〜エレナside〜
どのくらい時間がたっただろうか。
ネイと最後に話してからしばらくした後、すさまじい音とともに家が崩れる音がした。
…状況から見るに、ネイは死んだ。
エレナ
…あと、少し…!!
エレナ
…
エレナ
!!
やっとの事でがれきを押しのけ、外に出る。
あたりは真っ暗で何も見えなかった。
かろうじて、家が全焼だということだけははっきりと分かった。
エレナ
…ネイ…。
今はない愛しい人の名前を呼びながらその場に崩れ落ちる。
エレナ
…うっ…ひっく…
エレナ
なんで…
エレナ
なんで死ぬの…
エレナ
なんで置いてくの…
エレナ
ねえ…
怒りと悲しみと絶望とが入り交じり、頭の中は真っ白だった。
どれくらいそうしていただろうか。あたりは明るみがかってきていた。
エレナ
…いつまでもここに居られないよね。
ある決意を決め、私は歩き出した。
3ヶ月後。
愛する人を失った悲しみが癒えぬまま、新しい街にようやく住み慣れてきた。
そんなある日…
エレナ
体がだるい。
体のだるさを覚え、病院へ行った。
Dr.ジョーンズ
お、エレナちゃん、今日はどうしたんだ?
この街に来た私を温かく受け入れてくれた先生とは仲良しだ。
エレナ
なんか…体がだるくて。
Dr.ジョーンズ
…ふむ。
Dr.ジョーンズ
じゃあ診てみようか。
Dr.ジョーンズ
…これは。
エレナ
…?
Dr.ジョーンズ
おめでとう。
Dr.ジョーンズ
妊娠してるよ。
エレナ
…え?
Dr.ジョーンズ
多分、妊娠3ヶ月、かな。
エレナ
…!!
エレナ
ほんとですか!?
Dr.ジョーンズ
ああ。無理はしないようにね。それと、僕にできることならなんでもするから頼ってね。
エレナ
ありがとうございます!!ジョーンズさん。
あの人との子どもがこのお腹の中に宿っている。
そう思うと嬉しくて、それと同時に悲しくて、切なかった。
エレナ
もっと、一緒にいたかったな。
まだ、あの人とのしたいことがたくさんあった。