あれは僕が6歳になったある日のこと、
ノアの父
お前も、家にいるだけなんだから少しは機嫌くらいとれ!
ノアの母
家にいるだけなんて!!あんたが家事してくれるなら働きたいわよこっちも!!
お父さんとお母さんの仲が絶望的に悪くなった。
僕はドアの隙間から毎日毎日、
親が喧嘩し合うのを見ることしかできなかった。
ノア
(僕が産まれてなかったら、お母さんも少しは自由だったのかな
今思えば、6歳なりによく理解できていた方だと思う
その日僕は、1人で夜に外へ出た。
外はとても静かだった。
親の怒鳴り声すら聞こえない。
平和だった
ノア
…綺麗。
あの日が、僕が初めて空に星を見た日だ
家を出て1年
一年生きてこれたのは、売店みたいなのをしてるおばちゃんのおかげだ
僕は今7歳、
あの日僕の心に穴をあけた寂しいという感情を
別の感情で隠すかの様に、
僕はポケモンの育成に力を入れた。
ノア
…ね、シャンデラ
ノア
散歩、行こっか
初めて捕まえたポケモンはシャンデラ、
僕は夜が好きだった
シャンデラも、夜が好きだった
夜に活動するゴーストタイプが、好きだった
ノア
(静かだ…
池の辺りに立って、月を眺める
ノア
今日は満月だね、
と、声をかけると、シャンデラは小さく音を立てて頷く。
ガサッ…
草むらから音がした
ポケモンの移動する音とは違う、
人の足音
ノア
誰かいるの、?
草むらに目を向け、尋ねる
スグリ
わやじゃ…見つかった…
ノア
…?
僕が見たのは、星みたいに輝いて見える目をもった
同い年の男の子だった。