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追加検査から数日後の朝。
咲月希は、真爽のカルテを開いたまま、医局のデスクでじっとモニターを見つめていた。
胸の奥がざわついて、コーヒーの味がほとんどわからない。
茉莉咲月希
最初は微細だった肺の影が、数日で明らかに広がっている。
血液データにも、原因不明の炎症反応と免疫異常が出始めていた。
咲月希は、過去に似た症例を見た記憶を探る。
忙しい救急勤務の中でたった一度だけ見た、若年性の難治性疾患のケース———。
朝のカンファレンス。
担当医チームが集まり、真爽の経過が報告される。
主任医師
主任医師
医師A
茉莉咲月希
主任医師
一瞬、場の空気が静まった。
咲月希の指摘は冷静かつ的確だったが、まだ苦手である彼女の意見は軽く流されてしまう。
それでも、彼女の胸には確かな直感があった。
茉莉咲月希
病室へ。
真爽は、ベッドの上でノートPCを開き、SYNKの他メンバーとオンラインで話をしていた。
画面越しに、リーダーの一馬が
雨宮一馬
と笑っている。
その様子に、一瞬だけいつものアイドルの顔が戻る。
嘉郎真爽
茉莉咲月希
嘉郎真爽
茉莉咲月希
嘉郎真爽
真爽は少し黙ってから、窓の外を見つめて呟いた。
嘉郎真爽
その問いに、咲月希の喉が一瞬詰まる。
“推し”としての感情と、“医者”としての冷静な分析がぶつかる。
茉莉咲月希
茉莉咲月希
夜。
医局でひとり、咲月希は専門書と過去の症例を読み漁っていた。
ディスプレイの青白い光が、疲れた顔を照らす。
茉莉咲月希
彼女はノートに仮説を書き留め、主任医師への報告書の下書きを始めた。
それは、誰よりも早く真爽の“異常”に気づいた医者としての一歩だった。