初めて内面を見透かされた上で褒められた。
今まで幾度も褒められた事はあるけれど、内面まで見て褒められた事は無かったから、凄く嬉しかった。
それと同時に、彼に惹かれ落ちてしまった。 それこそ、一瞬、彼になら絵を見せてしまっても良いかも知れないと考えるぐらいには盲目的な信頼を寄せてしまいつつある。
、、、たった一度の会話で、愛とは似つかぬ真っ黒な感情が湧いてしまうのは可笑しい事なのは解っている。だけども、、、
あぁ、Bretagne.
私は彼が欲しくなってしまった。 あのお世辞にも良いとは言えない性格が、彼の淡々とした声が、仄暗い雰囲気が、とても居心地良い。
けれど彼は、また会えることは無いだろうと思っていながら、期待させる言葉を残して去ってしまった。 、、、また会えたらその時は思いを伝えられるかしら?いや、きっと無理。
殆ど関わりの無い人物から告白されたって、振り向くわけがない。 なら、もしまた会えたら、、、 いっそのこと、
彼を芸術にしてしまおうか?
彼を材料に絵を描いたら、永遠に彼の側に居続けられる。
、、、なんてね、そんなことをしたら彼の声が聞けなくなってしまうし、きっと私は後悔してしまう。
それに、彼を数多の絵の具と同じにしてしまうのは嫌。 、、、まぁ、彼の血に興味がないと言えば嘘になるけど。
あぁ、本当に彼は恐ろしい人。 たったの一回で私にここまでの感情を抱かせてしまうだなんて!
、、、ふと、注がれるような水音がしたので、思考の渦から現実に戻ってみると、目の前のグラスに酒がたまり始めていた。
酒が注がれ終わると、私はすぐさまさっきまでの思考を押し流すよう、一気に飲み干した。
France
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