絶対に

『今週木曜日頃に台風13号が本州に上陸する予報です』

『西日本に在住の皆様は 防災グッズを用意するなど対策を＿＿＿』

今まで真夏のように暑かった気候から一変

台風が多く発生するやや涼しい季節になってきた

俺の親友『まろ』は関西に住んでいる

そのため台風の被害が大きく毎年不安になっている

俺はまろの電話番号を打ち スマホを耳に当てた

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ……ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ……

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ…ﾌﾟﾂｯ

やっぱりまろと話してる時が1番楽しい

まろと話してると時間も嫌なことも 全部 忘れられて

まるでこの世に俺とまろの2人しかいないようだった

だけどこの時間が1番の幸せだった

俺はいつの間にか

『友達』という関係ではなく『恋人』という関係でいたいと

そう思うようになっていた

雨……だんだん強くなってきてる……

電話越しからでも伝わってしまったのだろうか

携帯から聞こえるまろの声に重なった 雨の音に気が向き

不安や心配がどんどん膨らんでいった

やっぱり…

目の縁が熱くなる

ポタポタ溢れてくる涙

まろにはバレたくないから

いつもどうりのテンションで…

耐えきれず鼻声になってしまった

これじゃあまろに心配かけちゃうな…

ﾎﾟﾁｬ…ﾎﾟﾁｬ…

ｼﾞｬﾌﾞ…ﾁｬﾌﾟ…

ﾌﾟﾂｯ…ﾂｰｰ…ﾂｰｰ…

ｻﾞｧｧｧｰ……ｻﾞｧｧｧｰ……

最後に聞こえた水音

まろは…………

沈んだんだ

きっと俺に心配かけさせないように……

ｻﾞｧｧｧｰ……ｻﾞｧｧｧｰ……

部屋には窓越しからの雨音が広がっていた