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夕焼けに殺される

第6話 - 誓い

2025年09月25日

#我流丸

#一次創作

我流丸

西空ともり

…………

西空ともり

吉森さん、遅いね……

逢魔トキ

ああ、来ない……

逢魔トキ

来なかった

逢魔トキ

つまりは、そういう事だ

西空ともり

でも、それじゃあ……

西空ともり

吉森さんが……

逢魔トキ

仕方がない

逢魔トキ

ボクらには時間が無い

逢魔トキ

もう、日が沈む

西空ともり

…………

逢魔トキ

……あと、一分だけ待つか

西空ともり

……いや、いい

西空ともり

もう……行こう

西空ともり

行かなきゃならない

逢魔トキ

……いいのか

西空ともり

…………うん

逢魔トキ

……大丈夫

逢魔トキ

誰もいない

逢魔トキ

入っていいぞ

西空ともり

……第1関門突破

西空ともり

ひとまずね

西空ともり

わたしの記憶によれば、

西空ともり

このあたりに隠し通路がある

逢魔トキ

そうだな

逢魔トキ

……それにしても、やはり職員室だったか

西空ともり

……わかっていたの？

逢魔トキ

ああ、何周もしたからな

西空ともり

……ええっと、確か

西空ともり

ここの床が開いて……

西空ともり

…………

床のタイルが外れた。

はしごが暗闇の奥へと続いている。

西空ともり

あったよ

西空ともり

ここを進めば、いずれ地下通路に出れる

逢魔トキ

この世界を何周も繰り返して

逢魔トキ

ずっとこの道を探していた

逢魔トキ

……ようやく

逢魔トキ

ようやくなんだな

西空ともり

ねえ、今日はここでやり過ごすとして、

西空ともり

明日は……

西空ともり

その先はどうしていくのだ

逢魔トキ

…………

逢魔トキ

……その先

逢魔トキ

……その先か

逢魔トキ

考えてもいなかった

西空ともり

……そう

逢魔トキ

怒らないのか……？

西空ともり

いや、なんとなくわかっていた

逢魔トキ

それは驚きだ

西空ともり

まあ、今日生きられるなら

西空ともり

それでいいんじゃないか

逢魔トキ

同意

逢魔トキ

でも、先生はなんとかしないとだぞ

西空ともり

そうだな……

西空ともり

この下の【輪廻】にでも食わせるか？

逢魔トキ

…………

逢魔トキ

……度し難い発想だな

西空ともり

……確かに

西空ともり

自分でも、思いっきり引く

逢魔トキ

それでも

逢魔トキ

どうしようもない時には、

逢魔トキ

この手を使うしかないのかな

西空ともり

……そうだね

西空ともり

……わたしさ、変なのかな？

逢魔トキ

そう思うなら、そうなんじゃないか？

西空ともり

……黙って

西空ともり

わたし、自分が殺されるかもしれないのに、

西空ともり

先生の事、殺したくないと思ってる

逢魔トキ

どうしても？

西空ともり

いや、……できれば

逢魔トキ

…………

逢魔トキ

アンタが殺す日は来ない

逢魔トキ

だから、安心していい

逢魔トキ

たぶん、その時には

逢魔トキ

俺がやる

西空ともり

たぶんってなにさ……

逢魔トキ

そのままの意味

逢魔トキ

断言はできない

西空ともり

あーあ……

西空ともり

わたしだって乙女なのだよ……？

西空ともり

こういう時ぐらい、ハッキリと言ってもらいたい

逢魔トキ

……なんだそれ

西空ともり

な、なんだそれとは、なにぞ！？

逢魔トキ

そのままの意味だけど？

西空ともり

……なあ

西空ともり

春風うすづくは、どうやって死んだ？

逢魔トキ

……知りたいのか？

西空ともり

ああ。だって、この下にいるんだろう？

逢魔トキ

…………

逢魔トキ

彼女は……眩しく、それでいて優しい人間だった

逢魔トキ

アンタの親友だと言っていたな

逢魔トキ

……屋上からの飛び降り

逢魔トキ

それが最期だったよ

西空ともり

そうか……親友か

西空ともり

…………

西空ともり

……

西空ともり

正直言って、今

西空ともり

震えが止まらん

西空ともり

手がいつ離れても、

西空ともり

足をいつ踏み外しても、おかしくない

西空ともり

悲しくもないのに、涙が出そうで……

西空ともり

ずっと前から、こんなだ

西空ともり

吉森さんを持たなかったのも……

西空ともり

わたしが弱かっただけかもしれぬ……

西空ともり

わたし、怖い……

西空ともり

死ぬのが怖い……

逢魔トキ

……

逢魔トキ

死なない

西空ともり

……え？

逢魔トキ

アンタは絶対に死なない

逢魔トキ

死なせない

逢魔トキ

ボクが必ず守る

西空ともり

……ありがとう

逢魔トキ

いいよ

逢魔トキ

死に慣れているのが、唯一の取り柄だからさ

西空ともり

……ねえ

西空ともり

今から言う事は、

西空ともり

こんな状況だから感じた事、とかじゃないけどさ

西空ともり

たぶん、こうだから出た言葉ではある

西空ともり

だから……、忘れないで忘れて

西空ともり

わたし、トキ君の事が好き

西空ともり

死んだら泣けるかわからないけど、

西空ともり

死なずに笑ってほしいくらいには、

西空ともり

尋常じゃないほど好き

西空ともり

下に降りたらさ

西空ともり

震え忘れるくらいに

西空ともり

手握って、

西空ともり

そのまま抱き締めてほしい

逢魔トキ

…………

逢魔トキ

なんかそれ、色々と矛盾してるし、

逢魔トキ

今言うことか……？

逢魔トキ

……いや、ごめん

逢魔トキ

あの……

逢魔トキ

誰かが自分を好きなるとか

逢魔トキ

そういう事、本当に頭に無かった

西空ともり

……あ

西空ともり

……着いた

逢魔トキ

……それにこんな状況だ

逢魔トキ

もう、ずっと……ずっと前から……

逢魔トキ

誰かを好きになったりとか……

逢魔トキ

できるのかな……

西空ともり

……で、どうなの？

逢魔トキ

……わからない

逢魔トキ

わからないけど、

逢魔トキ

必ず守る

彼と私の座標、重なる。

布越しに伝わる熱は、柔らかく優しい。

西空ともり

……それ

西空ともり

言ってる事がさっきと一緒

逢魔トキ

……そうだね

西空ともり

……この前はごめん

西空ともり

人の心が無いとか言って……

逢魔トキ

……いいよ別に

逢魔トキ

そうかもしれないし

西空ともり

いや、トキ君は優しい

西空ともり

たぶん今は、疲れちゃっただけなんだよ

逢魔トキ

ありが……

先生

逢魔トキ、西空ともり。

西空ともり

……！

逢魔トキ

……！

逢魔トキ

なぜここに……！

吉森さよ

…………

西空ともり

吉森さん……

逢魔トキ

まさか……！

先生

いや、違う。

先生

君らが想像しているような、裏切り行為は無かったよ。

先生

私は、そう、偶然……

先生

ちょうど彼女を運んでいるところだったんだ。

逢魔トキ

…………

西空ともり

…………

吉森さよ

……どうしよう

吉森さよ

ともり……どうしよう

吉森さよ

わたし……

吉森さよ

人を殺しちゃった

先生

藤谷コタロウが死亡した。

西空ともり

……！

逢魔トキ

……誰だ、その人？

西空ともり

……もう一人の生徒

西空ともり

ほら、クラスに空席が一つあったでしょ？

西空ともり

それより、死んだって……！

先生

吉森さよに性的暴行を加えようとし、

先生

その吉森さよに殺された。

先生

氷枕で、頭部を何万回と叩き付けられてな。

先生

信じられないなら、保健室へ戻るがいい。

先生

まだ死体が残っているはずだ。

先生

まあ、戻らせんがな。

吉森さよ

……どうしよう

吉森さよ

……どうしよう

吉森さよ

……はははは

吉森さよ

はははははっ

先程は暗さでよく見えなかったが、

吉森さよの制服は、赤と黒で何重にも染まっていた。

血で固まり、肉塊らしき何かも付いている。

それらだけで、どれほどの惨状があるのかは容易に想像できた。

先生

さてと、君ら二人はもう、ある程度気付いているようだから言うが、

先生

私は今から、彼女の記憶を消すよ。

先生

藤谷コタロウは……

先生

そうだな。

先生

どうせ、大して教室に顔を見せなかった奴だ。

先生

初めから存在していなかった事にしようか。

先生

残るは君らの方への罰だが……

逢魔トキ

……！

西空ともり

……！

先生

強い目だね。

先生

私が恐ろしくは無いのかな？

先生

自分がどうなるのかが。

西空ともり

当然恐ろしい……ただ、それより憎い！

西空ともり

先生が憎いです……！

逢魔トキ

自分がどうなろうと、どうでもいい

逢魔トキ

ただ、それを悲しむ人がいる

逢魔トキ

先生……ボクはその人を守るためなら、

逢魔トキ

あなただって殺しますよ……

先生

優秀な生徒が育ってくれて……

先生

しまったものだ。

先生

まったく、私の教育に失態でもあったかな。

先生

まあ、いい。

先生

決めたよ。

先生

君らの分の罰は、まとめて……

先生

吉森さよに負わせる。

先生

こういうのは、連帯責任だ。

先生

さあ、吉森さよ。

先生

【入れ】

吉森さよ

……はい

西空ともり

だめ！！

西空ともり

だめよ！！

先生

無駄さ、彼女には届かない。

逢魔トキ

……嘘だろ

逢魔トキ

あの部屋は……

先生

そう、彼女が入るのは教育室ではない。

不死蚯蚓、快楽蜥蜴、嘔吐蛙、分離蛸。

足吊り烏、結合熊。

手首蝶、消滅鰻、孤独蛸。

射精蛇、結核虎、痙攣狸、窒息猿、孤独蛸。

食用猫、妊娠豚、妊娠鰐、妊娠蟻、孤独蛸。

正義駱駝、孤独蛸。

苦痛雉、アバラ獅子、圧迫鯨、絶望蛍、絶望犬、孤独蛸。

安楽蛸。

落下兎、

先生

そして……

先生

首吊蝿。

先生

東雲ザンセイの部屋さ。

夕焼けに殺される

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我流丸

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