「流星が事故にあった」
母の口からその言葉を聞いて崩れ落ちた
そんな私にトドメをさすように母は続けて言った
「脳を強く打ったらしくて、記憶喪失みたい」
私は夢だと信じたくて
頬をつまんだり、叩いたりしてみた
けど目の前の景色は変わらない
さっきと変わったのは、私の目から涙がこぼれ落ちていること
それだけだ
「お見舞いにでも───」
母が言い終わる前に私は家を飛び出した
一刻も早く流星に会いたかった
1年前
流星
急にどうした?
流星
真剣な話があるって…
未来
ごめんね、どうしても言いたくて
流星
なんだ?
未来
私ね流星の事が…
未来
好きです!
未来
流星が良ければ付き合ってください!
流星
ありがとう
流星
でも、俺たちって幼馴染だよな
未来
…うん
流星
15年ぐらい前から未来を知ってた
流星
未来は妹みたいな存在なんだ
流星
だから、ごめん…
未来
そっか、ごめん
病院までの道のりがやけに長く感じられた
やっとの思いで病院についた
看護師の人に病室を聞き向かった
扉をノックすると
流星
どうぞ
といつもの流星の声が聞こえた
「きっと記憶喪失なんて嘘だ」
と心のどこかで思いながら扉を開けた
未来
流星…!
流星はベットに上半身だけ起こして座っていた
そのそばには流星の母がいた
流星
えぇっと…
流星は困ったように、流星の母を見上げた
流星の母
未来ちゃんよ
流星
未来さん…
流星の母
じゃあ、2人で話しなさい
流星の母
私は外にいるからね
流星の母は、すれ違いざまに私の肩に手をおき
流星の母
流星と沢山話してあげてね
と言った
未来
…はい
流星の母
ありがとう
流星の母は病室から出ていった
流星
えっと、未来さんで良いんですよね
未来
うん、未来だよ
流星
あの、僕と未来さんって同い年ですよね
私は頷いた
流星
母から聞きました
流星は弱々しい顔で笑った
未来
敬語じゃなくて良いんだよ
未来
あと、私のことも未来で良いよ
流星
分かった
流星
未来、僕達の関係って…
流星
「恋人」なの?
未来
……!
未来
え、えっと…
私は驚いた
私達は幼馴染だ、でもここで恋人って言えば…
私が選んだ答えは…