結衣
「あ!そうそう、なんかさ、冬弥くんに告白するって言ってた女子いるじゃん?」
彰人
「んあ?」
結衣
「あの子あの子!」
彰人
「ああ…それで?どうしたんだ?」
結衣
「昨日冬弥くんに告白したんだって」
彰人
「へぇ」
結衣
「あの子なんか、私と冬弥くんは運命の赤い糸で繋がってるの!って言ってたらしいの」
結衣
「だけど、好きな人がいるんだって言われて振られたんだって」
彰人
「そりゃ可哀想に」
結衣
「それからあの調子なんだよね」
彰人
あの調子、というのは机に突っ伏してる状態のことだろう
結衣
「まぁ私も気持ちはわかるよ。だって好きな人に好きな人がいるって言われて振られたら私も悲しいもん」
結衣
「あ、でね!駅前にできたカフェなんだけど、彰人パンケーキ好きだったよね?」
彰人
「好きだな」
結衣
「なんかね、インスト見てるとどのパンケーキ屋よりも美味いって話題になってるの!」
結衣
「彰人、今日予定ある?」
彰人
「ないけど」
結衣
「ならさ、放課後一緒に行かない?」
彰人
「いいぜ、そこは私も気になってた
」
」
彰人
楽しい時間はあっという間だ。雑談しているとチャイムがなり、昼休みが終了した
彰人
生徒がクラスから一斉に出てくる。どうやら結衣は用事ができたらしく、することも無いのでそのまま帰路につこうとした。
モブ
「ねぇ、東雲さん」
彰人
「…なんだよ」
モブ
「あなた…よくも冬弥くんを洗脳したわね!」
彰人
「っ、」
彰人
皆が帰ろうとしている中、そいつは勢い良くオレの首を掴み、締めようとした。
彰人
そいつの叫んだ声で皆が振り返り、こっちを見た。
モブ
「おい!何してんだっ!」
モブ
「誰か!誰か先生呼んでこい!」
彰人
ざわざわとなる廊下の奥の方から、聞き慣れた先生の声がした。
先生
「おい!何している!」
モブ
「ちょっと!離しなさいよ!」
モブ
「私は今この女を殴んないと気が済まないの!」
モブ
「だから離しなさいってば!!」
彰人
などと騒ぎ立てるその女は先生に指導室に連れて行かれた。
モブ
「大丈夫ですか!?」
彰人
「あ…ああ」
彰人
オレの頭の中はもう混乱しており、その程度の返事しかできなかった。
彰人
とにかく頭を落ち着かせたかったので早く帰ることにしたが、よく考えれば最近歌っていなかった。
彰人
少し気晴らしにでもと荷物を置き、声を出す
彰人
「──────!」
彰人
「────────────!」
彰人
「─────────!」
彰人
久々に歌ったが、自分でも合格点が出せるぐらいには歌えた。
彰人
あまり一気に歌うと喉に負担がかかる。歌い手として喉は命と同じぐらい大事だ。
彰人
先程買ったスポーツドリンクを口にし、もう一曲歌おうとしたとき、声が聞こえた。
冬弥
「はっ…はっ…彰人!」
彰人
「…冬弥?」
彰人
「なんで…ここに?」
冬弥
「同じクラスのやつが教えてくれた」
冬弥
「そんな事よりも、ある事を言いに来たんだ」
彰人
「あること…?」
冬弥
「ああ…そうだ」
彰人
どうやら冬弥は緊張しているらしく、満を持して言った。
冬弥
「俺と…付き合ってくれ」
彰人
「は?…」
彰人
冬弥に言われた言葉を理解するのに3秒ほど頭を使い、ようやく意味を理解できた。
彰人
「なんで…?」
冬弥
「お前に振られた時からなんで振られたかずっと考えてたんだ。でも答えがわからないまま学校に来てずっと考えてたんだ。」
冬弥
「そしたら、彰人のクラスの女子が俺に告白してきたんだ。」
冬弥
「だが俺は彰人が好きだったから断ったんだ。したら俺が彰人に洗脳されていると言い出して、振られた理由がわかったんだ。」
冬弥
「これを踏まえて改めて言う、俺は彰人が好きだ。だから付き合ってくれ。」
彰人
「………」
彰人
「ああ……いいぜ」
冬弥
「本当か…!」
杏
「ほら!言ったでしょ!冬弥」
こはね
「良かったね!青柳君!」
彰人
「なっ!なんでお前らが!」
杏
「私達はね、ふたりの状況をどっちも知ってたのよ。」
こはね
「東雲君があの人のせいで別れたこと、青柳君がなんで振られたかわからなかったこと」
杏
「私達は全部知ってたの!」
彰人
「それ!先に言えよ!」
杏
「ごめんねー」
彰人
「絶対思ってないだろ」
こはね
「ごめんね!東雲君、青柳君」
冬弥
「いいや、謝るのは俺の方だ」
冬弥
「こうやって白石と小豆沢がサポートしてくれたおかげでまた彰人と付き合えた。」
杏
「愛されてるねー!彰人」
彰人
「…るっせ」
杏
「あはは!」
こはね
「ふふっ」
冬弥
「ふっ」