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#ローレン・イロアス
velyn
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恋は渾沌の隷也
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SAI
SAI
SAI
SAI
SAI
SAI
千早
千早の瞳が、獲物を狙う獣のように細められる。
彼は迷うことなく海智の膝の間に割り込むようにして距離を詰め、彼女の細い首筋に鼻先を寄せた。
そこから漂うのは、黄泉の血によって作り替えられた、禍特有の濃密で甘い死の香りと、彼女自身の生命の匂いだ。
海智
千早
千早
冷たい指先で、海智が指し示した首筋の柔らかな肌をなぞる。 まるでどこに牙を立てれば一番効率よく「食事」ができるかを見極めるかのように、執拗に、そして愛おしそうに。
千早
クスクスと喉の奥で笑いながら、千早は海智の肩を小さな手で掴み、ぐっと自分の方へ引き寄せた。
彼の口元がわずかに開き、その奥に潜む鋭い渇望が、今にも彼女の肌に届きそうなほどに近づく。
海智
堪らず、ぎゅっと目を固く瞑った
怯えたように身を固くし、縮こまる。 その無防備な首筋が目の前にあるという事実に、千早の胸の奥でどろりとした加虐心が沸き上がった。
冗談で言ったはずの言葉を逆手に取り、逃げ場を奪う。 この「お姉さん」がどんな声を上げるのか、それが見たくてたまらない。
千早
千早
喉を鳴らして笑いながら、掴んでいた彼女の肩に爪を立てる。 そして、迷うことなくその白い肌に顔を埋め、鋭い牙を深く突き立てた。
海智
生ぬるい血が口内に溢れ出した瞬間、千早の思考は快楽と食欲で塗りつぶされる。 黄泉の血を他の家族より多く分け与えられた彼女の血は、他の誰よりも甘美で、毒のように痺れる味がした。
千早
千早
千早
ゴクリと喉を鳴らして血を飲み下し、牙を抜く。 しかし、離れるどころか、さらに深く彼女の体に顔を寄せ、傷口から流れる赤い滴を舌で丁寧に掬い取った。
千早の口元は海智の血で赤く染まり、その瞳は捕食者のそれへと変貌している。
千早
キュルルル…
海智
海智
千早
その言葉を裏付けるように、急に腹が鳴った。
海智
牙を引き抜かれると、そこには、赤黒い噛み跡が残った。
歪な、『家族の証』───
その白い肌に残る紅と、端正な顔が歪むコントラストに 千早は、いいようのない興奮を憶える。
海智
千早の能力で力が出なくなり、布団の中へと力なく沈んでいく。
そんな海智の姿を見下ろし、千早は満足げに喉を鳴らした。 彼女の腹が鳴った音を聞き逃すはずもなく、その「飢え」の始まりを自らの力で引き起こしたことに、背筋がゾクゾクするような高揚感を覚える。
千早
ベッドの上に膝をついて這い寄り、布団にくるまった彼女の顔を覗き込む。 血で赤く染まった自分の唇をペロリと舌で舐めとり、獲物の反応を楽しむように、その頬を冷たい指先で突いた。
千早
千早
千早
海智の首筋に残る、自分の牙の痕─── 「家族」であり「所有物」であることの証明。 それを愛おしそうに眺める。彼女が苦しげに声を漏らすたび、千早の漆黒の瞳には歪んだ親愛の情が灯っていった。
千早
千早
千早
海智
ケラケラ笑いながら、千早は海智の耳元に顔を寄せ、内緒話でもするように優しく、けれど残酷な響きを含ませて囁いた。
千早
千早
千早
そう言って、彼は海智の頭を乱暴に、けれどどこか慈しむように撫で回している中 布団の中で、海智は手をじわりじわりと握り締めていた。
グッッ
千早
不意に視界が揺れ、肺の奥が焼けるような熱さに襲われた。
千早は反射的に喉を押さえたが、口から溢れ出したのは鉄の味のする血ではなく、生臭く塩辛い「海水」だった。 ボタボタとシーツを汚して溢れる水に、彼は目を見開いて激しく咳き込む。
千早
肺が水で満たされ、酸素が遮断される感覚。 それは「餓死」の苦しみとはまた違う、逃げ場のない圧迫感と絶望的な息苦しさだった。
千早は鼻からも水を吹き出し、銀鼠色のスリーピースを濡らしながら、信じられないものを見る目で海智を睨みつける。
千早
海智
「おあいこ」という掠れた声と共に能力が解かれると、千早は喉を掻きむしりながら激しく空気を吸い込んだ。
口の周りや服が海水でびしょ濡れになり、せっかくの整った身なりが台無しだ。あんなに余裕たっぷりだったクソガキムーブはどこへやら─── 彼は涙目で肩を上下させ、荒い息を吐き出す。
千早
海智
不貞腐れたように背を向けた海智の後ろ姿に、千早は顔を真っ赤にして怒鳴り散らした。 しかし、その怒りの中には、自分を出し抜いた彼女への強烈な驚きと、未知の力への歪んだ興味が混ざっている。
彼は濡れた袖で口元を乱暴に拭うと、再びベッドに這い上がり、背を向けた海智の背中にのしかかるように体重をかけた。
海智
千早
海智
千早
千早
千早は濡れた髪を振り払い、海智の耳元で、まだ少し湿った声で低く笑った。 その瞳には、さっきよりもずっと濃い「所有欲」が宿っている。
千早
***
夜
壁を背に、その会話を盗み聞く者がいた。
夜
コメント
1件
うわ、めっちゃドキドキしながら読んじゃいました……! 千早くんの「可愛い」けど狂気じみた加虐心と、それに対する海智の「おあいこ」の反撃が鮮やかで、一気に世界観に引き込まれました。『溺死』VS『餓死』の能力の応酬もゾクゾクします。夜さんのラストの一言含めて、早く続きが気になる展開ですね!