大好きなおばあちゃん

わたしの祖母は 体が弱かった

肺の病気を患っていて

何度も入院していた

初めての人の死

それは

祖母だった

わたしも大人達も

ずっと泣いていた

そう言っていた 祖母の夢は

叶わなかった

お通夜

年長のいとこは

結婚したばかりの旦那さんと一緒に来た

初孫の結婚式に…

わたしは居心地が悪くなり

同い年のいとこを連れて

トイレに駆け込んだ

トイレの個室

小学生のわたしには

人の死が、わからなかった

個室で向かい合い

いとこと、泣いた

その時

ススス…

足音も立てずに

黒い着物姿のおばあさんが、いとこの後ろを歩く

スリッパは二足だけ

だけど、おばあさんは わたしの声を無視して

無言で通り過ぎる

去り際に、着物の柄が見えた

金色の派手な柄

個室を出てトイレを探す

隣の個室には、誰も居ない

通路は行き止まり…

わたしといとこは大声を上げて、逃げ出した

その後

もちろん、大人達には話したけれど…

金色の柄！？

不謹慎な！！

たくさん怒られた…

落ち込むわたしに

祖母の妹さんが 声をかけてくれた

そう言って妹さんは

にっこりと笑ってくれた