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衝撃のようなものが背筋に走り、目が覚めた。

硬いものの上で気を失っていたらしい。

全体的に部屋は暗く、テーブルの上の灯りだけが、

他の参加者の顔を見分ける手伝いをしていた。

左を見ると

小粋な角度でペレー帽を被った男が、右手に懐中電灯をぶら下げて座っていた。

あたしがそちらを見ていると、相手から声をかけてくる。

クリーチャー・ピアソン

よう

クリーチャー・ピアソン

俺はクリーチャー・ピアソン

クリーチャー・ピアソン

これに関しては、2回目だ

2回目。

このゲームはもう経験済みらしい。

クリーチャー・ピアソン

お前はどうだ?2回目か?

この男は、どこかしら自身のある顔つきで、あたしを眺め回した。

この手のやからは、あまり好きではない。

あたし

...

あたし

あなた

あたし

その風貌から見るに、役は...

クリーチャー・ピアソン

ああ、泥棒さ

クリーチャー・ピアソン

で、お前の名前は?経験者なのか?

あたし

初めてあった泥棒に自分の名前を言うほど、あたしは愚かじゃないわ

冷たくそう言うと、

クリーチャー・ピアソン

ケッ!

クリーチャー・ピアソン

美人のくせに、愛想が悪いときた!

クリーチャー・ピアソン

こりゃけったいだな

そう言うと、そっぽを向いてしまった。

すると今度は、右側から声がした。

フレディ・ライリー

僕が名前を教えても、き、君は教えてくれないのかい?

フレディ・ライリー

僕は、フレディ・ライリー。役は弁護士だ

あたし

ごめんなさい、あたし、自分の事を他人に話すのは好きではないの

フレディ・ライリー

そ、そうか、ならいいんだ

フレディ・ライリー。

弁護士。

神経質そうな細い眉に、スーツ姿。

小心者、臆病者という言葉を連想させる風貌だ。

その奥に、まだ人がいる。

エマ・ウッズ

エマ・ウッズです

エマ・ウッズ

役は庭師

エマ・ウッズ

ロケットチェアを破壊することが主な仕事になりますけど、精一杯がんばりますね!

あたし

よろしく、エマさん

麦わら帽子に、そばかすが特徴的な明るい顔。

庭仕事用のエプロンを下げている。

こういう子は、最初にとばされるか、しぶとく残るかのどっちかだろう。

そして、

あたし達の前に、一際大きなイスがあり、

巨大な影が、そこに座っている。

後ろ姿から判断するに、

彼はレオ・ベイカー。

復讐者のハンターだ。

・サバイバーは、5つの暗号機を解読し、ゲートを開いて脱出

・2人以上脱出で勝利

・ロケットチェアには、2回捕まると、荘園にとばされる

さあ、始めよう。

視界が暗くなった。

そして突然明るくなる。

あたし

う...

薄暗がりの中、

あたしは教会のような場所に立っていた。

あたし

ここは...

あたし

......とにかく、暗号機を探さないと

空を仰ぐと、

何本か、光るものが見えた。

あれが暗号機だ。

ハンターに見つからないようにして、5個解読しなければならない。

あたしは暗号機の方に走った。

あたし

ふぅ...

あたし

解読、苦手なのよね...

すると向こうから、

走ってくる音がする。

あたし

まさか、もうハンターが...!?

フレディ・ライリー

おーい

フレディ・ライリー

て、手伝いにきたよ

あたし

ああ、フレディ、あんたね

あたし

驚かさないでよ、まったく

フレディ・ライリー

そ、そんな事言わないでくれよ

フレディはあたしの乱暴な口調にたじろぎながらも、手伝ってくれる。

その手元を見て、息を飲んだ。

慣れた手つき。

速い。

その表情は真剣そのもので、

改めて弁護士なんだなぁということに気付かされる。

しばらくして、解読が終わった。

パッ、と、明るい光がつく。

フレディ・ライリー

ふぅ...

フレディ・ライリー

い、いこう。は、ハンターがきちゃうよ

あたし

...ありがと

フレディ・ライリー

え?

フレディ・ライリー

あ、ああ。こう見えても、べ、弁護士だからね

礼を言うなんて、あたしらしくない。

とその時。

エマ・ウッズ

きゃあっ

クリーチャー・ピアソン

うわぁあぁああっ

二人分の悲鳴。

慌ただしく走る音。

ハンターに、見つかったのだ。

あたし

あいつら...!!

フレディ・ライリー

た、助けに行こうか!?

見た目に反して度胸のある事を言うな、と思いつつ

冷静に考える。

あたし

いや、だめよ

あたし

もしあたし達が助けにいって

あたし

みんな傷を負ったら?

あたし

助けたのも、無駄になる

フレディ・ライリー

あ、ああ

あたし

だから、離れたところで、解読に集中しましょう

フレディ・ライリー

わ、分かった!

あたし達は走って、次の暗号機に向かった。

カチャカチャ…

カチャカチャ…

暗号機を解読する音だけが響き、

やけに静かなのが不気味だ。

2人でやると、大分解読が速い。

そこへ、

エマ・ウッズ

助けて下さい!

エマ・ウッズが転がるようにして、あたし達のところにきた。

あたし

あれ?あなた、ハンターに追われてたんじゃ...

エマ・ウッズ

はい、それで、1度捕まったんです。すみません...

あたし

まって、クリーチャーも一緒だったんじゃない?

エマは、うなだれるように頷いた。

エマ・ウッズ

私のかわりにクリーチャーさんがチェイスして下さって...しかも無理救助までしてくれて

あたし

じゃあ今、あいつは...

エマ・ウッズ

ロケットチェアに拘束されてます。すみません...っ!

深々と頭を下げるエマ。

だが、呼吸は荒く、背には深手を負っている。

それに気づいたフレディが、エマに駆け寄って治療し始めた。

エマ・ウッズ

ごめんなさい、ありがとうございます、フレディさん。ごめんなさい...

何度も謝罪を繰り返すエマ。

治療が終わると、いくらか顔色が良くなったように見えた。

あたし

仕方ないわ

エマ・ウッズ

私、救助してきます!!

突然の言葉に、あたしとフレディは絶句する。

あたし

あたし

待って、あなた

あたし

一度チェアに拘束されたんでしょ!?

あたし

なのに、また行ったら...

あたし

あなたは救助に向いてない。あたしが行く

そう告げて駆け出そうとすると、腕をつかんで引き戻された。

あたし

...もう、なんなの?

エマ・ウッズ

私の...私のせいで、クリーチャーさんが...

エマ・ウッズ

だから、お願いです!

エマ・ウッズ

私に助けさせて下さい

あたし

...

あたし

捕まっても知らないから

エマ・ウッズ

ありがとうございます!

エマは決意を固めた表情で、駆け出して行った。

あたし

さあ、解読の続きをしましょう

フレディ・ライリー

...っ

あたし

?どうかし...

言いかけて、目を見開いた。

ハンターが、こちらに迫って来ている。

あたし

うそ!?

あたし

チェアを守ってないの!?

そう言いながら走り出すと、

壁の隙間から、クリーチャーが拘束されているチェアが見えた。

そこには、

あたし

...パペットっ!

ハンターのスキルは、瞬間移動らしい。

これは厄介だ。

もう一度見ると、エマが走りより、

クリーチャーを助け出していた。

ほっとするもつかの間。

ドシュッ。

あたしのすぐ横を、攻撃される。

危うく当たるところだった。

あたし

くっ...!!

ハンターは無言で、追いかけてくる。

とりあえず、板を1枚倒しておく。

少し距離が離れた。

あたし

今のうち...!

ハンターの死角に回り込み、

完全に姿を消した。

ハンターが遠のいて行くのがわかる。

あたし

ふぅ...

今ので、フレディとはぐれてしまった。

あたし

1人で解読はきついわね...

そう独りごちて、歩き出した。

あたしはこのゲームに自ら参加した。

それはもう、産まれる前からの義務のようなもので

自分はこのゲームに参加すべきだと

なにかがあたしに知らせていた。

......。

経験者は、何人居るのだろう。

クリーチャー・ピアソン

お前...なにしてるんだ、こんなとこで

あたし

っ!?

あたし

クリーチャー...!

あたし

無事だったの?

あたし

エマさんは...

クリーチャー・ピアソン

無理救助してくれたよ

クリーチャー・ピアソン

エマも大丈夫だ

あたし

そう...

安堵すると、顔にでていたらしい。

クリーチャーがニヤリ、とこちらを見る。

あたし

...何よ

クリーチャー・ピアソン

いや、一見周りに興味なさそうなお前でも、気になるんだなぁ...と

あたし

そっ

あたし

それくらい、気にするわよ!

あたし

仲間、でしょ...?

クリーチャー・ピアソン

...っ!?

なぜか、クリーチャーが顔を赤らめた。

クリーチャー・ピアソン

...お前不意打ちかよ...かわいいな((ボソッ

あたし

え?

クリーチャー・ピアソン

い、いやなんでもねぇ

クリーチャー・ピアソン

とっとと解読しちまおうぜ!

あたし

そ、そうね

あたし

まだ1個しか解読出来てない...

クリーチャー・ピアソン

いや、俺とエマで1個解読したぞ

クリーチャー・ピアソン

それにさっき、フレディが1個解読し終えてた

クリーチャー・ピアソン

だから、残り二つだ

あたし

そうなんだ...

知らず知らず、仲間任せにしていたらしい。

あたしの罪悪感を感じて、珍しくクリーチャーが慰めごとを言う。

クリーチャー・ピアソン

これから、頑張りゃいいだろ

あたし

うるさいわね、言われなくてもそうするわ!!

クリーチャー・ピアソン

ったく、愛想の一欠片もねぇな

クリーチャー・ピアソン

そうとなったら行こうぜ!

あたし

そうね...

クリーチャー・ピアソン

...

あたし

あたし

何立ち止まってるのよ

クリーチャー・ピアソン

伏せろっ!

突然、クリーチャーに押さえつけられる。

あたし

ちょっと!!

あたし

何するの...

語気を強めようとして、息を飲んだ。

上手く逃げ仰せたと思って、すっかり油断していた。

あたし

ハンター...!!

クリーチャー・ピアソン

あそこに逃げるぞ!!

そう言ってクリーチャーは、教会の中に入っていく。

クリーチャー・ピアソン

先に登れ!

窓枠に、あたしを押し上げてくれた。

あたし

クリーチャー...!

クリーチャーはハンターとチェイスしていた。

軽い身のこなしようで、窓枠を器用に乗り越え、板でハンターを翻弄する。

その表情は、むしろ楽しんでいるようにも見える。

ふと、ハンターがくるりと向きを変え、あたしの方に向かってきた。

クリーチャー・ピアソン

おいっ!!

あたし

...っく

遅かった。

鈍い痛みが走り、声にならない叫びが喉をつく。

クリーチャー・ピアソン

走れ!出来るだけぐるぐるまわれ!

あたし

はぁ...はぁ...

クリーチャーが手を引いて、あたしを助けてくれる。

その背中に、ハンターのもつ長刃が振り下ろされた。

クリーチャー・ピアソン

っ!!

クリーチャー・ピアソン

あ...

風船にくくりつけられ、つれていかれるクリーチャー。

あたし

クリーチャーっ!

クリーチャー・ピアソン

早く逃げろ!

クリーチャー・ピアソン

俺のことはほっとけ!

クリーチャー・ピアソン

解読に集中しろっ!

...そんな訳には行かない。

あたしは他人と交わるのは嫌いだ。

でも、決して、他人が嫌いな訳では無い。

ましてや、自分を助けてくれた人間を見殺すようなことはしない。

するものか。

クリーチャー・ピアソン

バカっ!

クリーチャー・ピアソン

なんで付いてくる!?

あたしは、クリーチャーがロケットチェアに括りつけられるのを待って、壁に身を潜めた。

両手で円を描くように動かし、

特徴的な紋章を浮かび上がらせる。

それは形となり、壁に張り付いた。

ハンターが離れるのを見計らい、一気にゲートをくぐり抜け、ワープした。

クリーチャー・ピアソン

お前...

あたし

話は後!

あたしは素早く拘束を解き、クリーチャーを解放した。

あたし

はぁっ、はぁっ

クリーチャー・ピアソン

はぁっ...ぐっ...

ようやく、ハンターから大分離れたところに来た。

ここまで来れば、もういいだろう。

クリーチャー・ピアソン

はぁ...はぁ...

クリーチャー・ピアソン

お前...

クリーチャー・ピアソン

そうだったのか...

クリーチャー・ピアソン

っぐ...

あたし

黙って。治療するから

あたしは手際よく、クリーチャーに包帯を巻く。

沈黙が長い。

やっと、クリーチャーが口を開いた。

クリーチャー・ピアソン

お前...

クリーチャー・ピアソン

祭司だったんだな

あたし

......

クリーチャー・ピアソン

祭司という事は、姓はジルマン

クリーチャー・ピアソン

ジルマン一族の、末裔(まつえい)か

クリーチャー・ピアソン

名は、なんだ?

あたし

...フィオナ

あたし

...

クリーチャー・ピアソン

「神の導きで、この荘園にきた。」

クリーチャー・ピアソン

...だな?

そうだ。

あたしは、フィオナ・ジルマン。

役は、祭司。

神に導かれたのは、ある意味本当なのだ。

神と言うより、運命と言うべきか。

でも

誰も信じてくれない。

誰も気づいてくれない。

あたしは、ほんとに導かれたんだって。

他人に疎まれる。

だから最初から、あたしの方から

皆を避けていた。

正体を明かせば、嫌そうにされるのが分かってたから。

「嘘つき」

「戯言で人を惑わす宗教過激派組織が」

「来るな」

「付いて来るな!!」

今までそうやって生きてきた。

誰も信じてくれないから、あたしも誰も信じない。

あたし

...あなたもそう思ってるんでしょ?

あたし

あたしが、嘘つきのホラ吹き野郎だって...

クリーチャー・ピアソン

...思わねぇ

クリーチャー・ピアソン

思わないよ

あたし

え...

クリーチャー・ピアソン

お前は神に導かれたんだろ?

クリーチャー・ピアソン

だった、それでいいじゃないか

クリーチャー・ピアソン

お前は人を騙しても、惑わしてもいない

クリーチャー・ピアソン

お前が疎まれるようになったのは、先代のせいだろ?

あたし

クリーチャー...

クリーチャー・ピアソン

おっと、別に慰めてるわけじゃねぇからな?

クリーチャー・ピアソン

ホントのことを言ってるだけだ

あたしは一人じゃなかった。

...。

もう一度、信じてみよう。

あたし

ありがとう

あたし

クリーチャー...

あたし

クリーチャーっ!!

クリーチャー・ピアソン

あ?

ザシュッ。

ハンターが、いる。

見下ろしている。

あたし

嘘...なんでこんなに速くここまで...

あたし

そうか...パペット...

ミスだ。

そばにパペットがあり、瞬間移動出来ることに気づいていながら

また危険に晒してしまった。

クリーチャー...

信じよう、と決めたのに。

あたしがこんなだから、誰も信じてくれないんだ。

あたし

クリーチャー...ごめんなさい

あたし

あたし...

再び風船に括りつけられるクリーチャーを呆然とみやりながら、

あたしは心から謝った。

もう、助け出せない。

クリーチャー・ピアソン

フィオナ

クリーチャー・ピアソン

生きろよ...っ

あたし

...!!

あたし

クリーチャー...そんな...

クリーチャー・ピアソン

早く逃げろ!!

クリーチャーがロケットチェアに括りつけられるのを見て、やっとあたしの体が動いた。

もつれる足で、チェアから遠ざかる。

ついに。

つんざくような悲鳴が空気をビリリと裂き、

ロケットチェアが、飛ばされる音がした。

あたし

クリーチャー...

あたしは膝をついた。

仲間も守れない。

もう、信じてくれない...。

ハンターが近づく。

今まで正しいことをしてきただろうか。

そんな事を今考えても、仕方ない。

もう、遅い。

足音が近づく。

括りつけられる。

誰も来ない、よね...。

フレディ・ライリー

おおおああぁああっ!!

グギッ。

なにかがハンターに、体当たりした音がして、あたしは振り落とされた。

フレディ・ライリー

い、今のうち!

あたし

なんで...!?あなた、攻撃は出来ないでしょ!?

あたし

だって、弁護士...

言いかけて、フレディの腕を見てやめた。

ラグビーボールを抱えて、満足そうに笑っている。

フレディ・ライリー

こんな地図じゃ、や、役にたたないからね

フレディ・ライリー

検索箱をあさってきたよ

あたし

...遅かったわよ

フレディ・ライリー

ええっ

あたし

早く行くわよっ!

フレディ・ライリー

あ、はいっ

まだ大丈夫だ。

神はあたしを見捨ててない。

ヴーーヴーー

サイレンがなった。

フレディ・ライリー

あ、エマさんがゲートを開けてくれた見たいだね

フレディ・ライリー

解読は、き、君たちがチェイスしてる間に終わったよ

あたし

よかった...

あたし

これで脱出ね...!!

ゲート目掛けて、2人で疾走する。

その前に、誰かが立ちはだかった。

あたし

ハンターが来たわ!

あたし

フレディ、ここはあたしに...

フレディ・ライリー

ち、違う

フレディ・ライリー

ハンターじゃない

あたし

え?

フレディ・ライリー

え、エマさんだ

その通りだった。

エマが、形相でこちらを睨み付けている。

その後ろには、ハンター。

あたし

エマっ

あたし

どういうことなの!?

フレディ・ライリー

エマさん!?

エマ・ウッズ

...

エマ・ウッズ

レオ、今のうちにこいつらを!!

ハンターが迫ってきた。

間一髪のところで、攻撃をかわす。

あたし

なんでエマが、ハンターの味方をしてるの!?

フレディ・ライリー

わ、わからないよ

エマ・ウッズ

教えて欲しい...?

エマ・ウッズ

うふふ

エマ・ウッズ

私とレオは、

エマ・ウッズ

エマ・ウッズ

夫婦なの。

あたし

うそっ...

フレディ・ライリー

そんなことあ、あります?!

エマ・ウッズ

このゲームを始めたのは、

エマ・ウッズ

私よ

あたし

そんな...

エマ・ウッズ

私は庭いっぱいに、花を咲かせたかった

エマ・ウッズ

それだけなの

エマ・ウッズ

なのに

エマが悔しそうに下を向く。

エマ・ウッズ

私といるレオを見て、あいつらが...!!

エマ・ウッズ

レオのことを化け物だって...

エマ・ウッズ

そう言って、拘束したの

エマ・ウッズ

逆らえなかった

エマ・ウッズ

あんな大人数で...

エマ・ウッズ

「神の司令だ」

エマ・ウッズ

「お告げが聞こえる」

エマ・ウッズ

「怪物を排除しろと」

エマ・ウッズ

奴らは、レオを連れ去った...

エマ・ウッズ

私はただ、花を咲かせたかっただけ

エマ・ウッズ

レオと2人で庭仕事しているのが、幸せだったの...

エマ・ウッズ

なのに、あいつら!!

エマ・ウッズ

私達の幸せを奪った...

エマ・ウッズ

フィオナ・ジルマン!

エマ・ウッズ

あなた、あいつらの末裔でしょ?!

エマ・ウッズ

許さないから

エマ・ウッズ

例えあなたがしたことじゃなくても!

あたしの祖先は、

そんな事を...。

あたし

...

あたし

そうね

エマ・ウッズ

!?

あたし

あたしが、悪いのかもしれない

あたし

でもエマさん

あたし

レオを見て

そう言われて、エマがハンターを見上げる。

エマ・ウッズ

い、いつもの、レオよ...

あたし

いいえ

あたし

それは、レオさんじゃない

あたし

少なくとも、あなたの知ってるレオさんじゃない

エマ・ウッズ

何を言ってるの!?

あたし

何体も何体も

あたし

レオは存在する

あたし

同じように、

あたし

何体も何体も

あたし

同じあたし達がいる

エマ・ウッズ

どういうことよ!!

あたし

そして、このゲームをさせられている

あたし

いつ終わるかわからない、このゲームを

あたし

恐らくこれが終わるのは、

あたし

完全にハンターに勝てる生命体を生み出した時

あたし

それまで、この実験は終わらない

エマ・ウッズ

何言ってるか、全然わからない...

エマ・ウッズ

ねぇ、レオ、私だよ、エマだよ!

エマ・ウッズ

レオ...?

ハンターは無言でエマに長刃を振りかぶった。

エマの声は、届いてないようだ。

エマ・ウッズ

嘘でしょ...レオ...

あたし

危ないっ!

エマに体当たりして、ハンターの攻撃をそらさせた。

あたし

フレディ、今のうちに、ゲートから逃げて!

フレディ・ライリー

さ、先に行くよ!

フレディがゲートに行ったのを確認し、エマの手を引っ張る。

あたし

行くわよ!

エマ・ウッズ

...だ

エマ・ウッズ

いやだ

エマ・ウッズ

ここを離れたらもう、私はレオと...

エマ・ウッズ

二度と会う機会がなくなってしまう...

あたし

そんなことない

あたし

エマ、あなたは絶対、いつか会えるから

そう言うと、エマは意を決したように、ゲートに向かって走り出した。

すでにゲートは開いており、フレディが手を振っている。

フレディ・ライリー

先に行くよ!

あたし

エマ、走ろう!

エマ・ウッズ

あぁぁあぁああっ!!

2人でゲートを駆け抜けた。

ハンターが遠のく。

そして、

また、視界が暗くなった。

衝撃のようなものが背筋に走り、目が覚めた。

硬いものの上で気を失っていたらしい。

見覚えのある場所。

正し、座っているメンツは違った。

右隣に冒険家。左隣にマジシャン。

やっぱり、ゲームはあれで終わりじゃなかった。あたし達は、何度も何度も、このゲームをさせられている。ほぼエンドレスに...。

絶望的な気持ちで呆然としていると、

右の方の椅子から、狂ったような笑い声が聞こえてきた。

エマ・ウッズ

あは、あはははっ!!!

あたし

エマ...!?

エマ・ウッズ

フィオナ、あなたの言った通りだわ!

エマ・ウッズ

また、レオに会えるのね!!!

エマ・ウッズ

あはははっ!!!

エマ・ウッズ

きゃはははははっ!!!

エマの笑い声は、狂気的に部屋に響いた。

ほかの参加者も、何事かと不審げにそちらを見る。

エマの笑い声は、泣いているようにも聞こえた。

だんだん、意識が薄くなる。

やがて、あたしは、また深い闇の中に沈んでいった...。

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