1ヶ月
僕は頑張ってさとくんに
話しかけていた
でも話して貰えなかった
きっともう話して貰えない
だから今日でおしまい
この1ヶ月話しかけてわかった
僕はさとくんが好き
最後に好きと言って
終わらせよう
早く放課になりますように
お前ら席つけ〜
あれ、
さとくん欠席かな?
えーっと
急遽だが猫宮は
引っ越すことになったから
もう来ない
ころ
は?
今日は明日引っ越すから
来ないそうだ
引越し、、、?
でもそんなこと言ってなかった
もう会えないの?
嫌だ!
ころ
先生!
ん?
ころかどうした?
ころ
さとくんの家教えてください
個人情報で言えないんだ
ころ
どうしても教えて欲しいです
まぁころならいいか
○○だよ
ころ
ありがとうございます!
ころ
あと早退します!
ころ
さようなら!
ころ
ころ
はい?
気をつけろよ
お前ら喧嘩したんだろ?
今行くのは
ダメかもしれないぞ
ころ
それでも行きます
ころ
後悔したくないんで
そうか
気をつけろよ
ころ
さようなら!
会いたい
逢いたい
愛たい!
胸が張り裂けそう
マスクで全力疾走してるからか
さとくんに会えなくなるのが
苦しいのか
絶対後者だ
あぁもっと
もっと早く走らせてよ
もどかしいよ
もっと早く動いてよ
あぁもう!
ころ
好きだから
ころ
逢いたいから!
ころ
早く動いてよ!
線路の向こうに
たくさんのダンボールを
トラックに乗せている君
あぁ良かった
まだ居たんだ
ころ
さとくん!
聞こえてないのか
反応してくれない
ころ
さとくんっ!
もっと大きな声を出しても
線路の向こうの君には
マスクをしたままじゃ
届かないのだろう
怖い
ずっとつけてきたマスク
そんなのを外すのは
勇気がいる
僕にとってのマスクは
短所を隠してくれる
下着のような存在だ
でもそれが邪魔で
君に声は届かない
震える手を抑えて
マスクの紐に手をかける
あぁ怖い
部屋に入りそうな君
外さないと
ころ
さとくんっ!!
地面にはマスク
線路の向こうには
大きな目を開いてる君
あぁ届いた
僕は1歩踏み出せた







