なおきり
僕が見に行ってくる
ゆあん
…
なおきり
また戻ってくるからね…
部屋を出る前にチラ見する。
今すぐにでも泣きそうな顔をし、隠すように俯く小さな体。
俺が守る。どんな事があろうとも
なおきり
大丈夫ですか!?
ヒロ
…シ--ッ
おっと、と口を抑えて近づく。
うり
………zzZ
ヒロの腕に抱きしめられて、うりが大人しく眠っていた。
なおきり
さっきの叫び声って…
ヒロ
ごめんね、そっちまで聞こえちゃった…?
ヒロ
うん、あの声は俺。
ヒロ
何とか止めようとしてたから…
なおきり
何が…
ヒロ
…感染してたんだよ…。もう、分かってるでしょ…?
2人が部屋に行ったあとにね、みんなで軽くお話してた。
どうするべきかとか話してたんだけど、話す内容が尽きちゃったからそれぞれ解散したんだ。
その30分後くらいかな。
うり
…頭いてぇ…
ヒロ
うりさん…?
ふらついて壁にもたれかかっているのを見たんだ。
本当に苦しそうに、青い顔をしてた…
うり
ん、大丈夫…へーき。
いつも通りフワッと笑ってくれたよ。
でも、緊張感のある今、見逃すはずがない。
一瞬だけど、赤く光っていた。
そこからだよ。うりさんがおかしくなったの。
うり
……ねぇヒロ君
ヒロ
…?
うり
俺が居なくなると、どうなると思う…?
ハハッて乾いた笑いを浮かべて、目の前に立ってたんだ。
手にはカッターがあったよ。
ヒロ
うりさん…な、何を…
うり
俺の代わりなんて…いくらでも…
涙を浮かべる目は、完全に赤くなってた。
うりさんは、刃の先を喉に向けてた。
俺はもう動けなくて…
たっつん
何やっとるんや!
驚いたよ。一瞬のことで。
またかたっつんがうりさんの手から刃物を奪ったなんてさ。
動けなかったことに後悔してる。
だって、あそこにたっつんが居なかったら…
俺の目の前で、うりさんは…
ヒロ
あの後、うりさんが暴れてて…
ヒロ
なんとか落ち着かせて今は眠ってる…
優しく撫でているヒロの目には、涙が浮かんでるのが見える。
なおきり
ヒロ…君……
ヒロ
大丈夫だよ。
ヒロ
今なら、なおきりさんの気持ちわかる。
ヒロ
俺も、うりさんを誰にも渡さない。
ヒロ
なにがあっても…ね?
かすかに笑う顔から、明確な殺意のようなものを感じる。
近づけない、そう俺でも思うほどに。







