若井side
俺は元貴を連れて家を出た。
涼ちゃんが俺たちの名前を忘れていたのなら。もう涼ちゃんは生きる意味を見失っている可能性が高いということ
あの忘命性障害のまとめサイトを見ていて本当に良かった
外に出て涼ちゃんの名前を叫びながら探し回る。
もしかしたら、その角から出てくるかもしれない
もしかしたら、この公園のベンチに腰掛けているかもしれない。
でも、どこを探しても涼ちゃんは見つからない。
元貴と涼ちゃんを探し続けてもう二十分が経過した
涼ちゃん、どこにいるの?
MOB.
女の人の悲鳴が聞こえてきた
人がざわざわとざわめく声も聞こえる。
なんの騒ぎだろう
人だかりに行ってみる。
MOB.
MOB.
最初はぼやぼやした声も、近づくたびにクリアになっていく。
誰かが、飛び降りた
もしかしたら、涼ちゃん…?
いや、違う
違うに決まってる
そんなことになってほしくない
人だかりの人たちをかき分けて飛び降りたであろう人を見る
若井.
綺麗な顔をして、目を閉じている。
その人は間違いなく、Mrs.GREEN APPLEの藤澤涼架だった
もう、手遅れだった?
いつから道を間違えた?
いつから間違えていた?
涼ちゃんの頭からは沢山の血が出ている
その血は止まる気配はなく、地面に血溜まりを作っていく
ピーポーピーポー
呆然と地面に膝をつく俺に、救急車のサイレンが聞こえてくる
大森.
元貴の声も聞こえてきた
大森.
それから、涼ちゃんはやってきた救急車に乗せられ、近くの病院に搬送された
俺たちは急いでタクシーに乗って、涼ちゃんの搬送先の病院に行った
無事であってほしい。
それしか、考えれなかった。
若井.
看護師.
病院に入って近くにいた看護師さんは、言葉を詰まらせた。
何かを必死に考えている
看護師さんは三十秒の沈黙の後、目を伏せながら言った。
看護師.
大きな衝撃が元貴と俺を貫いた
涼ちゃんが、死んだ?
大森.
大森.
看護師.
元貴の質問に答えてくれた看護師さんに、涼ちゃんがいる部屋を聞く
看護師さんはちゃんと答えてくれた。
その教えられた部屋に向かって元貴と歩く
部屋の扉を押すと、顔に布がかけられた涼ちゃんが横になっていた
布をどかすと、さっきと同じ綺麗な顔で目を閉じている涼ちゃんがいる。
視界がぼやけてきた
目に留めきれなかった涙が溢れて涼ちゃんの頬を濡らす
大森.
大森.
元貴が涼ちゃんにしがみついた。
俺も、堪えきれなかった
若井.
若井.
二人の涙が混じってベットを濡らしていく
もう、涼ちゃんの笑顔を見れなくなった
もう、涼ちゃんの綺麗で繊細な音色を聞けなくなった
涼ちゃん、ごめんね。
あのとき、涼ちゃんに忘命性障害なのか、俺が聞けていたら。
Mrs.GREEN APPLEを抜けると言ったあの時、 涼ちゃんを無理矢理にでも止めて話していたら。
あのとき、もうちょっと早く涼ちゃんを探していたら。
涼ちゃんは、こんなことにはならなかったのに
涼ちゃんは、死なずに、すんだのかな
涼ちゃんは、死んでしまった。
世界の中、どこにも涼ちゃんはいなくなった
広い地球の中、どこにも涼ちゃんはいない。
どこかにいても、いいのにな。
涙でぼやける視界の中、俺は
“今までありがとう”
涼ちゃんの声を聞いた気がした。
記憶をなくした君は BAD END.
こんにちは✨
1000いいねありがとうございます😭 アンケートにも沢山答えてくれて嬉しいです✨
次回はハッピーエンドです、多分今週末に出すんじゃないかな…
楽しみに待っててくれると嬉しいです👍
この作品もいいねと感想よろしくおねがいします🤲
それではまた!
コメント
18件
ハッピーエンドめっちゃ楽しみです!
これからお出かけすると言うのに 作品を見てしまった…… 涼ちゃんがどれだけ愛されてるか 分かるこの作品、最高です( ; ; ) そして、涙腺崩壊です
.·´¯`(>▂<)´¯`·.悲しい……。