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交差するオモイ

第7話 - 交差するオモイ

2021年06月22日

#恋愛

#青春恋愛

菜都

伊織雄飛

咲希、落ち着いた？

東雲咲希

うん、ごめんね

東雲咲希

ずっと傍に居てもらって

伊織雄飛

気にしないでよ

伊織雄飛

僕がそうしたかっただけ

東雲咲希

ありがとう

伊織雄飛

…ねぇ、咲希

東雲咲希

なに？

伊織雄飛

まだ樹のこと好き？

東雲咲希

…うん

東雲咲希

大好きだよ

東雲咲希

好きで好きでどうしようも無いくらい

伊織雄飛

…………

伊織雄飛

だよね、そうだよね

伊織雄飛

(僕なんかが適うわけ…ないよね)

東雲咲希

私、これからどうしよ

東雲咲希

樹には｢好きか分からない｣

東雲咲希

何て言われちゃったし…

東雲咲希

あ~、ほんと消えてなくなりたい

伊織雄飛

…ダメだよ

東雲咲希

え？

伊織雄飛

咲希が消えたら僕はどうしたら良いの

伊織雄飛

僕だって咲希が好きだ

東雲咲希

私なんて居なくても同じ

伊織雄飛

そんな訳ない！

伊織雄飛

僕にとって咲希は太陽なんだ！

伊織雄飛

いつも明るく周りを照らしてくれて

伊織雄飛

綺麗で、優しくて…

伊織雄飛

太陽みたいに輝いてて！

伊織雄飛

たった1人の存在なんだ…

東雲咲希

伊織…

伊織雄飛

僕じゃダメなの…？

伊織雄飛

咲希を幸せにしたい

伊織雄飛

泣かせたりなんかさせないよ！

東雲咲希

ありがとう、伊織

東雲咲希

でも…

東雲咲希

私には樹しか居ないの

伊織雄飛

…………

伊織雄飛

ごめん、感情的になっちゃって

東雲咲希

良いの

東雲咲希

気持ちは痛いくらい分かる

東雲咲希

ねぇ、これからも相談に乗ってくれる？

伊織雄飛

うん、もちろんだよ

東雲咲希

ありがとう

伊織雄飛

そうだ、1つ言っておかないとね

伊織雄飛

…僕の隣はずっと開けてあるから

東雲咲希

…うん、分かった

翌日

白瀬美麗

(何か…身体だるい…)

白瀬美麗

(熱あるのかも…)

白瀬美麗

(計ってみよ…)

白瀬美麗

…………

白瀬美麗

うわ、37.6℃…

白瀬美麗

(学校に連絡入れておこう…)

15時頃…

ピーンポーン

白瀬美麗

(誰だろ…？)

白瀬美麗

(あ、咲希だ…！)

白瀬美麗

は~い

インターホン越しから声が聞こえる

東雲咲希

美麗、大丈夫？

白瀬美麗

うん、もう熱もないし平気！

東雲咲希

良かった！

東雲咲希

あ、差し入れ持ってきたんだけど…

白瀬美麗

え、ありがとう…！

白瀬美麗

今開けるから待ってて！

…………

白瀬美麗

さ、入って入って！

東雲咲希

ありがとう！

白瀬美麗

私の部屋行こっか

東雲咲希

うん

美麗の部屋

東雲咲希

これ、差し入れ！

白瀬美麗

わぁ！ゼリー！

東雲咲希

そんなに喜んでくれるとは(笑)

東雲咲希

ゼリーなら体調悪くても食べられるかなと思って

白瀬美麗

ありがとう！ゼリー大好きなの！

東雲咲希

良かった！

東雲咲希

…………

東雲咲希

あのね、今日はお見舞いに来ただけじゃないの

東雲咲希

実は話したい事があって

白瀬美麗

なに…？

東雲咲希

…私、樹と別れる

白瀬美麗

えっ…？

東雲咲希

凄く悩んだの

東雲咲希

実際のところまだ大好きだし

東雲咲希

でも、樹は…

東雲咲希

きっと美麗が好きなんだよ

白瀬美麗

そんな…

白瀬美麗

私の為に別れることなんか…！

東雲咲希

勘違いしないでよね

東雲咲希

別に美麗の為じゃないよ

東雲咲希

私の為だよ

東雲咲希

このまま樹と付き合ってても

東雲咲希

私が辛いだけだし

東雲咲希

樹も縛り付けることになっちゃう

東雲咲希

私そんなの嫌だもん

東雲咲希

最後まで樹に付き合ってて良かったって思って欲しいしね

白瀬美麗

咲希…

東雲咲希

もう！何で美麗が泣いてんの

白瀬美麗

だって…だって…

東雲咲希

泣かないでよ

東雲咲希

泣きたいのは私の方なんだよ…？

白瀬美麗

ごめん、でも…

東雲咲希

何言っても無駄だよ？

東雲咲希

私、もう決めたから

白瀬美麗

…………

白瀬美麗

言って欲しい…

白瀬美麗

私に思ってること全部…！

東雲咲希

…良いの？

白瀬美麗

うん…

白瀬美麗

咲希だって、人間だもん…

白瀬美麗

そんな神様みたいに優しい人じゃ…ないでしょ？

東雲咲希

その通りだよ

東雲咲希

…じゃあ、言うよ？

白瀬美麗

うん

この頃にはすっかり涙は止まっていた

東雲咲希

正直言っちゃうと…

東雲咲希

今の美麗に凄く凄く嫉妬してる

東雲咲希

いや、嫉妬とかそんな次元じゃないかもしれない

東雲咲希

もしかしたら憎んでるくらいかも

東雲咲希

1度は美麗と友達辞めようと思ったくらいね

東雲咲希

だって、美麗はズルいよ

東雲咲希

こんなに綺麗で、繊細で

東雲咲希

優しくて、謙虚で…

東雲咲希

私の大好きな人を取っちゃうくらい魅力があって…

東雲咲希

美麗なんて大嫌い！

咲希はニコリと笑う

東雲咲希

これで全部…かな

白瀬美麗

…………

私は静かに頷く

不思議と咲希の発言に嫌な気はしなかった

東雲咲希

はい、次は美麗の番

白瀬美麗

え？私もやるの…？

東雲咲希

当たり前でしょ！

東雲咲希

ほら、早く！

白瀬美麗

えっと、じゃあ…

白瀬美麗

私は咲希の事が大好き

白瀬美麗

本当に大好き

白瀬美麗

心の底から大好き

白瀬美麗

だって、私に色々な出会いをくれたから

白瀬美麗

私に沢山の感情を教えてくれたから

白瀬美麗

私に色々な表情を教えてくれたから

白瀬美麗

私の…大切な友達になってくれたから！

東雲咲希

……！

白瀬美麗

咲希が私の事を嫌いでも大嫌いでも関係ない

白瀬美麗

私は咲希の事がずっと大好き！

白瀬美麗

…こんな…感じかな

東雲咲希

…………

東雲咲希

…美麗！

咲希は私に抱きつく

白瀬美麗

わっ…！咲希？！

東雲咲希

ごめん、ごめんね…美麗！

東雲咲希

私ずっと自分勝手だった…！

東雲咲希

美麗に自分の感情を押し付けてた…

東雲咲希

ごめん、本当にごめん…

白瀬美麗

咲希…

白瀬美麗

良いの、私は大丈夫

白瀬美麗

だって、咲希がやっと本音を言ってくれた気がするから…！

私もいつの間にか泣いていた

私と咲希は2人して子どものように泣きじゃくった

泣いて、泣いて、泣いて…

涙が枯れるくらい泣いた

気がつけば2人とも気絶するように眠ってしまっていた

…………

白瀬美麗

…………

白瀬美麗

(あれ、私寝ちゃってた…)

白瀬美麗

(もう19時…)

白瀬美麗

咲希、咲希、起きて

東雲咲希

ん…

東雲咲希

美麗…

白瀬美麗

私達、寝ちゃってた

白瀬美麗

もう19時だよ

東雲咲希

やば…早く帰らないと

白瀬美麗

送って行こうか？

東雲咲希

いや、良いよ

東雲咲希

美麗は熱出てたんだし

東雲咲希

安静にしてて

白瀬美麗

それ、あんなに泣きじゃくった後に言うセリフ？

東雲咲希

確かに(笑)

東雲咲希

…………

東雲咲希

油断したら横取りしちゃうから

東雲咲希

分かった？

白瀬美麗

…うん、分かってる

東雲咲希

なら良かった

東雲咲希

じゃあ、またね！

白瀬美麗

うん、また明日！

外に出ると冷たい空気が私を包み込んだ

東雲咲希

えっ…？！

東雲咲希

樹、何でここに？

結城樹

お前が美麗のお見舞いに行ったって伊織に聞いて

東雲咲希

わざわざ待ってたの？

結城樹

おう

結城樹

話してぇことあるんだろ？

東雲咲希

伊織から聞いたんだね

樹が静かに頷いた

東雲咲希

…………

東雲咲希

…私たち、別れよっか

交差するオモイ

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菜都

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