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【短編集】

16 - 冬なのに…と言えるのか?

♥

25

2021年12月25日

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あつい、あつい、あつい

今は夏だっけ?

いいや、今は冬のはずだ。

じゃあ、どうしてこんなに“あつい”んだろう──

奏太

〜〜っ!!

奏太

〜〜っ!

そうだ

俺は

熱湯に沈められているんだ

母親

ふふふ、相変わらずスッキリするわね

父親

おーい大丈夫かー?w

父親

死んだりしたらめんどくさい事になるだろw

母親

大丈夫よ、加減してるからw

奏太

っ……!

熱い…あ…づ…い……

奏太

母親

あら、気絶したの?

父親

弱いなぁ…w

そのまま俺は朝まで眠り続けた。

奏太

……

次の日の朝。

昨夜のことがトラウマになり、珍しく早く目覚めた。

俺はもう限界だった。

この家に居るのが。

だから、両親が寝ている隙に家を飛び出した──

 

 

 

 

 

 

 

 

どれだけ走っただろう?

辺りは雪で覆われていて、方角すら分からなくなっていた。

奏太

ここは…どこ…?

分からなくても、ひたすら歩くしか無かった。

自分が生きるためには──

 

……ーい…

 

おーい

奏太

ハッ

 

君、大丈夫?

奏太

ここは…?貴女は…?

 

私は澪彩。
この神社の住職。

澪彩

ここは麗流楼水、日本の中にある、日本とはちょっと違う国。

澪彩

この国には、居場所のない人だけが入ってこれる。

澪彩

君の過去も、辛かったのかな?

奏太

……実は…

澪彩

そっか。それは辛かったね。

澪彩

だったらここで暮らすといい。
君には十分その資格がある。

奏太

ほんとに?

澪彩

うん。
ただ1つ聞いてもいいかな、君をここに追いやったきっかけを排除したい?

奏太

…排除って…

澪彩

すなわち、死

奏太

…それはいいよ。

奏太

俺は、愛情が欲しいだけ。

奏太

それさえ貰えたら、あとは何も望まない

笑顔で住職に告げた。

澪彩

そう。

奏太

ここか…俺の新しい家…

 

初めまして!
君が新しいお隣さん?

奏太

え、あ!はい!

友花

私村宮友花!よろしくね!

奏太

お、俺は蓮川奏太!

友花

よろしくね!奏太君!

奏太

ドキッ

奏太

う、うん!

この瞬間から、俺の中で何かが変わってしまった。

奏太

……

『ガシャーン!!』

『うわぁぁ!!またやっちゃった…!』

『ほんとに掃除って上手くいかないな〜…』

『料理はできるのに…』

奏太

掃除だったら俺ができるよ、友花

ピーンポーン

友花

はーい!

奏太

大丈夫?さっきものすごい音が聞こえたけど…

友花

あ、ごめんね…!

友花

実は掃除苦手で…手こずってたの…

奏太

(知ってる)

奏太

そうなんだ…俺が手伝おうか?

奏太

ほら、俺、この前話した通り、親から家事強要されてて掃除得意なんだ!

友花

あ、そういえば言ってたね!

友花

ほんとにいいの?

奏太

うん!勿論!

友花

ありがとう!

奏太

(次はどこに盗聴器を仕掛けようかな。
監視カメラもいいかも。)

奏太

……

『あーあ、彼氏欲しいな…』

『例えば隣の奏太君とか…』

『あ、聞こえてたらどうしよ…』

『…ま、まあ聞こえてないよね…』

『はぁ…奏太君、家事もできて気も効くし優しくて…好きだなぁ…』

奏太

…2日後、友花の誕生日だ。

告白しよう、100%成功するはずだ

ピーンポーン

友花

はーい!

奏太

あの…友花さん、今日、誕生日だったよね、これ…

友花

嘘!?ネックレス…可愛い…

奏太

雑貨屋のだけど手作りで作ってみたんだ。
気に入ってくれたら嬉しいな…

友花

ううん!すっごく嬉しい!ありがとう!

奏太

それでさ、俺、友花さんのこと、好きなんだ。
引っ越してきた時から笑顔で優しく接してくれて、そんな友花さんに惹かれたの。
だから、もし良ければ付き合ってください。

友花

……!
嬉しい…私も、奏太くんのこと好き…!

奏太

ほんと!?ありがとう!

奏太

これからよろしくね!

友花

うん!

捕まえたよ 友花♡

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