セバスチャン
坊ちゃん、本日の予定ですが…
シエル
あぁ…
セバスチャン
本日は珍しく1日予定がありませんので
なにか坊ちゃんから希望があれば
ソレを予定として動こうかと思いまして。
セバスチャン
なにか御座いますか?
シエル
そうだな…
シエル
僕はゆっくり昼寝がしたい。
あとはアップルシナモンのマフィンが食べたい。
セバスチャン
おやつは了承しましたが
昼寝はちょっと…;;;;
シエル
僕の言うことに不満でもあるのか?
セバスチャン
折角の休暇ですから
ご希望のマフィンを持っていくので
ピクニックでも行きませんか?
近くの丘の周りに色とりどりの花が咲き始めていると
先日エリザベス様からお聞きしました。
シエル
(小言)チッ
面倒くさい…
セバスチャン
ん?何かおっしゃいましたか、坊ちゃん?
シエル
…なんでもない
ちゃんと聞こえているくせに
わざと聞き返してくるあたり性悪だな。
セバスチャン
では準備をしてきますので
坊ちゃんは支度が整うまでお部屋でお休みください。
セバスチャン
では、失礼します。
シエル
はぁ……
シエル
(昼寝の何がダメなんだ?
休暇なんだから僕の好きにしたって文句は無いはずだろう?
結局アイツのペースに乗せられてるような…)
セバスチャン
失礼します。
坊ちゃん、支度が整いましたので
そろそろ出発を───…はぁ。
まったく…
シエル
すぅ…すぅ…Zzz
どうやらセバスチャンが支度をしている間に
待ちきれずに寝てしまったようだ。
セバスチャン
(…折角支度しましたが坊ちゃんがコレでは行けませんね。
うちの主人の昼寝癖には困ったものですね。)
シエル
ん…んぅ?
セバスチャン
(眉をしかめて、何か夢でも見てるんでしょうか?)
シエル
セバ…スチャン…、
早く……。
セバスチャン
夢の中でまで私を呼んでいるんでしょうか?
セバスチャン
坊ちゃん、起きてください。
お目覚めの時間ですよ。
シエル
──…ぅ…ぅん…。
─セバスチャンか、
僕はどれくらい眠っていた?
セバスチャン
1時間程でしょうか。
私のことが待ちきれずに寝てしまうとは、
坊ちゃんもまだまだお子様だということで?笑
シエル
主人を馬鹿にしているのか?(怒)
セバスチャン
とんでもない。
思った事をそのまま言っただけで
悪意なんて微塵もありません。
シエル
───それならいいがな。
セバスチャン
(おや、いつもなら反発するのに……?
珍しいこともあるものですね。)
シエル
ところで、マフィンは出来たのか?
セバスチャン
ああ、忘れていましたね。
セバスチャンは手元のバスケットからマフィンの入った包みを取り出す。
セバスチャン
坊ちゃんのご希望だった
アップルシナモンのマフィンです。
お好みでアプリコットのジャムをつけても美味しく召し上がれますよ。
シエル
お前にしては上出来だな。
セバスチャン
(素直に褒めれないのだろうか。)
シエル
結構大きいな…
──パクっ
シエル
モグモグ…
─ん!ジャムが垂れて…ッ
セバスチャンのスラっとした長い指が
シエルの口元に伸びる。
そして指で口から零れたジャムをすくうと
ソレをそのまま自分の口で舐めとる。
セバスチャン
ん、我ながら上手く出来ましたね。
坊ちゃん好みの甘さに仕上がってます。
シエル
──なッ!////
舐めるなんて何考えてるんだ!
セバスチャン
お召し物が汚れてはいけませんからね。
ジャムは1度つくとなかなかとれませんし。
セバスチャン
あ、それとも直接舐めた方が宜しかったですか?(ニヤリ)
シエル
うぐっ…////
う、うるさい!////
それくらい自分で拭けるから余計な事はするな!
セバスチャン
お子様な坊っちゃんには少し刺激が強かったでしょうか?(ニヤニヤ)
では次は直接舐めとりますから
零さないように召し上がってくださいね♪笑
唇から舌先を覗かせて自分を見つめる執事に対して
憤りを感じながらも何処か楽しんでいる自分がいた。
シエル
…チッ、悪魔め(ムスッ)
セバスチャン
えぇ、悪魔で執事ですから♪
時に坊ちゃんに対しては狼にもなりますよ(ニヤリ)
何か聞いてはいけない一言があったような気がしつつも
目の前にあるマフィンに舌づつみをし
久しぶりの休暇を満喫したのであった。
~fin~