烏野マネはバレー馬鹿

田中 視点

なんでだ 敵わない 日向よりも小さい体で ノヤッさんよりもほんの少しくらい小さい体で こんなに細いのに 俺はこの子に、琴葉ちゃんに 心を簡単に見透かされてしまう 俺は、そんな彼女に負けてしまったんだ そうでなければ、俺は絶対 自分からあの事を話したりしない 俺は全てを話した 守護神のノヤさんのこと エースの旭さんのこと ある試合でブロックに捕まり 最後にはトスを呼ばなかったエース… それを必死で拾い それでも繋ぎきれなかった守護神… 『俺がつないだボールを、アンタが勝手に諦めんなよ！ 俺はリベロだ！ 守備の要でチームの要だ！けど！ …俺に点は稼げねぇ 俺は攻撃ができない でも、どんなにスパイクが決まんなくたって 責めるつもりなんて微塵もねぇ …だけど、勝手に諦めるのは 許さねぇよ』 いつも笑ってて、悩みなんて1っつもなさそうなノヤッさん そんなノヤッさんの心の底からの叫びを 俺は今でも鮮明に覚えている そして、旭さんは部活に来なくなった ノヤッさんが廊下で言い合いになったときに 花瓶を割ってしまって 1週間の自宅謹慎と、1ヶ月の部活禁止を 喰らってしまったところまで話した時だった 俺は、彼女がとても悲しそうな顔をしていることに 気が付いた

こういう時どうしたらいいのか俺は知らねぇぞっ

入ったばかりの部活の先輩の過去なんて聞かされたって 重荷になるだけだろ…！ 馬鹿かよ俺は！！ こんなことになるなら 適当に誤魔化しておけばよかった…

そう言い、彼女は頭を下げた 興味本位にノヤッさんのことを聞く奴らに 話したくなかったこの話も この子になら、話してよかったと 心から思った