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パフェを食べた満腹感からか、 商店街のざわめきが心地よいのか、 彼の表情は特段晴れたものとなっていた。涼しく吹く風に目を潜めながら、 商店街をぐるりと見渡す彼の横顔は、目が離せなくなるほど綺麗だった。

?んだよ

何かあったのか?

蘇枋

ううん。なんでもないよ

きっと今の彼に正直な感想を言おう物なら、顔を真っ赤にさせながら軽く殴られてしまうだろう。 彼の事を考えて自然と口から笑顔がこぼれる。 ふふっと静かに一人笑う俺を見て、 桜君はクエスチョンマークを浮かべながら首を傾げていた。 そういう仕草も、可愛らしくて心臓がどきりと飛び跳ねた。

あぁ、でも、今の彼には触れられないし、彼も俺には触れられないんだった。 そう気づき、 さっきまで考えていた妄想を打ち砕いた。

...なんか

急に喋らなくなった俺を 心配したのか、 桜君は少し口を開いた。 こういう優しいところにも、 俺の心は惹かれたのだろうか。

変わんねぇな。
どこもかしこも。

すっげぇ賑やか笑

蘇枋

...そうだね。

下手くそな笑みを浮かべる彼は、 一体、どちらの気持ちでこの顔を浮かべたのだろうか。 ただ笑うのが苦手なのか、 変わらない個々と違って、自分が変わってしまった事に関してなのか。 俺には、君の気持ちが何も分からない。

得意なはずの感情の読み取りが、 君の前では何一つ出来ないのは、 惚れた弱み、と言うやつなのだろうか。 君の前では、カッコつかないな。 こんなかっこ悪い俺は、 死んでも君に言う気はないけれど。

...なぁ。

多分ここには、何も無いと思うぞ

きっと彼の言いたいことは、 自分の死因に関しての事だろう。 粗方、商店街を回ってみて、 それらしいものは何も無かった。 いつも通りなのだ。 いつも通りすぎるのだ。

もしここで人1人 死んだとなれば、 今頃商店街は、こんなに穏やかでは無いであろう。 最初から、ここに足を踏み入れてから知っていた。きっとここには何も無いんだって。

それでも、少しでも、 彼と居たくて、彼との思い出を作りたくて、こんな遠回りをしてしまった。 彼は気づいていたのだろうか。 気づいていて、何も知らないふりをしてくれているのだろうか。 今の今まで、何も突っ込まないでいてくれたのだろうか。

蘇枋

うん、...そうだね、

蘇枋

そう...だよね。

さっきまでとは打って変わって自分の言葉が弱々しくなっていくのを感じる。君を好きじゃなければ、 こんな胸の痛み、こんな事思わなかったのだろうか。

だからさ、今日は遊んで帰ろうぜ

蘇枋

え、...

思わず彼の言葉に 目を見開いた。 2色で違う髪が、 綺麗な双眸を覗かせた。 彼の顔は、今まで見てきた下手くそな笑顔じゃなくて、 かっこいいほど綺麗で、 美しすぎる笑顔だった。

あぁ、俺、本当に

蘇枋

うん。どこに行こうか

君を好きになってよかったよ。

自分の口から出た言葉は、 とても跳ねて楽しそうだった。

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コメント

5

ユーザー

相変わらず主ちゃん言葉選び上手いよね…綺麗すぎ。雰囲気が好きすぎる♡さっきまで寝てた目が覚めたよ👀弱々しい蘇枋を桜が引っ張って?行くとこがいいなって思う⟡.·ごちそうさまでしたꕤ୭*

ユーザー

このストーリー、ヨルシカさんの「雲と幽霊」と聞けばめちゃくちゃ会うのではと思った今日この頃 是非聞いてみてください🫶🏻💕︎︎この曲すごくおすすめです☺️ 今回のお話はちょっと蘇枋さんが弱々しいです🙄 珍しい姿の蘇枋さんでも見てキュンキュンしちゃってください😌💗

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