イソップ
イソップは、自室のベットの上で目を覚ました。 昼にゲームに参加した筈だが、既に外は暗く、カーテンの隙間から淡い光が漏れ出ている。
イソップ
彼は、小さいながらも確かな当惑を珍しく表に出した。 ゲートから脱出し、その後自分はどんな方法で此処に辿り着いたのか? 何故時間がこんなにも進んでいるのか? 棺は何処へ消えたのか?
然し、幾ら思案しようが、難儀しようが、狼狽しようが、答えは主催者以外の何者にも解らない。
何者にも、何物にも、己(おの)が傀儡だと伝えられず、所詮科白の上で生きているとも知らず、朽ち果てていく。
生存者(サバイバー)とは、参加者とは、その様なモノなのだ。
イソップ
そんな事は、今の彼にとっては関係の無い陳腐な考え。
憔悴に浸かった心身を無理に起こし、イソップはトレイシーが居るであろう食堂へ急ぐのだった。
トレイシーは沈黙の食堂で、コントローラー片手に椅子に腰掛けていた。
扉が開くや否や、彼女はコントローラーを机上に置き、イソップの方へ顔を向ける。
トレイシー
イソップ
トレイシー
イソップ
トレイシー
言われた通り、イソップはトレイシーの丁度向かい側の椅子へ腰掛けた。
トレイシー
イソップ
トレイシー
イソップ
トレイシー
イソップ
トレイシー
トレイシーは一呼吸置き、イソップの双眸をしっかりと其の眼に焼き付けながらーー
トレイシー
イソップ
とうの昔に、彼の答えは決まっている。
イソップ
彼女に、刹那だけ光と言う名の希望が宿った。
トレイシー
イソップ
トレイシー
イソップ
トレイシー
イソップ
トレイシー
イソップ
随分とトレイシーは次の言葉を躊躇し、その影響で二人の間に沈黙が流れる。
トレイシー
「私の恋人になって下さい。」
イソップ
その言葉に、イソップにとって人生初の告白に吃驚したのは、語るまでも無い。
普遍ならば、僥倖。 然し彼は飄々として生きてきた。
トレイシー
トレイシーは途端に朴訥に陥りつつも、イソップの双眸をしかと見ながら言葉を紡ぐ。
トレイシー
イソップ
トレイシー
イソップ
トレイシー
イソップ
トレイシー
成人の男女二名が、真夜の食堂で恋を等、一体誰(参加者)が想像出来ただろうか。
否、不可能である。
イソップ
トレイシー
この恋は、克己心の死によって成立した。
××××年 12月27日
初めてのゲームに参加したが、そんな事はどうでも良い! 彼女との契約が成立した。 ついでに、恋人にも。 早く棺を作らねば。 あんな傀儡が入っている詰まらない物では無く、彼女だけの特殊で、絢爛豪華で、美しい棺を!
コメント
4件
初コメ失礼します!主様は神様ですか……?技師ちゃんんんんんんんんん可愛いいいいいいいいいい
初めてのコメント失礼します!!このお話大好きで何回も見てます!!!! 続きがまたあれば見てみたいです(*´꒳`*)