私のお母さんは病気だ
ベットから出ることができないほど
そんなお母さんは、いつもベットの上で何か書いていた
ミカ
ねぇ、お母さん
ミカ
それ、何書いてるの?
お母さん
ふふふ
お母さん
秘密よ
お母さん
でも、ミカが大きくなったら分かるかも知れないわ
ミカ
ふーん
心配だった
どんな時でもお母さんはそれ書いていた
気分が悪い時でも
お母さん
ゴホッ、ゴホッ
ミカ
お母さん、気分悪いなら寝てて
ミカ
そんなの書いてちゃダメだよ
お母さん
ごめんね
お母さん
でも、これがお母さんにできる最後のことなのよ
私は誰かお世話になった人に手紙を書いているんじゃないかと思った
ミカ
お母さん、それ、大事な人への手紙なの?
お母さん
そうよ、大切な人
お母さん
この手紙をもらって、幸せになって欲しいから、お母さんは頑張らないといけないの
次の日
お母さんの調子がぐっと悪くなった
その時、お母さんがお手伝いさんにこう言っているのが聞こえた
お母さん
お願い
お母さん
こ、これを郵便に入れ、て来て
お母さん
この、紙と、ゴホッ、一緒に
その三日後
お母さんは死んだ
ベットの上で眠るように
ひっそりと
それから何ヶ月か過ぎて、私の誕生日の日になった
ミカ
お母さん
ミカ
私、今日で10歳になるんだよ
ミカ
お母さんにお祝いして欲しかったなぁ
涙が溢れてきた
お母さんが一生懸命に書いていた手紙はちゃんと届いたのだろうか
郵便局の人
すいません、お手紙です
ミカ
あ、はい
手紙なら郵便受けに入れてくれればいいのに
そんなことを考えながら涙を拭って、私は手紙を受け取った
ミカ
っ!
手紙にの送り主の名前は…
“お母さんより”
そう書いてあった
ミカ
お、母さん…?
私は驚きながら手紙を開けた
そこにはこう書いてあった
お母さん
ミカへ
お母さん
10歳の誕生日おめでとう
お母さん
直接言えなくて悲しいです
お母さん
お母さんは今天国にいます
お母さん
ごめんね
お母さん
あんまり話しもせずに手紙ばかり書いて
お母さん
こんなお母さんを許してください
後の内容は今の生活はどうかとかそんな感じだった
最後の方は目の前が滲んで読めなかった
ミカ
っ、お母さん!
私はもう溢れる涙を拭わなかった
それから毎年、私の誕生日にお母さんからの手紙はきた
今、やっと分かったよ、お母さん
ミカ
あの時一生懸命書いていた手紙は
ミカ
私宛のものだったんだね
ミカ
私は幸せだよ、お母さん
ミカ
この手紙をもらったから