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ゲスト出演を頼んでみた。

8 - ゲスト出演第七弾『不運な犯人・前編』@久遠あゆみさん

♥

300

2022年09月19日

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四宮 耀

うーん……

榛(はしばみ)司

あら、まだ悩んでいるの?

四宮 耀

司先輩…そりゃ悩みますよ

四宮 耀

これ、どっちかしかないんですよね?

榛(はしばみ)司

ええ、そうね

榛(はしばみ)司

A or B

榛(はしばみ)司

必ずどちらかが犯人よ

四宮 耀

うぅむ…

榛(はしばみ)司

ちなみに今、どっちが怪しいって思ってるの?

四宮 耀

B…ですかね…

榛(はしばみ)司

理由は?

四宮 耀

死体は複数回刺されていました

四宮 耀

ということは、強い恨みを持っていたということになります

榛(はしばみ)司

そうね

四宮 耀

そうなると被害者に恋人をとられた経緯を持つBかな、と

榛(はしばみ)司

なるほど、でもBにはアリバイがあるわよね?

四宮 耀

そ、そうなんですけど

四宮 耀

Aは単なる同僚ってだけですし

榛(はしばみ)司

でも、アリバイは無いのよ?

四宮 耀

だから、Aが引っ掛けて本命はBかな…って…

語尾を濁して言い、

視線を手元のタブレットの画面に落とす。

二人が話している事件はすでに

数年前に榛の活躍によって解決している。

榛(はしばみ)司

そんな理由では、犯人は検挙できないわよ

四宮 耀

う、うーん…そうですよねぇ…

そういったところで

電車は長いトンネルを抜ける。

榛(はしばみ)司

あ…

四宮 耀

わぁ!すごい!

四宮は感嘆の声を上げる。

四宮 耀

綺麗な紅葉ですね

四宮 耀

あ!見てくださいよ

四宮 耀

滝ですよ、滝

タブレットを座席に置いて、

四宮は窓に近付く。

榛(はしばみ)司

もぉ、子供じゃないんだから

榛は呆れたように言いながらも

四宮の無邪気な姿を

暖かい眼差しで見つめていた。

四宮 耀

もうすっかり秋ですね

四宮 耀

あ…

榛(はしばみ)司

あら

振り返った四宮と榛が見たのは、

隣の席に座っていた少年が

タブレットを覗き込んでいる姿だった。

四宮 耀

あ、あ、ちょっと!君!

四宮は慌ててタブレットを手に取る。

四宮 耀

何勝手に見てるの!?

稔 魔叉琉

いえ、先程の会話が気になっていたので

碧 紗羅

ちょっ、ちょっと魔叉琉

少年の連れと思われる少女が袖を引っ張る。

榛(はしばみ)司

いえ、いいのよ

榛(はしばみ)司

こっちもタブレットをそのままにしていた彼が悪いんだし

四宮 耀

え、司先輩…?

榛(はしばみ)司

それで、気になった会話って何かしら?

稔 魔叉琉

もう解決した事件の話しをされていたんですね

榛(はしばみ)司

ええ、そうよ

榛(はしばみ)司

暇つぶしってところかしら

稔 魔叉琉

そうだったんですね

榛(はしばみ)司

…あら、その感じ

榛(はしばみ)司

犯人がわかったのかしら?

四宮 耀

え…そ、そんな

稔 魔叉琉

……そう、ですね

四宮 耀

こんな子供に…

榛(はしばみ)司

もぉ、そんな大人げないこと言わないの

四宮 耀

あ、はい……

榛(はしばみ)司

では、イケメンさんの推理を聞こうかしら

稔 魔叉琉

イケメンさんではなく

稔 魔叉琉

俺の名前は稔魔叉琉です

稔 魔叉琉

彼女は

碧 紗羅

碧紗羅です

榛(はしばみ)司

可愛い彼女さんね

碧 紗羅

あ、ありがとうございます

榛(はしばみ)司

私は榛司(はしばみ つかさ)

榛(はしばみ)司

彼は四宮耀(しのみや よう)

四宮 耀

…どうも

榛(はしばみ)司

では、改めて稔くん、いいかしら?

稔 魔叉琉

はい

稔 魔叉琉

……犯人はAです

榛(はしばみ)司

どうして?

稔 魔叉琉

アリバイが無いというのも大きな理由ですが

稔 魔叉琉

被害者は睡眠薬で眠らされ

稔 魔叉琉

殺害されたんですね?

榛(はしばみ)司

ええ、そうよ

稔 魔叉琉

Aは不眠症を患っているとありましたが

四宮 耀

(あの一瞬でそこまで読んだの!?)

稔 魔叉琉

Aの持っていた睡眠薬が使われたんじゃないですか?

榛(はしばみ)司

当たりよ、凄いわね

四宮 耀

で、でも!

四宮 耀

単なる同僚であるAがどうしてこんなことを?

四宮 耀

恋人を取られたBの方が

四宮 耀

動機がはっきりしていると思うけど

稔 魔叉琉

それなら、Bの写真を見ればわかると思います

四宮 耀

Bの写真……

稔 魔叉琉

左手の薬指に指輪をはめていますよね?

四宮 耀

え、あ……うん

稔 魔叉琉

つまり、彼女には新しい恋人がいるということです

稔 魔叉琉

この場合、恋人ではなく

稔 魔叉琉

婚約者かもしれませんが

稔 魔叉琉

そんな方が殺害に及ぶわけがない、と思いますけど

四宮 耀

うっ……

四宮 耀

確かに……

四宮 耀

なら、どうしてAが犯行に?

榛(はしばみ)司

四宮くん

四宮 耀

は、はい

榛(はしばみ)司

世の中には明確な動機を持たずに

榛(はしばみ)司

行き当たりばったりで人を殺す犯人もいるのよ

四宮 耀

え…

四宮 耀

じゃあ、この犯人……

榛(はしばみ)司

彼もそう

榛(はしばみ)司

隙だらけだったらから睡眠薬を飲ませて殺した

碧 紗羅

そんな、酷い……

榛(はしばみ)司

そういうおかしな人間もいるから

榛(はしばみ)司

気を付けてね、可愛いお嬢さん

碧 紗羅

は、はい…

そこで、次に停まる駅名がアナウンスされる。

榛(はしばみ)司

ようやっと着いたわね

碧 紗羅

榛さんも次の駅で降りるんですか?

榛(はしばみ)司

”も”ということは

榛(はしばみ)司

あなた達も?

碧 紗羅

はい、そうなんです

碧 紗羅

ここの”悠然の宿”から見える紅葉が綺麗だって聞いて

四宮 耀

あ、そこ……

碧 紗羅

え、もしかして

榛(はしばみ)司

私たちもその旅館に泊まるのよ

榛はにこやかに言ったが、

その言葉を聞いて

稔は複雑な表情を浮かべた。

稔 魔叉琉

あの…

榛(はしばみ)司

なにかしら?

稔 魔叉琉

つかぬことをお伺いしますが

榛(はしばみ)司

うん、何でも聞いてちょうだい

稔 魔叉琉

榛さんと四宮さんの関係は…

四宮 耀

えっ!?

四宮 耀

あ、そ、それはっ

榛(はしばみ)司

なんでそんなに動揺してるの?

榛(はしばみ)司

彼とは職場の先輩と後輩という関係よ

稔 魔叉琉

つまり、警察官の?

四宮 耀

なっ!?

四宮 耀

なんでそのことを!?

榛(はしばみ)司

四宮くん

榛はため息交じりに後輩の名前を呼ぶ。

四宮 耀

え、あ、はい

榛(はしばみ)司

タブレットを見られた時点でわかってたことでしょう?

四宮 耀

(そ、そう…かな?)

稔 魔叉琉

最初は新聞記者かと思いましたが

稔 魔叉琉

タブレットを見て確信しました

稔 魔叉琉

書かれていた内容はどう見ても警察のモノ

榛(はしばみ)司

さすが、噂通りの名探偵さんね

稔 魔叉琉

え…

榛(はしばみ)司

稔魔叉琉、稔探偵事務所の所長さん

榛(はしばみ)司

数々の難事件を解決し

榛(はしばみ)司

警察に多大なる貢献をしている人物

稔 魔叉琉

多大なる貢献って…

榛(はしばみ)司

ふふっ

榛(はしばみ)司

署内ではそう言われてるわよ

稔 魔叉琉

……

碧 紗羅

よかったね、魔叉琉

稔 魔叉琉

これって喜んでいいのか?

碧 紗羅

いいんじゃないかな?

碧 紗羅

そう、私は思うけど…

稔 魔叉琉

ま、そういうことにしておくか

四宮 耀

(ちなみに、僕は何も知らない……)

四宮 耀

(あとで調べとこっと…)

稔 魔叉琉

それで

稔 魔叉琉

警察官である榛さんたちは一体どうしてその旅館に?

稔 魔叉琉

休暇を取って後輩と遊びに来た

稔 魔叉琉

っていう雰囲気じゃないけど…

榛(はしばみ)司

じゃあ、それを次の問題にしようかなぁ

榛(はしばみ)司

当てられたら、何か美味しいモノを奢ってあげるわ

碧 紗羅

こ、これは張り切って問題を解かないと!

稔 魔叉琉

さ、紗羅…

榛(はしばみ)司

ふふっ、可愛いお嬢さんね

榛(はしばみ)司

いいなぁ、若いって

四宮 耀

は、榛さんも十分若いですし

四宮 耀

か、可愛いですよ!

榛(はしばみ)司

あら、ありがと

稔 魔叉琉

(警察官二人が旅館を訪ねる理由、か……)

【旅館”悠然の宿”】

榛(はしばみ)司

はい、こっちが四宮くんの部屋の鍵ね

四宮 耀

はい……

四宮 耀

(当然、同部屋じゃないですよねぇ)

四宮 耀

(わかってたけど…)

四宮 耀

(わかってたけど!!)

四宮 耀

(実はちょっと期待してた……)

榛(はしばみ)司

部屋に荷物を置いてきたらロビーに集合ね

四宮 耀

は、はい

碧 紗羅

ねぇ、魔叉琉

稔 魔叉琉

ん?

碧 紗羅

あの四宮さん…

碧 紗羅

榛さんのこと…

稔 魔叉琉

たぶん、そうだな

稔 魔叉琉

きっと、榛さんも気づいているんじゃないかな?

碧 紗羅

気付いてて……

碧 紗羅

何もしてないの…かな?

碧 紗羅

お付き合いしてる感じはないよね?

稔 魔叉琉

……何かあるんだろ

稔 魔叉琉

あの二人の間にはさ

碧 紗羅

…そっか…

碧 紗羅

(何かって…なんだろう…)

稔 魔叉琉

さて、俺たちは旅館でゆっくりしつつ

稔 魔叉琉

あの二人の警察官が何をしにきたのか

稔 魔叉琉

探らないとな

碧 紗羅

うん!

碧 紗羅

実はちょっと思い当たることがあるの

部屋に着いて早々、紗羅が切り出した。

稔 魔叉琉

なに?

碧 紗羅

この旅館を選んだとき

碧 紗羅

全焼した離れを再建しましたって書いてあったの

言いながら紗羅はスマホを操作し、

表示された画面を見せる。

稔 魔叉琉

…十年前に全焼した離れを再建…

碧 紗羅

もしかして、これを調査しに来たんじゃないのかな?

稔 魔叉琉

その可能性は十分有り得るな

稔 魔叉琉

さすが紗羅

稔 魔叉琉

よく気がついたな

碧 紗羅

えへへ…

碧 紗羅

これでも名探偵の助手ですから

稔 魔叉琉

(かわいい……)

碧 紗羅

碧 紗羅

魔叉琉?

稔 魔叉琉

あ、ああ

稔 魔叉琉

いや、なんでも

稔 魔叉琉

じゃ、その線で調べてみようか

碧 紗羅

うん!

碧 紗羅

魔叉琉、記事見つけたよ

稔 魔叉琉

どれ?

碧 紗羅

これ

再び碧は稔にスマホの画面を見せる。

稔 魔叉琉

……十年前…

稔 魔叉琉

建設途中の離れが全焼…

稔 魔叉琉

焼け跡から二つの遺体が発見…

稔 魔叉琉

一人は、旅館の宿泊客─山田勇斗さん…

稔 魔叉琉

もう一人の身元は不明……

稔 魔叉琉

建設現場に火災の原因となるものが見当たらないことから

稔 魔叉琉

放火の疑いもあると見て調べている…

稔 魔叉琉

なるほどね

碧 紗羅

でも、これ以上詳しい情報は載ってないの

稔 魔叉琉

ということは、残る一つの遺体は

稔 魔叉琉

身元不明のままってことか…

【"悠然の宿"一階】

四宮 耀

そういえば

四宮 耀

どうして急に現場を見に行く

四宮 耀

なんて言ったんですか?

四宮 耀

てっきり僕は

四宮 耀

彼女の足取りを探るものだと思っていたんですけど

榛(はしばみ)司

現場を見たことがなかったからよ

榛(はしばみ)司

ちゃんとどういう場所なのか確認して

榛(はしばみ)司

それから捜査したいって思ったの

四宮 耀

そうだったんですか…

四宮 耀

でも、どうして今頃になってもう一人の身元がわかったんでしょうか?

榛(はしばみ)司

あら、知らないの?

四宮 耀

いえ、捜索願が出されたから、という経緯は聞きましたけど

四宮 耀

二十代女性なんて腐るほどいるじゃないですか

四宮 耀

よく鑑定してみようという気になったな、と思いまして

榛(はしばみ)司

私が進言したの

四宮 耀

え、司先輩が?

榛(はしばみ)司

身体的特徴も

榛(はしばみ)司

行方不明になった時期も似通っていたから

榛(はしばみ)司

DNA鑑定してみてはどうですか?ってね

榛(はしばみ)司

それが見事当たったから再調査の許可が降りたのよ

四宮 耀

そ、そうだったんですか

四宮 耀

(うわぁ…さすが司先輩!!)

支配人

お、お待たせしました

榛(はしばみ)司

いえ

榛(はしばみ)司

お忙しいところ時間を作っていただきありがとうございます

支配人

それで…

支配人

刑事さんが今さらこの旅館に

支配人

ど、どのような要件でいらっしゃったのでしょう?

榛(はしばみ)司

十年前の放火殺人事件についてお伺いにきました

支配人

しかし、あの事件は…

榛(はしばみ)司

少し進展があったんです

支配人

!?

支配人

あ、ああ…

支配人

すみません……

支配人

遅くなりましたが、お茶をどうぞ

四宮 耀

青い…

四宮 耀

お茶…

榛(はしばみ)司

ハーブティーかしら?

支配人

は、はい

支配人

自家栽培のハーブと

支配人

今流行りのバタフライピーを合わせた

支配人

オリジナルハーブティーです

支配人

お口に合えばいいのですが…

榛(はしばみ)司

……

四宮 耀

……

榛(はしばみ)司

美味しいですね

支配人

ありがとうございます

支配人

売店でも売っていますので

支配人

もし宜しかったらお帰りの際にでも

榛(はしばみ)司

そうね、考えておくわ

四宮 耀

(…苦い…)

四宮 耀

(大人の味ってことかな……)

榛(はしばみ)司

では、改めて…

榛(はしばみ)司

十年前の宿泊者名簿を見せて貰えますか?

支配人

もう、何度も見せたはずですが…

榛(はしばみ)司

ええ、でも

榛(はしばみ)司

もう一度お願いします

支配人

はぁ……

支配人

わかりました

榛(はしばみ)司

それと

榛(はしばみ)司

当時もこちらで働いていた従業員の方は今もいらっしゃいますか?

支配人

……一人だけ、います

榛(はしばみ)司

では、その方にもお話をお伺いできれば

支配人

彼は夕方…

支配人

17時ごろ出勤予定なので…

榛(はしばみ)司

遅くなっても構いません

支配人

…わかりました

支配人

では、宿泊者名簿を取ってきますので少々お待ち下さい

"悠然の宿" 1階宴会場

碧 紗羅

あれ、榛さん

榛(はしばみ)司

あら、碧さん

碧 紗羅

こんばんは

榛(はしばみ)司

こんばんは

碧 紗羅

お一人…ですか?

榛(はしばみ)司

そうなの

榛(はしばみ)司

四宮くんったら部屋の扉を叩いても返事はないし

榛(はしばみ)司

電話をしても出ないし

榛(はしばみ)司

だから、放置してきちゃった

碧 紗羅

え、いいんですか?

榛(はしばみ)司

いいのいいの

榛(はしばみ)司

きっと疲れて寝ちゃってるだけだから

碧 紗羅

そう、ですか

榛(はしばみ)司

一人じゃ寂しいから

榛(はしばみ)司

一緒に食べてくれる?

碧 紗羅

はい!

榛(はしばみ)司

それで私達が調べてる事件

榛(はしばみ)司

なにか分かったかしら?

稔 魔叉琉

十年前にあった放火殺人事件、ですよね?

榛(はしばみ)司

ふふっさすがね

稔 魔叉琉

調べたらすぐに出てきました

碧 紗羅

でも、十年前の事件ですよね?

碧 紗羅

どうして今ごろ…

稔 魔叉琉

身元がわかったんですよね?

碧 紗羅

え?

榛(はしばみ)司

正解!さすがは名探偵さん

榛(はしばみ)司

約束通り美味しいモノ奢ってあげなきゃね

碧 紗羅

十年越しに身元が…

碧 紗羅

それは誰…ってさすがに教えて貰えませんよね

榛(はしばみ)司

いいえ

榛(はしばみ)司

名前は浅島奈央(あさじま なお)さん

榛(はしばみ)司

メディアにも公開されている情報だから安心して

碧 紗羅

あさじま、なお…

稔 魔叉琉

一緒に見つかった山田さんとの繋がりは?

榛(はしばみ)司

今のところわかっていないわ

榛(はしばみ)司

十年前の宿泊者名簿にも載っていなかったし

稔 魔叉琉

ということは、地元の?

榛(はしばみ)司

どうかしら?

榛(はしばみ)司

まだそこまで調べはついてないの

稔 魔叉琉

……

榛(はしばみ)司

……

稔 魔叉琉

ふっ

碧 紗羅

え、どうしたの?

稔 魔叉琉

いや、いつもお世話になっている人たちは

稔 魔叉琉

本当に何でも教えてくれていたんだなって思ってな

榛(はしばみ)司

ああ、高峰刑事と藤野警部でしょ?

碧 紗羅

ご存知なんですか?

榛(はしばみ)司

高峰刑事とは面識がないけど

榛(はしばみ)司

藤野警部とは何度か会ったことがあるの

碧 紗羅

そうだったんですか

稔 魔叉琉

でも、榛さんは本当に口が堅いですね

稔 魔叉琉

いや

稔 魔叉琉

表情からも思考が読めない

榛(はしばみ)司

あら、それは褒められてるのかしら?

稔 魔叉琉

はい、褒めてます

稔 魔叉琉

芯が強く

稔 魔叉琉

ブレることなく己の信念を貫く人です、貴女は

榛(はしばみ)司

ありがと

榛(はしばみ)司

でも、そんな風にべた褒めしちゃうと

榛(はしばみ)司

彼女さんが妬いちゃうわよ?

碧 紗羅

そ、そんなことありません!

碧 紗羅

私も榛さんは強くてカッコいい女性だなって

碧 紗羅

憧れちゃいます

榛(はしばみ)司

二人とも人を褒めるのが上手いのね

稔 魔叉琉

それだけになんで部下が

そう言った彼の言葉に被されるように

遠くで悲鳴が上がった。

榛(はしばみ)司

なにかしら

言いながら榛はもう駆け出していた。

榛(はしばみ)司

悲鳴はどこから?

ロビーへ行き

フロントにいる女性従業員に声をかけると、

彼女は”上から”とだけ答えた。

階段を駆け上がると、

廊下で座り込んでいる女性客を見つけた。

榛(はしばみ)司

どうしました?

宿泊客

あ、あれ……

女性が震える指先で指示した方を見ると、

少しだけ扉が開いており、

部屋の中に人がうつ伏せで倒れているのが見えた。

碧 紗羅

あ……

一見しただけで死んでいるのがわかった。

背中に深々と刺された刃物。

畳に染み込む大量の血。

榛(はしばみ)司

皆さんはここに居て下さい

稔 魔叉琉

榛さん

榛(はしばみ)司

稔くん

榛(はしばみ)司

隣の部屋に四宮くんがいるから

榛(はしばみ)司

叩き起こしてきて

稔 魔叉琉

わかりました

支配人

あ、あの!

榛(はしばみ)司

殺人現場です

榛(はしばみ)司

保存のため、皆さんは近づかないでください

宿泊客

で、でもあんたは…

榛(はしばみ)司

私は、刑事ですから

そう言って榛が警察手帳を見せると、

他の宿泊客や従業員は黙り込んだ。

稔 魔叉琉

四宮さん!

稔 魔叉琉

四宮さん!

名前を呼んで

扉を叩いてもうんともすんとも言わない。

碧 紗羅

四宮さん…いないのかな

碧 紗羅

まさか、四宮さんまで…

稔 魔叉琉

いや

稔 魔叉琉

それは無いと信じたい

稔 魔叉琉

四宮さん!

ガチャッ……

ゆっくりと扉が開く。

出てきた人物の姿を見て

二人は息を飲んだ。

四宮 耀

どう…しました?

碧 紗羅

四宮さん…

碧 紗羅

それ……

四宮 耀

部屋から出てきた彼は

返り血を浴びて

真っ赤に染まっていた。

ゲスト出演を頼んでみた。

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