優しい君は人を刺ス。

そりゃ、見れば分かるよ

でも、そんな訳ないって、

もしかしたらって、

無言の時間が続く。

僕が言葉を 発しようとした其の時、

刺してくれない？

そう言い君は、 僕にナイフを差し出してくる。

もし＿＿＿、もしも……

僕が本物の、 『 ニンキモノ』ならば

『助ける 』

なんて、主人公の様な言葉を 吐けたものだろうか？

でも………

僕は、偽物の 『 ニンキモノ』なんだ。

表の顔だけ魅せて。

僕は、皆の理想の 〝 蒼井 なおきり 〟では無いから。

でも、君を助けたかった。

だから……これは

僕なりの、

悪者なりの言葉だったんだ。

ク＂シャｯ"、

僕は、人を刺した。

同級生を刺した。

刺した時の感覚と 刺した後の光景

それらが頭の中から 全然消えなくて

気持ち悪くて、

心がぐちゃぐちゃで。

人を刺した罪悪感と

人を助けられなかった嫌悪感。

なんか、もう、

表現しきれない程、苦しくて、

でも、空は馬鹿みたいに広くて

なんか、その理不尽さに 涙なんか出なくて

家に帰って身体を休めたかった。

空から目を逸らしたかった。

カチャカチャッ

鍵を開けて、

ドアノブに手を掛ける

ガチャッ

なおきりさんｯ＿＿＿！

ゆあんくん？

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