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前回までの要約: 盗賊は孤児院に入ることになったが脱出し、その後通りすがりの重戦士から食料を盗もうとし捕まる。 天使の説得により孤児院での暮らしを一先ず受け入れることにした。
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椅子の上で目が覚めた。気が緩んで少し寝てしまっていた。
金髪…【天使】がやった薄い毛布とクッションをどかして起き上がった。だがここには【天使】は居ない。
少しく便所に行きたいのだが、困った。とにかく部屋のドアを引いて廊下に出るが、人が居ない。
とりあえず部屋に戻り、使えそうな物と食料になる物を取ろうと部屋を探りかけたが、【天使】のやつにまた何か言われるだろうなと思ってやめた。それに、あの青髪の犬みたいに騒いで噛みつく女が来たらもっと嫌だ。
再び廊下に出て探索することにした。
明かりはついていて十分周りは見えるが、風の音一つも聞こえない。床が硬く滑らかなせいで足音が響きそうだ。
道中にドアは何枚かあったが、どのドアも押しても引いても反応が無い。
しばらく右往左往してると、突き当たりの角から突然何かが出てきた。
狩人
しまった、と、別に何もしていないはずだがその時は思った。相手が大人だったこともある。
直ぐに踵を返して走り出した。足音が廊下中に響き渡り、相手が咄嗟に追いかけてきた。
狩人
ぐんぐん走り抜けて左へ角を曲がる。しかし、一本道だった上に直ぐに行き止まりに当たった。
盗賊
狩人
追い詰められた。相手は男の大人だ。
髪の毛は緑で、赤いのも混じっているが、そんな事は考えていられない。脇からすり抜けようと床を蹴ったが、こいつの動きの方が圧倒的に速かった。あっさり捉えられてしまった。
盗賊
狩人
力が強い。抵抗する程抑えられた腕が絞められる。混乱で目頭が熱くなってきた。
狩人
そいつ…緑頭はそう何度もおれに言った。
しばらく抑えられている内に、騒ぎが聞こえたのだろう。他の大人と【天使】のやつがここに来た。
天使
狩人
おれも有名になったらしい。顔も名前も知らないやつに一方的に認知されている。
盗賊
天使
【天使】が来たから、少しは落ち着いた。他のやつらが何か色々話し合っているのを横目におれは便所まで連れられた。
便所から出て、【天使】が言った。
天使
廊下をぐねぐねと曲がって、また別の広い部屋に着いた。言われるがままに連れられたが、こいつが居ないとおれはどこにも行けなさそうだ。
盗賊
天使
服を剥がされて浴室に移された。湯を浴びせられて、体中の小さい傷に染みる。頭をがしがし掻かれて泡が目に入って痛い。おれは知らなかったが、風呂とは険しい試練であった。
水浴びでいいだろうと言ったが、それでは傷が治らないと。身体中を磨かれた後、【天使】の方も風呂が済んだらしく、しばらくして上がった。慣れると意外と心地が良い。
風呂に入る前の部屋に戻って、頭と身体を拭かれると、【天使】が変な銃みたいな形の物を出してきた。先に【天使】が自分の頭に使ってみると、突然轟音が鳴り出しておれは後退りしてしまった。
天使
何のためにそうするかは分からなかったが、また頭をがしがしと掻かれながら風を当てられた。
それが終わって服を着させられた。特段言う事の無い服だ。
ようやく風呂が終わり、部屋から出てまた廊下をぐねぐね曲がって、ベッドの詰められた寝室まで連れられた。【天使】がドアを静かに開けると、室内の照明は消されている。
天使
部屋の奥まで、頭が壁とくっつくようにベッドが3〜4つ等間隔に並べられていて、それがもう片方の壁にも同じように並べられている。その上でおれと同じぐらいのやつらが寝ているようだった。二人で一つのベッドを使っているやつも居る。
盗賊
奥の一つだけ空いているベッドに乗せられた。
天使
【天使】はまたドアを静かに閉じて、部屋を去った。廊下から届いていた光が遮断され、部屋は真っ暗になった。
ベッドに横になって、今日一日のことを頭の中で振り返る。色々なやつに出会った。この孤児院の大人達がおれを食うのではないかと最初は思っていたが、思い返して自分で笑った。なぜか、今はそんな感じが一つもしない。
明日は何があるのだろうか。もっとも、何があっても、おれには大したことではないだろう。