近所の神社で開かれる小規模な夏祭り
浴衣姿で行き交う人々
射的に興じる子供
皆、笑顔
私はその中を悪態をつきながら1人で歩く
美結
美結
大きな水鉄砲を持った子供が前から走って来て私にぶつかった
鬼ごっこか何かしてるのだろうか、子供はちらりと後ろを振り返り謝りもせずに去っていく
私は余計にイライラする
美結
美結
美結
美結
かき氷屋が見えた
屋台の前に散乱するシロップや氷
隣が焼きそば屋だから煙もここまで来る
美結
私は仕方なく列の最後尾に並ぶ
列の進みが遅い
美結
イライラする
なのに皆、笑顔
気持ち悪いくらい、笑顔
汗を流しながら笑顔で氷を削る男性
シロップでベタベタの机で笑顔でシロップをかき氷にかける中学生
まったく削れてない氷の塊を笑顔で頬張る子供
美結
この毎年開かれる夏祭り
町内の人間が屋台をだし、運営、設備諸々の準備も町内の人間が行っている。自分の仕事と時間をほぼ犠牲にするこの祭りの準備は誰もやりたがらない
それでも町長の権力には逆らえず、皆しぶしぶと祭りを開催している
皆心の中では、この祭りなんてなくなってしまえばいいと思っているはずなのに
この気持ち悪い笑顔はなんだろう
膨れっ面をしてるのは私だけ
皆、笑顔
笑顔笑顔笑顔笑顔笑顔、笑顔
私は、その場にいるのが馬鹿らしくなった
どうせ、かき氷を買って戻ったところで私の居場所はない
とにかく、こんな気持ち悪い空間から離れたい
私は人混みから離れ、賽銭箱の裏に回ってみた
美結
まるで人混みを避けているかのように、その屋台はあった
おめん屋とかかれた旗
飾られている無数のおめんは
笑い顔、泣き顔、怒り顔… ただ人間の持つ沢山の感情を淡々とおめんにした、不気味なおめん
それらのおめんに一斉に見下ろされているような錯覚に陥っていると……
おめん屋
美結
いつの間にか私の後ろに狐のおめんを着けた和服姿の背の高い男が立っていた
おめん屋
おめん屋
美結
美結
おめん屋
おめん屋
おめん屋
おめん屋
おめん屋
美結
おめん屋
おめん屋
おめん屋は半ば強引に私に笑い顔のおめんを押し付けた
仕方なく私はそれを着けた
なんだろう
楽しい
そう思った
今までイライラしていたのが馬鹿みたいだ
私はこんなところで何をしてるんだろう
早くかき氷を買って凛花のところに戻らないと
祭りを楽しもう
笑顔で
おめん屋
おめん屋
凛花
凛花
凛花
凛花
凛花
凛花
かき氷屋
中学生
中学生
かき氷屋
かき氷屋
コメント
11件
どんなことがこれにかくされているのだ!
ホラー作者さん ありがとうございます!たぶん皆様が開いてくださる企画には大体出没します笑笑
面白かったです!これからもお話を作ってください!😇