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幾多のループ

12 - 幾多のループ【Episode0】

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2021年01月08日

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静寂に包まれた、ある夜。

住み慣れた街の、見慣れない空を見上げていた。

彼女も、輝きを降り注ぐ星に目を奪われていた。

ヴェリタ

気分はどう?何か身体に異変はあったかい?

メニコ

ううん。何にもないよ!

メニコ

メニコ

お星さま、凄く綺麗だね。いつもの空なのに、気付かなかった

ヴェリタ

あぁ。僕もビックリしたよ。こんなに星が綺麗なんて

ヴェリタ

街の灯りが無くなったからかな

メニコ

ねぇ。本当に……その船の中に入るの?

メニコ

それも、一生

ヴェリタ

こうするしかないんだ

ヴェリタ

愛を忘れた僕たちにとって、これが一番、安心に未来を拝める方法なんだ

メニコ

他の人は入れなくていいの?……私達だけ、なんて………悪いよ

ヴェリタ

気遣いなんていらないよ。メニコ

ヴェリタ

まず、他の人なんて"残っていない"んだから

メニコ

やっぱり、アレが人なの?

ヴェリタ

元々、な

ヴェリタ

取り敢えず、僕たちが生き残る方法はこれしかないんだ

メニコ

うん……

メニコ

もう、外には出ないんだよね

ヴェリタ

あぁ。年をとってしまう

ヴェリタ

永遠に生きることが出来なくなる

普段は見せない、悲しい目を彼女は魅せた。

メニコ

もっと、友達と遊びたかったな

メニコ

お父さんと、お母さんと……

ヴェリタ

そんな過去を想うな

ヴェリタ

死ぬぞ

ヴェリタ

お前も……僕も

メニコ

じゃあ最後に、もうちょっとお星さまを見させて

ヴェリタ

まぁ、ギリギリまでいいぞ

彼女の目の輝きは星によるものなのか、涙によるものなのかはわからない。

ただ、この美しい瞳を見られるのはこの先、ありえないであろう。

人のココロを捨てるのだから。

ヴェリタ

メニコ、そろそろ乗り込まないと僕たちが危ない

メニコ

うん……

メニコ

……やっぱり、悲しいよ

メニコ

ねぇ……もし、もしも、困ってたら……ヴェリタは助けてくれる?

純粋無垢な瞳を向ける。嘘なんかついたらその瞳に刺されて死んでしまうだろう。

ヴェリタ

当たり前だ。僕はメニコの実の兄だ

メニコ

じゃあ、寂しくないかもね

微かに笑ったのだろうが、振り向くことが邪魔し、見えなかった。

メニコ

じゃあ、間違ったことをお願いしても……助けてくれるの?

後ろ姿が心配そうに語りかける。しかし、信頼も垣間見える。

ヴェリタ

お前だって……わかってるだろう?

ヴェリタ

僕は間違ったことは嫌いだ。例えメニコでも……正す

メニコ

じゃあ……安心して船に乗れるな

メニコから、船に乗り込む意思をしっかりと感じられる。

ヴェリタは手を差し出し、メニコをエスコートしようとした。

しかし、メニコの手は通り過ぎた。

メニコ

ねえ、あれ………何?

メニコの指した先には……

ヴェリタ

イキモノ……?

ヴェリタ

形から推測すれば……兎、か?

メニコ

可哀想だよ……あんな姿。ねえ、一緒に連れてっちゃだめ?

ヴェリタ

それは、ダメに決まってるだろう!愛着が湧いちゃうだろう?

メニコ

でも……

ヴェリタ

見てるだけ無駄だ。早く乗り込むぞ

メニコ

お願い!!

メニコ

絶対に愛を抱かないから!!何も思わずに育てるから!!

ヴェリタ

メニコ……

ヴェリタ

ヴェリタ

いいよ。今回は僕の負けだ

ヴェリタ

けど……愛するなよ

メニコ

うん!!

メニコは笑顔で駆けていき、ウサギを抱きしめて戻ってくる。

ヴェリタ

さぁ、早く乗り込もう

ヴェリタは船の扉を開ける。

それと同時に船へと続く階段が露わになる。

メニコが船へ乗り込もうとしているとき……コエが聞こえた。

ううぅ……うぁぁ……

メニコ

なんの声!?

ヴェリタ

早く乗れ!迫って来てる!!

そう叫び、二人が船へ乗り込んだ。

ヴェリタは振り返り、ドアノブに手を掛けた。

"それじゃあな"

そう心で呟き、全てが滅んだ世界から去っていった______。

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