4人の幼馴染

数年前

この頃から、私達はずっと一緒だった

いつも集まっている場所は飽きた私たちは

遠いところまで行って

見たことがない場所まで来た

いつも持ってくる鞄から

見慣れたカメラを取り出す

そう、私はよく写真を撮っている

何かあったら、必ず撮って…

…いや、ほとんど毎日撮ってるかな

それぐらい、カメラを愛用している

3人全員がピントが合うように

しっかりとした角度で

それでも、綺麗な花も目立つように意識して…

カシャッ

ジャーンと、みんなに撮った写真を見せる

たくさん写真を撮ってきたからなのか

だんだんと撮るのも上手くなってきたと自分でも実感している

チラッと視線をyanくんに向けると

yanくんがちょうど声を出す

胸がドキリと音を鳴らして、そっと目線をずらす

口元が自然と緩んでいく

数年前の懐かしい光景を思い出して

思わずため息をつく

あれから数年経った今も

まだ4人での交流は続いている

yanくんと同じクラスになって

jpとnaさんとは離れてしまった

だから、よくyanくんと2人で過ごす時間が増えたけれど

まだ、あの頃と同じように

yanくんに対する、あのドキドキした気持ちなどは

まだ、変わらない

なぜ、yanくんだけなるのか

自分でもわからない

そう、私たちは高校3年生になって

本格的に進路について考えていかないといけない時期になった

あぁ…そっか

ゲーム好きだったんだっけ

…yanくんがそうなら、私も…

…何考えてんの、私

yanくんが嬉しそうに微笑んで

私もそっと安心する

今はまだ、笑ってられるけど

いつかきっと…

3月

高校生活も、もうそろそろ終わりの頃

なんの意味もなく、2人で集まって

今までの思い出を語り合う

そっと後ろを振り向くと

私たちを包むような、大きな桜の木が生えている

いつも通り鞄からカメラを取り出し

慣れた手つきでパシャッと写真を撮る

写真を撮り終えた音がしてから

そっと撮れた写真を見る

戸惑いながらも、控えめなピースをするyanくん

ちょっと貸してよと言われて

そっとカメラを渡すと

無理やりカメラに私を写してくるyanくん

パシャッ…

手で目を隠して

指の隙間から、チラッとyanくんへ目線を向けると

じーっとカメラを見つめていた

そっと手を離し

yanくんの顔を覗き込む

撮れた写真を自信満々に私に見せてくる

ぷくっと頬を膨らます

そう言って、カメラを私に返す

そう考えると、なんだか寂しい

何も言えなくなってしまった私を見て

yanくんが優しくふふっと笑う

yanくんがぐいっと私に近づく

yanくんが近づいてきて、胸がドキドキとうるさくなるし

顔もなんだか熱い気がする

携帯を片手に持って上に上げる

とりあえず笑ってピースをする

パシャッ

目線だけを上に上げて、yanくんと目を合わせる

yanくんの顔が赤くなり、驚いたように目を開けて、そっと離れる

スマホに写真が映し出される

yanくんと、私だけが写っている写真

あの日の放課後も、同じような話したけど

卒業が近くなった今、そういう話をすると

…もう…あの頃みたいに笑えない

チラッとyanくんの方へ顔を向け

無理やり口角を上げる

覚悟を決めたような顔をして、口を開く

目をしっかりと捉えて、じっと見つめてくれて

そんなこと、思ってくれてただなんて…

涙腺が緩み、目に涙が溜まる

溢れ出てくる涙をyanくんが拭き取ってくれる

あぁ…かっこいいな

あぁ…本当に

好きだな

自然と、思ってしまった気持ち

まだ恋だって気づいてないのに

まだ好きだなってわかってなかったのに

……いや、本当はずっと

自分でもこの気持ちの名前をわかっていたのかもしれない

でも、今の関係性が壊れるのが怖くて

この気持ちを、無理やり胸の奥に押し込んで

私、ずっと前から、yanくんのことが好きなんだ

そう気づくと、この気持ちを吐き出してしまいたくなって

そうしないと、気持ちが落ち着かなくて…

気づいたときにはもう…口から言葉を出していた

yanくんが大きく目を見開く

yanくんがカメラのことって思った瞬間

ほんの少しだけ悲しそうな表情になる

違うよ、あなたに伝えたいんだよ

だなんて、かっこいい言葉言えないし

ずっとずっと、大好きだったよ

だなんて、可愛い言葉言えないし

あぁ…この想いは

いつ終わるのだろうか

もしかしたら、永遠と続くかもしれない

好きだよ

そして

大好きでした

etさんと、なんとなく2人で集まって

綺麗な桜の木の下で話す

みたいな、他愛のない話をしたり

etさんが、あまり写真を撮られたことがないらしくて

俺がetさんの写真を無理やり撮ったりして

パシャッ

写真が撮れたから

etさんよりも先に写真を見る

近くでetさんの顔があって

etさんの顔がよく見える

だから、etさんの顔を見て、思わず

って、思ってしまった俺は

どう、なんだろうか

どう、思われるのだろうか

etさんとは、幼馴染で、小さい頃から一緒で…

そんな絶対恋愛対象じゃない男に、可愛いって思われるなんて

……気持ち悪いって、思うのかな

…そう…だよな

…この可愛いって思った気持ちは…気のせいだ

好きとかじゃない

そう、思っていたはずなのに

そう言って、etさんが俺と目を合わせる

etさんが上目遣いで俺を見つめてきて

心拍数が上がり

どんどん顔に熱が集まってくる

生まれて初めての感情で

どう言葉で表せればいいのかわからなくて

…まさか…

と、思って

でも、同時にこの気持ちに否定する俺がどこかにいて

そう…だよな

あんな気持ちなわけ…

だって俺とetさんは

なんでも話せる、ただの幼馴染なんだから

そう自分に言い聞かせて

無理やり納得させて

もう…この気持ちについて、考えるのはやめようと

きっと…もう二度と、あんな感情になることはないって

思っていたのに

その言葉を聞いた瞬間

さっきよりも、ドキドキと胸の音が大きくなる

それと同時に、さっきの自分が考えていたあの感情の名前も思い出す

好き？

誰が？

etさんが

誰を？

俺のことを？

…いや…カメラのことを？

…確かに、etさんとはずっと前からの幼馴染だし

etさんが俺に対して、そんな気持ちを抱いているわけがないか

別に俺、etさんのこと好きじゃないはずなのに

カメラじゃなくて

俺がよかったな

カメラなんかより、俺のことを見ててほしかったなって

思ってしまったんだ

そう思ってしまったこの気持ちは

嘘じゃない

てことは、俺がさっきetさんに抱いてしまっていたあの気持ちの名前も

嘘じゃない

ずっと前からの、なんでも話せるただの幼馴染だからありえないって

思っていたのに

etさんのこと

好きなんだな