この作品はいかがでしたか?
350
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1週間が経った。
この7日間は、
お母さんも必ず2日間休みがあるので、
その日は気分転換にと色んなところに連れて行ってくれた。
そのおかげあってか、
カスカスだけど声が出せるようになり、
耳をすませば聞こえるぐらいになっていた。
そして登校当日。
久々に袖を通した制服は、
懐かしくて鏡の前で一回転する程ワクワクしていた。
まるで入学式に戻った感じ。
私はスマホを取り出し、
"【今日は行くよ】"
とだけ飛貴に送って、
スマホを鞄に入れた。
ゆうか
ゆうか
すっかり戻った声も、
お母さんは、
"良かったね"
と一緒に喜んでくれた。
私自身、
こんなにも声が出るというのが嬉しいのかと舞い上がって、
早く飛貴に会いたい気持ちが膨らむ。
ゆうか
飛貴に会える。
久々に会うんだから、
今日くらい私から甘えてみよう。
そんな事を呑気に考えながら、
学校に向かった。
2年3組。
その文字が立てられているドアの前に立つ。
ドアを引こうと伸ばした手は、
小刻みに震えている。
久々だから、
緊張してるのかな。
そう思って、
ドアを引く手前で手を握り、
もう一度手を広げた。
「あ、そういえば今日愛川さん来る日じゃん」
その声が、
ドアの向こう、
すぐ近くで聞こえた。
私はその瞬間、
ドアを引く手を止めた。
高い声。
トイレの前で聞いた声と、
…全く一緒の声。
「え、そうなの?」
「そうだよ、昨日先生言ってたよ」
「へぇ~」
「せっかく浮所くんのくっつき虫が居なくなって普通に話せてたのに…」
「最悪」
くっつき虫、
最悪。
あの時と一緒だ。
足元が竦む、
この感じ。
やだ、
怖い、
逃げたい、…
トイレの前で聞いたあの言葉の数々。
忘れたはずなのに、
はっきりと鮮明に蘇ってくる。
ゆうか
"やめて、…!"
そう叫びたかった喉は、
震える事を忘れ、
私はただ無我夢中で騒がしい廊下を走っていた。
コメント
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続き楽しみです!
続き楽しみです! このシリーズ大好きーーーー!
もうねぇ…… 言うこと無しに、、、、 ス..ス...(゚Д゚(゚Д゚ノ(゚Д゚ノ)ノスゲー!!!最後に 好きです✡笑