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〜ユキ(真冬) side〜
優
ユキ
そんな、いつの間に!?
ソラ
通信機から、ソラの声が聞こえる
ユキ
どうにかして、突破口を見つけないと
優
……仕方ない、こうなったら……
優
ユキ
優の言葉を遮って、声を発する
けど、ボクの声じゃなくて、 演技で作った女の人の声
ユキ
ユキ
周りに隠れているのは分かっている、 と遠回しに言う
ソラ
ソラが呆れたように言ってきた
これは、里にいた時に学んだもので あって、元々持っていたものじゃ無い から、そこまで引かないでほしい
優
優
少し驚いたように、 優がそう言ってくる
ユキ
ユキ
余裕の態度で、優と話し続ける
けど、いつまでもこんなことを している時間はない
ユキ
渉
って、この声……!
優
浦田先輩が来て、 優の注意がボクから逸れる
ソラ
ソラから指示も飛んできて、 急いで逃げ出した
優
優
渉
目の前からボクがいなく なったからか、二人の焦った声が 後ろから聞こえる
ここから人気のないところまで移動 して、さっさと逃げてしまおう
ソラに指示を受けながら、 順調に美術館の敷地を進んでいく
ソラ
渉
ユキ
後少しのところで、 背後から声がかかる
思わず、走っていた足を ぴたりと止めてしまった
渉
さっきの焦っていた時とは裏腹に、 完全に落ち着いている、浦田先輩の声
まさか、さっきの優との やり取りは、ボクを油断させる為の 演技だったってこと……?
ユキ
それなら、十分逃げられるはず
ユキ
ユキ
後ろを振り返りながら、 ボクも声の演技で、浦田先輩に答える
それから、じり、とわずかに後退った
渉
ユキ
突然目の前に、浦田先輩が現れる
渉
まずい、今の動き、 全く目で追えなかった……!!
渉
完全に油断していた
ボクの左手首に、カチャッと音を 立てて、手錠がかけられる
ユキ
捕まる
そう思った途端、頭が真っ白になった
──嫌だ、まだボクには やることが……!!
ユキ
ソラ
じたばたと暴れて、 どうにか浦田先輩の手を振り解く
よしっ、このまま……!!
ソラ
急いで近くの柵によじ登って、 反対側の外に飛び降りる
それから、無我夢中で走った
ここから、人気のないところまで 行って、手錠を外して、それで……!
ソラ
ユキ
焦る脳内に、ソラの声が響く
その声で、はっと気づいて、 正気を取り戻した
周りを見ると、焦った勢いで、 よく分からないところまで 来てしまっている
けど幸いなことに、 人気のいない裏路地だった
ソラ
ソラ
この手錠は、罠……?
……そう言うことか、どうりで ここまで逃げられたわけだ
あの浦田先輩の発言と声色は、 どこまでも追いかけてくるような 剣幕だった
なのに、ボクが美術館から出ても、 全く追いかけられている感じは しなかった
ユキ
……ならせめて、 ここだけでも失敗させてやろう
ピッキング用にといつも常備している 針金を使って、腕から手錠を外す
そしてそれを、自分の口元に近づけた
ユキ
ソラ
相変わらずのソラの声は、 一旦無視する
ユキ
ユキ
これが盗聴器じゃなかったら、 この声はあの二人に届いてないし、 ボクも喉を痛め損になるんだけど
少しぐらい、 仕返ししたっていいでしょ?
ユキ
最後にそう言って、少々乱暴に、 地面に手錠を叩き落とした
それから、何かしらの機会が入って いるであろう場所を、踵で踏みつける
これで壊れただろうし、 ボクは声を出しても大丈夫
ソラ
ユキ