私…村山美久は
とても大人しい
と、思われている
実際は 大人しいと言うより
口下手なのである
だからなのか
高校一年の夏になっても
友人が出来ない
いつも教室で一人
お昼時間も一人
が
今日はいつもと違った
谷口瞳
村山美久
珍しく 話しかけられたのだ
話しかけてきた相手は
谷口瞳
同じ中学出身だけど あまり話した記憶が無い
谷口瞳
お願いがあるの
村山美久
谷口瞳
村山美久
谷口瞳
映像を撮る部活
そんな部活があったのか
谷口瞳
マイナーだからさ
村山美久
谷口瞳
SNSで配信したり…
活動はしてる!
村山美久
すごいや
谷口瞳
興味ないよね?
あ、言葉を発さなければ! そんな事ないよ
村山美久
谷口瞳
良かった!
谷口瞳
来年の春に学生映画の
コンテストがあって
村山美久
谷口瞳
撮影に入るんだ
村山美久
谷口瞳
村山さんに
書いて貰いたいの!
は
村山美久
谷口瞳
小説書いてたでしょう?
村山美久
彼女が何故 そんな事を知っているのか
それは 思い出したくもない… 中二の秋
当時 ノートに手書きで 小説を書いていた私は
うっかり そのノートを教室に 落としてしまったのである
案の定 クラスの目立つ男子に 茶化されて
担任からは 「文章が上手」と 褒められて…
あぁ!もう! 放っておいてくれ!
羞恥に塗れた私の心は そう叫んだのであった
苦い…苦すぎる!!
村山美久
谷口瞳
どうってそんなの
嫌に決まっている
谷口瞳
良いでしょう?ね?
村山美久
谷口さんって 意外とグイグイくる
村山美久
谷口瞳
村山美久
谷口瞳
放課後に迎えに来るね!
村山美久
谷口瞳
紹介したいからさ!
村山美久
谷口瞳
村山美久
何で? 私は「うーん」って 言ったつもりなのに
肯定に聞こえたのかな?
村山美久
放課後
谷口さんを待つべきか
… 帰っても良いかなぁ?
悩む
うーん…! まぁ… 断るつもりだし
帰るか
谷口瞳
村山美久
しまった
見つかった
谷口瞳
こっちだよ
村山美久
谷口瞳
村山美久
どうしよう…
谷口瞳
連れて来ましたよ!
宮地 辰巳
その子が脚本家?
谷口瞳
村山美久
谷口瞳
村山美久
宮地 辰巳
俺は三年で
部長の宮地
村山美久
谷口瞳
この部活の監督なんだよ
村山美久
宮地 辰巳
恥ずかしいだろ〜
谷口瞳
本当の事ですからぁ
やばい
更に断れない雰囲気に なってきた
谷口瞳
パソコン教室が
部室なんだよね
村山美久
それ所じゃなくて
北原真
谷口瞳
村山美久
だ、誰!?
北原真
北原真!
村山美久
谷口瞳
村山美久ちゃんです
村山美久
いつも 自己紹介を忘れてしまう…
北原真
大丈夫かなぁ?
村山美久
谷口瞳
北原真
村山美久
谷口瞳
何でもないよ
いや 絶対に何かあるだろ
中田萌香
言ってあげたら?
北原真
中田萌香
村山美久
今度は誰!?
谷口瞳
中田萌香
脚本にダメ出しするから、
皆逃げ出すのよ
村山美久
聞いてない… 聞いてないぞ谷口さん!
宮地 辰巳
聞き捨てならないぞ!
中田萌香
何度も何度も
書き直しさせるから、
いつも喧嘩になって
宮地 辰巳
村山美久
それは 面倒くさそうだ
谷口瞳
この部活の
カメラマンなんだよ
村山美久
谷口瞳
カメラマンって、
格好良いよね!
村山美久
それはそうだけど…
私 本当に脚本を書く気は
ない
宮地 辰巳
求めている脚本は、
青春恋愛ストーリー
村山美久
宮地 辰巳
書けるかな?
村山美久
谷口瞳
村山さん!
村山美久
宮地 辰巳
私の小説は ミステリーのみですが?
って言うか 断らなければ!
村山美久
北原真
中田萌香
宮地 辰巳
ストーリーに
入れて欲しいな
谷口瞳
頑張ってね!
村山美久
大抜擢の代償が
大き過ぎませんか?
つづく







