テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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天体の魔法使い

第2話 - リサとの出会い

2024年09月15日

#魔法

#第3回テノコン

#ファンタジー

#星

#師匠と弟子

#異世界

宮川祭

アストレス

僕の仕事が終わると、夜の街を散歩するのが日課だ。その理由のひとつに、「あの星と星を繋げるとオリオン座になるんだよ」と、子供たちが天体観測を楽しむ姿を見ることがある。僕が生み出した星々が、人々の心に残ることが嬉しくてたまらないのだ。時には、恋人たちが夜空を眺めながらワイングラスを傾け、「星と君の美しさに乾杯」なんて臭いセリフを交わしているのを見ることもある。その言葉が恥ずかしいくらい甘ったるいと感じながらも、僕は心のどこかで素晴らしい言葉だと感じてしまう。

ある夜、街角で一人の少女が座り込み、静かに涙を流しているのを見かけた。僕はそっと近づいて、尋ねた。

「どうしたんだい？」

彼女は悲しげな声で答えた。

リサ

「私、一人になっちゃったの。家族も…」

アストレス

僕は優しく微笑んで、手のひらを差し出した。そして、そこに小さな星を創り出した。それはまるでマッチの火のように、かすかに揺らめきながら彼女の周りを照らした。その光は夏の線香花火のように、彼女をそっと優しく包み込む。

リサ

「綺麗…」

彼女の呟きが、夜の静けさに溶け込んだ。

その瞬間、僕は思った。この星々が誰かの心に寄り添い、優しさや希望を与えるのならば、僕の仕事には意味があるのだと。彼女の微笑みを見て、僕は再び明日も新たな星を生み出そうと心に決めた。ふと、「一緒に来るかい？」と彼女に尋ねると、彼女は小さく首を縦に振り、「うん」と静かに答えた。その瞬間、僕の中で星と星が紡がれるような感覚が広がり、運命が静かに繋がっていくのを感じた。