コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
好きになっちゃいけない人がいるって 誰かが言ってた。
でも人を好きになるときに 「この人はやめておこう」なんて理性が働くほど
——— 恋は単純じゃない。
わかっていたのに
私は——彼に堕ちてしまった。
そして抜け出せなくなった。
その日 私は友達に無理やり誘われて飲み会に参加していた。
友達
たしかに、私はほとんどバイトと大学の往復で 遊ぶ時間なんてほとんどなかった。
でも、人混みは苦手だったし お酒もそんなに得意じゃない。
最初は乗り気じゃなかったのに いざ参加してみると そこまで悪くないかもしれないと思った。
おしゃれな居酒屋の個室で グラスのぶつかる音と笑い声が飛び交う。
友達
友達の一人が、遅れてきた男に声をかけた。
振り返ると ゆるくセットされた髪にピアスが光る 少し派手な雰囲気の男が立っていた。
冬馬
低くて落ち着いた声だった。
友達
そう言って、私の隣の席が示される。
冬馬
当たり前のように私の隣に座ると 冬馬はにこっと笑った。
そのとき、ふっと甘い香りが鼻をかすめる。
千夏
少し緊張しながら答えると 冬馬は面白そうに私を見た。
冬馬
千夏
冬馬
くすっと笑って、冬馬は軽くグラスを持ち上げる。
冬馬
その言葉と笑顔に、不思議と胸が高鳴った。
冬馬
飲み会の途中で、冬馬がふいに聞いてきた。
千夏
冬馬
千夏
千夏
少しむっとしながらそう言うと 冬馬は楽しそうに笑った。
冬馬
千夏
冬馬
千夏
千夏
冬馬
からかうような でもどこか優しげな目で私を見つめる冬馬。
気づいたら、その視線に心を奪われていた。
こんなふうに見つめられたら 意識しないほうが無理だ。
そして、その夜。
飲み会が終わったあと、冬馬から連絡が来た。
たったそれだけの言葉に、心が揺れた。
冬馬からのメッセージを見つめたまま 私はスマホを握りしめた。
千夏
千夏
深夜の静かな部屋で、一人、呟いた。
本当は、簡単に返信するべきじゃないって思った。
すぐに返したら簡単な女だって思われるかもしれない
でも——。
千夏
結局、指は勝手に動いていた。
すぐに既読がついて、冬馬からの返信が届く。
冬馬
ドクン、と心臓が跳ねる。
これは、デートの誘い?
そんなことを考えるだけで、胸が熱くなる。
千夏
送信ボタンを押した瞬間 私はもう引き返せない場所に足を踏み入れていた。