西暦2200年代
犯罪を取り締まる警察は、9割以上の人間がSECONDと呼ばれる身体能力の高い者たちであった
連続殺人犯
連続殺人犯
連続殺人犯
乗用車を超える速度で街を逃げ回る男がいた
連続殺人の犯人だ
SECONDの中でもエリートの部類に入る特殊部隊が確保の為追っている
警察官1
警察官2
警察官1
警察官2
警察官1
警察官2
SECONDの奴らが二手に別れて走っていった
近くの交番でその様子を見ていたロゲインは軽く溜息をつき、淹れたてのコーヒーを口の中に流し込む
ロゲイン
路地でやり合うなら交番勤務のロゲインも一応犯人逮捕に連れ出される可能性が高い
SECONDの犯罪者なんて勝てるはずがない
FIRSTの中では武術において優秀なロゲインでもSECOND相手なら子どもにだって勝てない
それだけ力の差があるのだ
ロゲイン
そう文句を垂らしながらロゲインは立ち上がり、巡回という名の散歩へ出かけて行った
同時刻
警察官2
警察官1
連続殺人犯
警察官2
少年の様な顔立ちの女性警察官がスタンガンを構える
被弾すると、体に電流が流れる仕組みだ
連続殺人犯
警察官2
連続殺人犯
連続殺人犯は飛び上がり、警察官の背後に回る
警察官2
連続殺人犯
再び乗用車超えのスピードで走り出した
警察官1
警察官2
警察官2
警察官1
ロゲイン
そう呑気に構えていると、何かが猛スピードで走ってくるのが見えた
その奥から警官っぽいのが走っている
何となく直感した
SECONDの連続殺人犯だ
ロゲイン
このままでは危ない
捕らえようとすれば死ぬ
しかし、このまま逃げれば後で特殊部隊からなんと言われるか
なら、どうするべきなのだ?
分からない
けれど、アイツを止めなければ
自分は永遠に旧人類FIRSTのままだ
ロゲイン
ロゲインは、腰にさしてある警棒を抜く
上手くいくか怖い
けれど、止めなければならない
警察官2
警察官1
五月蝿い!
高く飛び上がり自分に伸し掛かろうとしている殺人犯の腹部を警棒でつく
速すぎて何も見えなかったが、恐らく上手くいった
連続殺人犯
肺から空気が押し出されたのだろう
苦しそうな声を出して犯人は尻餅をついた
連続殺人犯
ヤバイ掴まれる
そう思った時、犯人にスタンガンのスパークが駆け巡った
連続殺人犯
犯人が警棒を掴む
ロゲイン
全身に電流が流れる
SECOND用のスタンガンは通常のものより電圧が大きい
普通の人間が喰らえば麻痺するくらいだ
警察官2
警察官1
警察官2
警察官1
警察官2
そのやり取りを最後に
意識が途切れてしまった
ロゲイン
フレッド
目を開けると、昼の路地裏だった
長時間気を失ってたのかとも思ったが、どうやら違うように感じられる
この路地の感じ…凄く違和感があるからだ
取り敢えず、自分に声をかけてくれた人に目を向ける
歳は確たる証拠は無いが、同じくらいに見える
ロゲイン
フレッド
フレッド
ロゲイン
呆然としたまま起き、立ち上がる
ロゲイン
フレッド
フレッド
そう言うと目の前と青年は手首を掴んできた
振りほどこうにも全く振り解けない
そのまま手首を捻られ、地面に叩きつけられる
フレッド
フレッド
ロゲイン
この時代の人なら誰でも知っている
人類最初のSECONDだ
持ち前の頭脳と他者の追随を許さない怪力で
国の機能を完全に落とした犯罪者だ
そんな奴がどうしてこんな所にいるのだろうか
ロゲイン
フレッド
フレッド
ロゲイン
フレッド
フレッド
フレッド
ロゲイン
ロゲイン
ロゲイン
どうしてこんなことを言っているのか分からない
しかし、それくらいしかかける言葉が無かった
フレッド
別にそうでは無いが取り敢えず頷く
すると、フレッドは上機嫌になり
フレッド
フレッド
フレッドは掴んでいた手首から手を離し、手を差し伸べてきた
ロゲイン
フレッドの手を取り、ゆっくりと立ち上がる
フレッド
ロゲイン
フレッド
ロゲイン
フレッド
フレッドの深海のように青い瞳に、ロゲインは全てを見抜かれている気がした
フレッド
フレッド
フレッド
流石世界一の犯罪者だ
彼を抜く者は後世になっても現れないだろう
ロゲイン
ロゲイン
フレッド
フレッドが続きを言おうとした時、不意にフレッドの携帯が鳴った
フレッド
かなり旧式の携帯をとり、フレッドが何か話す
フレッド
フレッド
フレッド
フレッド
フレッドは通話を終了させると、ロゲインの方へ向き直り
フレッド
ロゲイン
フレッド
フレッド
密売組織くらいなら相手にした事はある
それにこの時代なら、まだ何か出来るかもしれない
そんな希望が、俺の結論を一つに絞った
ロゲイン
フレッド
ロゲイン
フレッドの後ろについて、暗い路地裏を歩き始めた
密売組織建物のかなり近くまで来た
こういう時が一番緊張する
フレッド
フレッド
ロゲイン
フレッド
フレッド
ロゲイン
フレッド
フレッド
ロゲイン
フレッド
ロゲイン
指摘された途端、身体中から力が抜ける
本当は分かっている
自分はどうしようもなく弱虫で、圧倒的な力の前で殺されるのを恐れている
SECONDに、警棒で立ち向かった時でさえ怖くてたまらなかった
そのまま膝から崩れ落ちる自分の前にフレッドはしゃがみこみ
フレッド
フレッド
フレッド
フレッド
ロゲイン
ロゲインは、フレッドに向かって思いっきり叫んだ
望んでもいないのに涙が溢れ出す
フレッド
ロゲイン
ロゲイン
フレッド
ロゲイン
建物内部では、銃撃戦になっていた
密売人A
密売人A
フレッド
扉を無理矢理こじ開けて侵入するフレッドにロゲインも続く
密売人A
内部の惨状は酷いものだった
襲撃者達と密売業者の死体
よく見えないがまだ数人が撃ち合ってるのがわかった
右手前の物陰に一人、左奥に二人いる
対して密売人は声を上げた一人と、ロゲインのすぐ側で布で身を隠している人だけだ
フレッド
フレッド
フレッドはさらっとそう伝えると、奥へ消えて行った
ロゲイン
ロゲインは腰から拳銃を抜く
警棒は未来に落としてしまったらしい
壁に沿って歩き、襲撃者のいる物陰に接近する
まだ気付かれてはいない
ロゲイン
なにかのハーブの箱の後ろに隠れている襲撃者の頭が少し見える
失敗すれば撃たれてしまうかもしれない
しかし、今はフレッドがいる
まだ知り合って少しなのに不思議と彼を信頼してしまう
それだけ、人を信頼させる何かを持った人なのだ
ロゲイン
深く深呼吸をし、ゆっくりと引き金を引く
乾いた発砲音と共にどさりと人が倒れる音がした
ロゲイン
走ってフレッドのいた方まで行ってみると、銃撃戦は終わっていた
フレッド
ロゲイン
フレッド
近くには二人の人間の死体が転がっている
おそらく、一人は腹部に強い衝撃を受けた事による内臓の損傷
もう一人は首を絞められた事による窒息死だ
ロゲイン
フレッド
フレッド
ロゲイン
密売人A
フレッド
フレッド
状況を察したのか布で隠れていた奴も出てきた
密売人A
密売人A
もう一人も大丈夫なのか頷いていた
密売人A
密売人B
ロゲイン
フレッド
密売人A
フレッド
フレッド
ロゲイン
フレッド
密売人B
密売人A
ロゲイン
その後、未来に帰れる気もしなかったから、仕方なくフレッドの家に泊めてもらう事にした
ロゲイン
フレッド
フレッド
ロゲイン
フレッド
ロゲイン
フレッド
フレッド
ロゲイン
フレッド
ロゲイン
フレッド
やはり見抜かれていたか
確かにあの時は生き残る為に言った嘘だ
しかし、今は……
ロゲイン
フレッド
きっと言葉の意味は分かってくれた筈だ
そう願いたい
フレッド
フレッドは近くのタンスを指して
フレッド
ロゲイン
フレッド
フレッド
確かに、フレッドの方が少し背が高いくらいであまり差はない
フレッド
フレッド
ロゲイン
全く嬉しくないが、フレッドの服は殆どサイズぴったりだった
ご丁寧に拳銃を入れるベルトまである
ロゲイン
拳銃をさして、鏡の前に立ってみる
フレッド
いつの間にかフレッドが後ろから覗きこんでいた
ロゲイン
フレッド
フレッド
フレッド
用意されたいたのはパンとスープだ
ここ数年間、栄養ブロックが食事だったから驚いている
ロゲイン
フレッド
昔は栄養固形食がここまで発達してなかったから、殆どが通常の食べ物で栄養を摂っていた
知識としては知っている
ロゲイン
フレッド
フレッド
ロゲイン
信じてくれるかは分からなかったが、ロゲインは今までの経緯を話した
フレッド
フレッド
ロゲイン
ロゲイン
フレッド
ロゲイン
フレッド
フレッド
フレッド
ロゲイン
フレッド
ロゲイン
フレッド
フレッド
いつの間にか食事を済ませていたフレッドはそう言い、キッチンへ去っていった
スプーンを手にとり、スープを飲む
ロゲイン
栄養固形食は殆ど味がしない
それに対してこのスープは味がある
それだけで嬉しいと思った
こんな事を思う自分はきっと、この時代では
貧しい人なのだろう
フレッド
ロゲイン
フレッド
ロゲイン
フレッド
ロゲイン
フレッド
フレッド
ロゲイン
フレッド
フレッドは手に持っていた服をロゲインの方に投げつけると、リビングの方へ去っていった
ロゲイン
あの日から数週間
ロゲインはしっかりフレッドの相棒として定着している
実際フレッドとの仕事はなかなか悪くないし、警察だった頃より充実している
ロゲイン
唯一未来から持って来る事に成功した拳銃をベルトにさす
昔からだが、こうするとやるぞって気持ちになる
ロゲイン
ロゲインはそう叫ぶと、リビングへの扉を開けた
フレッド
フレッドがパンを渡してくる
毎朝食ってるが、すごく美味い
ロゲイン
フレッド
ロゲイン
フレッド
フレッド
ロゲイン
フレッド
フレッド
フレッド
ロゲイン
ロゲイン
フレッド
フレッド
フレッド
敵組織人1
フレッド
フレッド
敵組織人1
敵組織人2
敵組織人1
連中の一人がフレッドに殴りかかる
フレッド
しかし、フレッドは難なく拳を止めて力を込めていく
敵組織人1
フレッド
敵組織人2
仲間に駆けよろうとする奴に、ロゲインは銃を向ける
敵組織人2
ロゲイン
敵組織人3
敵組織人4
フレッド
ロゲイン
フレッド
ロゲイン
フレッド
フレッド
フレッド
たったそれだけの言葉で、辺りが凍りついたのを感じた
敵組織人3
敵組織人4
敵組織人4
フレッド
フレッドが捉えていた奴の腹を蹴ると同時に、ロゲインは、三人に向かって発砲した
フレッド
ロゲイン
それから1時間もしないうちに、敵に生存者はいなかった
フレッド
ロゲイン
フレッド
ロゲイン
ロゲイン
フレッド
ロゲイン
ロゲイン
フレッド
フレッド
フレッド
ロゲイン
お前がいるからこんな世界になったんだとは、不思議と言えなかった
フレッド
そう言うフレッドの姿は、到底犯罪者には見えなかった
ロゲイン
フレッド
フレッド
フレッド
それからの計画は、どんどん進んで行った
フレッド
フレッド
ロゲイン
ロゲイン
フレッド
ロゲイン
フレッド
フレッド
ロゲイン
フレッド
フレッド
フレッド
ロゲイン
ロゲイン
フレッド
ロゲイン
ロゲイン
フレッド
その言葉は、あっさりとフレッドの口から放たれた
ロゲイン
フレッド
フレッド
フレッド
ロゲイン
フレッド
「それじゃあ、またね」と言ってもフレッドは自室へと帰って行った
ロゲイン
最近ずっと考えている
最初はこんな犯罪者の生きてる時代嫌だと思ったが、今考えると飯も美味いしSECONDもいない
よく考えたら楽園ではないか?
けれどフレッドはロゲインを未来に戻そうと頑張ってくれている
一体どうしたら良いのだろうか
考えても答えは出ない
二ヶ月後
あれから、どんな依頼だってこなしてきた
いつしか、フレッドは必要不可欠な存在になっていた
しかし今日は決行日
歴史改変の為に政府のコンピュータをハッキングし、ロゲインに高圧電流を流してタイムスリップをさせる
どちらも成功率は高くないが、やるしかないのである
ロゲイン
フレッド
フレッド
フレッドがコンピュータの難しそうな画面を確認したのち、enterと書かれたキーを押した
フレッド
フレッドは難解そうなプログラミング言語を網膜に映しながら説明する
フレッド
フレッド
フレッド
フレッド
フレッド
ロゲイン
フレッド
フレッドは振り返らずに尋ねる
ロゲイン
その時、初めてフレッドは振り返った
フレッド
ロゲイン
ロゲイン
ロゲイン
ロゲイン
フレッドはコンピュータのディスプレイを拳で叩き割ると、目から涙を流し始めた
ロゲイン
ロゲイン
フレッド
フレッド
フレッド
フレッド
ロゲイン
フレッド
ロゲイン
ロゲイン
ロゲインの差し出した手を、フレッドがしっかり握った
フレッド
フレッド
ロゲイン
フレッド
ロゲイン
フレッド
フレッドが天才と呼ばれてきた理由をもう一つ、知った気がした
フレッド
あれから数年、フレッドとロゲインは国の最重要機密であった人体改造のデータを盗みだし、車で逃亡している最中なのだ
ロゲイン
フレッド
ロゲイン
ロゲイン
フレッド
ロゲイン
フレッド
ロゲイン
フレッド
犯罪者として後に名を残すことになるのだろうか
ロゲインはふと、そう思った
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ちょ…スエンさん… なんでこんな素晴らしいお話が書けるんですか…? なんかもう…一周回ってちょっと怖いです…