陶しいったらありゃしない。 一回もその誘いに応じた事は無いのに、彼は何が目的なのか何度も何度も誘ってくる。
学者
放浪者
放浪者は嘲る様に口角を上げ、皮肉を込めて学者にそんな言葉を投げつける。 要は「病人を看病しているのが見て分からないのか」と言いたいらしい。 しかし相変わらず男は下心に塗れた笑みを絶やさず口を開く。
学者
放浪者
学者
放浪者
放浪者の顔から表情が抜け落ちる。 学者の男の物言いは直接的では無いが、時折空を侮辱する様な色を孕んでいる。 自分へ避難の目や侮辱が向けられる事は飽きる程あったし、そんなものを気にした事など無かったが、大切な者へそれが向けられると途端に腹が立つ。
放浪者自身はその感情がどういうものかイマイチ理解できていないが、それでも不快な事に変わりはなかった。
車椅子ごと踵を返すと、放浪者は盛大に溜息を漏らした。 行こう、と空に向けて小さく呟く様に伝えると、その男から逃げるかのように足早にその場を立ち去って行った。
スメールの夜は酷く冷え込む。
放浪者はそれを感じた事は無いが、以前空はよく「寒いね」と笑って言っていたのを思い出す。 人間は脆い。 少しの傷で病に罹り、死ぬ者もいた。 高い熱を出し、その後酷く冷たくなる者もいた。 なら、人は少しの寒さでも死んでしまうだろう。
そんな事をふと思い出してしまっては、放浪者は居ても立ってもいられず、夜にはせめて暖炉に火をつけてやる事にしたのだ。
パチリ、と暖炉の炎が弾ける音を背に、放浪者は空の食事の世話をしていた。
ふー、と口から空気が吐き出される。少し冷まして、丁度いいだろうと判断した彼はスープで満たされたスプーンを空の口に咥えさせる。
放浪者
今までの放浪者であれば、きっと照れ隠しに「あの英雄様が、乳飲み子みたいに甘やかされちゃって」なんて言葉をかけていただろうが。 今ではそれも、あながち間違ってはいないのだ。
僕が居なければ、彼は生きる事さえ出来やしない。
その認識は彼の、満たされなかった欲を満たしてくれた。 独占欲や承認欲求がせめぎ合った、醜い欲求を、今や空っぽで純粋な彼で満たすというのはなんとも皮肉なものだ。
少しして、空が口を開かなくなった。満腹だという合図の様なものだ。 まだ皿にスープは半分以上も残っている。 食事を残すのはいつもの事だが、普段は半分近くは食べてくれる。今日はどうにも食欲が無いようだ。
放浪者
あんな奴とは、昼間の学者の事を指す。 折角の散歩をあんなのに邪魔されたとなれば、誰だって気分が悪くなるだろう。
放浪者
放浪者も早く忘れたいのか、空を連れてそそくさとベッドへ向かおうとした。 その時だ。
コンコン、と玄関の方から音が響いた。
放浪者
空との時間を邪魔された事への苛立ちを覚えながら、放浪者は扉の方へと足を向ける。
玄関まで辿り着くと、少々乱暴に扉を開けた。
そこに立っていたのは、昼間の学者だった。
学者
放浪者
一瞬動揺したような表情を見せたが、相変わらずポーカーフェイスはお手の物な放浪者は普段のツンケンした無表情を顔に貼り付け、そう問い掛ける。
学者
放浪者
誰がそんな話を流したんだ、と言いたくなったが、一旦ぐっと堪えた。 相手が続けて話をしようとするので、そんな話はするだけ無駄だと放浪者は彼の話を遮って中断させた。
学者
放浪者
結局話は長くなりそうで放浪者はち、と小さく舌打ちをした。
それに気付いたのかいないのかは定かじゃないが、相手はよりその気味の悪い笑みを深くした。
学者
放浪者
学者
放浪者
学者
学者
放浪者
心底興味無さげに吐き捨てると、もういい加減うんざりしたのか、乱暴に扉を閉めた。
その衝撃で、家全体が少し揺れた様に感じる。 玄関から離れ、リビングへと戻る。 放浪者は行き場のない苛立ちを抱えるが、空に八つ当たりしてしまわない様、一度冷静になるべきだと考えた。
……ふと、空の姿が目に入る。
放浪者
どこかふらついた足取りで、空の目の前まで辿り着くと、その場にしゃがんで空の顔を見上げた。
放浪者
空の頬に指を滑らせながら、囁く様な甘えた声でそう問い掛ける。
それに対する返答は無い。
そんな事は分かっていたが、放浪者は数十秒間返答を待ち続けた。 遂に我慢の限界だと言わんばかりに、放浪者は空の唇に食いついた。
やはり、空の唇は乾燥していた。 かさついた唇を数回舐めて濡らし、激しく一方的な接吻をした。
もし、今空の意識が戻ったらどうなるんだろうか? もっと激しく唇を奪ってくれるだろうか。動けぬ自身の体に好き勝手に欲望をぶつけた事に失望するだろうか。
放浪者
そんな事、考えるだけ無駄だ。
唇を離して、放浪者は一人でその思考に結論を出した。
あとがき(この先物語には関係ないので苦手な方はブラウザバック推奨です)
まず、ここまで閲覧ありがとうございます。
そして、Twitterまとめの方に上げた作品の累計いいね数が100突破しました。ありがとうございます。
正直、普段は小説ばっか書いてるので、こういう会話形式のは楽ですがどう書けばいいかイマイチ分かっておりません。
全部手探りでやってるので、文とか色々変な所があるかもしれません。 一応見つけ次第修正しますが、まぁ、正直テラーにあげてる自分の作品って、自分で見返すのは黒歴史見てるような気分になって恥ずかしいんですよね。全部深夜テンションの思い付きで書き始めたものなので当然かもしれませんが。
なのでコメントで指摘して頂けると大変助かります。
今更ですが、この作品本来ならTwitterまとめの方にあげる予定だったのですが。なんか普通にシリーズ化しそうなので分けました。これでモチベ出なくて一話で終わりになったらすみません。まぁ、続きを期待して下さってる方は居ないでしょうし大丈夫だとは思いますが。
大変あとがきが長くなってしまいましたが、ここら辺で終了致します。 閲覧ありがとうございました。