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前世の恋人

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前世の恋人

8 - 暖かい時間

♥

33

2023年07月15日

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少し経つと夏休みに突入し、僕は宇宙へ帰っていた

そして、西園寺グループのプライベートスペースを特別に借りることが出来たから、そこで僕、と父さんのHFS「ヴァルザック」の試乗をしていた

ピピッ

試乗運転をしていると、操縦レバーの間にあるモニターに義父さんが映し出された

隆二

問題無く操縦出来てるようだな

はい、義父さん

わざわざ西園寺さんに掛け合ってくれてありがとう

隆二

構わん

隆二

代表もHFSの開発の参考になると言っていた

そうそう

画面に西園寺さんも入ってきた

実際に操縦者の意見を聞きながら操縦を見られるのはとても良いことだからね

それに、学生の意見も聞きたい

後で我が社のHFSも操縦してみるかい?

!い…いいんですか?

隆二

代表…?!

いいだろう?

隆二

う……はい

怜くんも、いいかい?

も…もちろんです!!

僕、沢山のHFS操縦したい!です!

うむ

沢山のHFSの試乗が終わり、西園寺社のビルで休憩をしていた

隆二

お疲れ

義父さん

ありがとう、いい経験が出来た

隆二

ああ

隆二

じゃあ、好きな時に帰りなさい

隆二

少し見学もしていいから

はい

義父さんも、お仕事頑張ってください

隆二

ああ、ありがとう

隆二

じゃ、またな

僕の頭を少し撫でてからエレベーターに乗っていった

………へへ…義父さん…

義父さんの、少し不器用な愛情に笑みが零れる

ウィーン

怜!!

うへぇっ?!み…澪…さんっ…?!

な…ななななんでこんな所に?!

私服姿の澪さんが突然現れたと思えばズカズカと僕に詰め寄ってきた

クソ親父に何かされなかった?!!

だ…大丈夫…でしたよ…?!

沢山…HFSに乗れて…

とても、楽しかった、です!

……そう…

それなら…いいけど…

………

…?何よ

あ…

い…いや、…あの…えと…

制服姿も、ドレス姿も綺麗…だった…けど私服姿の彼女も凄く綺麗で、僕はいつものように見惚れてしまっていた

き…綺麗…だな…って…思って…

…はぁ?

み…澪さん…

凄く…綺麗…です…

んなっ……

きゅ…急に何よ…?!!

きゅ…急にじゃなくて…いつも…

思って…ます…です…

………

バシッ

いでっ…!!

澪さんに脇腹にチョップをカマされうずくまった

ばーか

アンタ、誰が婚約者だと思ってる訳?

!そ…そう…です…よね!!

ふん

それより、アンタこれから暇?

?は…はい

じゃあ、ちょっと手伝って

連れられて来たのはビルの1階

収穫した野菜達

え?な…何故ここに…?

宇宙空間に持ってくるために真空してたのよ

それで、今日届いたから運ぼうと思って

アンタ、何箱か持って帰りなさいよ

え?

い…いいんですか?

2人で育てたんだから、当然でしょ

各野菜一箱ずつ

!〜〜…

ありがとう、ございます!!

美味しそう…

当たり前でしょ

義母さん…何か料理に使ったりする…かな…

……お母さん?

はい、義母さん、お料理上手なんですよ

こっちに来てからもずっと毎日作ってくれて…

そうだ!ちょっと電話、してもいいですか?

…別に構わないわ

恐らく母親と電話をしている怜を横目に野菜が入っている箱を一つ一つ確認する

私には母親がいない

私が幼少期の時に病気で亡くなった

うん…そう

お野菜…

うん…

あ…西園寺澪さん…そう

うぇっ?!!!

あ、う…うん…わ…わかりま…した…

ピッ

あ…あの…澪さん…

?なに?

電話を済ませた怜は、少し私の機嫌を伺うようにモジモジとし始めた

か…義母さんが…

是非うちへ…って…

……へ?

お野菜のお礼で…

ご飯食べて欲しいって…

き…きて…くれますか…?

(そ…それって…ご実家への…挨拶…って事…?)

うるうるとした子犬のような目で見つめられては、私の答えは1つしかない

……いいわよ

!よ…よかった…です…

あ、じゃあこれ直ぐに運びますね!!

…ええ

前世では怜のご両親にはお会いしなかった 怜は1人で帝国に来て、騎士団試験に合格して、実力で上がってきた

だからご両親については今世が初めてだ

第1居住スペースから第12まで移動してきた

す…すみません、お家まで少し歩きます

別にいいわよ

……

建物が少ないのは新鮮でいいわね

……自然が多くて、いいですよね

映し出される夕日は本物じゃないけど、それでもゆったりと、2人で歩く道は凄く幸せだと感じた

み…澪さんは…

もし…その…

もしですよ?!

?なによ

結婚…とか…した時…

こうゆう所に住むのってどう…です…か?

………

私とアンタがってこと?

わわっわわっ

え…えええとですね!!

ぼ…僕じゃな…くて…でも…

その…

だ…誰かと…け…結婚した時…です…!

……そうねぇ…

確かに、こうゆう所、いいかもね

静かで

…てか、そこは僕とって言いなさいよ

バカ

…………

へっ?!そ…それって…!!!!

早くしなさいよ、暗くなるわよ

え、あ、ちょ…ま…待ってくださいよ〜!!!

彩花

あらあらあらあら〜!

お邪魔します

西園寺澪です

彩花

聞いてるわよ〜

彩花

怜くんのお嫁さんなんだよね?!

あ、わ、ちょ、か…義母さん…っ!

…はい、そうです

なっ…

わ…っあ…あ…

彩花

ふふふ…

彩花

美人さんをよくぞ捕まえて来たわね

あ、え…う…うん…?

彩花

とゆうか怜くんお風呂入っておいで?

彩花

汗かいたでしょ?

う…うん…

わか…りました…っ…

すみません澪さん

お風呂入ってきます!!

ん、分かった

彩花

澪さんは私とお話しましょっ

彩花

さ、上がって上がって

は…はい…

陽気なお義母さんに圧倒されながらも家に上がった

上がっていくと、いわゆる一般家庭というのこうゆうものかという

そんなリビングに案内された

彩花

ご飯はもう出来てるから、怜くん上がるまでお話しよっか

彩花

いつも怜くんからお話は聞いてるよ〜

!私の事…お話してるんですか…怜

彩花

ええ、時々電話でね

彩花

凄く美人で〜って聞いてたけど本当に綺麗!

ありがとうございます…

ふと棚の上に飾ってある写真立てが目に付いた

……あれは…?

彩花

ん?

幼少期の怜の両隣には私が知っているご両親では無く、怜に似ている男性と、また怜に似た優しそうな顔をしている女性がいた

彩花

……あれはね

彩花

怜くんのお父さんとお母さん

えっ…

彩花

10年前にね、事件に巻き込まれて亡くなっちゃったの

そうだったんですか…

確かによく考えてみれば護衛についている怜のお父様、そして目の前にいるお母様は怜にあまり似てないように感じる

いや、お父様の方は少し似ているかも…?

彩花

だからね、弟であるうちの旦那が怜くんを引き取ったの

!…なるほど…

彩花

でもね、怜は私の息子

彩花

それは変わらないわ

…大切に…されてるんですね

彩花

ええ、もちろん

ウィーン、ウィーン

お風呂場から音が聞こえてきてお母様は立ち上がった

彩花

さて、そろそろ準備しましょうか

あ、お手伝いします

彩花

あら、いいのかしら

はい、何もしない方がちょっと…

彩花

ふふ…

彩花

じゃあ、お願い

お…お待たせ…しました…っ…

彩花

怜くん

リビングに行くとすんっとトマトの匂いがして思わずキッチンに走り込む

と…トマトソースパスタ?!

そしてキッチンでパスタにソースを掛けていた澪さんと目が合った

…アンタ、子供じゃないんだから…

す…すすすみま…せん…っ!

彩花

ふふふ…

全く…

変わらないんだから…

……え?

それって…

目の前に皿を差し出されて次の言葉を塞がれた

大盛り

で、いいでしょ?

あ…ありがとうございます…

彩花

ほら怜くん、澪さん

彩花

そろそろ食べるわよ〜

あ、うん!!

はい

モグモグ

………

モグモグ

彩花

ふふふ

目の前でバクバクと食べる怜を見てお母様と目を合わせて笑ってしまう

よく食べるわね、本当

モグモグ

彩花

育ち盛りだものね

彩花

まだまだあるから沢山食べてね

彩花

澪さんも

はい、いただきます

久しぶりに暖かい「家庭」の時間を過ごせた。 ずっと冷たかった10年間がちょっとずつ暖かくなってきたような気がする

おかわり貰います!

どんだけ食べんのよ…アンタ…

彩花

あははははっ!

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