『ありふれた10のこと』
1.瞳には貴方が映る
目を瞑ると、
瞼の裏に女性が居た。
知らない、女性だ。
まだ遠くて、よく見えない。
けれど、
暗闇に映る貴方は、
不気味だ。
まばたきする度に、
貴方は僕に近付いてくる。
ヒタ、ヒタ、と。
いつの間にか、近距離。
貴方の赤い目が、僕を睨む。
ちょっと
そんな恨めしそうに
僕のことを、見つめないでよ
2.消費量
洗剤の消費量が、早い。
ティッシュの消費量も、早い。
トイレットペーパーも。
冷蔵庫の中の食料も。
不思議。
一人暮らしのはずなのに。
一人の消費量ではない。
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ガサッ
クローゼットから、音。
3.水が好き
幽霊はよく「水が好き」って
いうけど。
あれは間違い。
幽霊が本当に好きなのって、
実は「寝具」なんだよ。
幽霊だって寝たいんだ。
今夜は金縛りが起きないように
注意してね。
4.虹
虹が出ている間は気を付けて。
あれは、悪霊が
エネルギーを放出して
周りの霊を引き寄せているんだ。
いわば、ノロシみたいなもの。
虹の麓まで行こうとしても、
たどり着けないでしょ?
だって虹は
霊が魅せる幻影だもの。
今度、虹が見えたら
目を凝らしてごらん?
もしかしたら
霊が見えるかもね
5.爪
爪が伸びた。
爪を切った。
爪がまた伸びた。
爪をまた切った。
爪がまたまた伸びた。
爪をまたまた切った。
爪がまたまたまた伸びた。
面倒臭くて、指を切った。
6.逆上がり
鉄棒の逆上がり。
学校の噂だけど、
逆上がりの途中で
一瞬だけ、未来の自分が見えるらしい。
僕も逆上がり出来るようになったから、
ぐるりと一周。
首を吊ったおじさんが見えた。
7.スマホ
スマホをいじってると、
周りに意識がいかない時がある。
その時、
君の周りに何かがいるよ。
この世のものではない
何かがね。
特に歩きスマホはしないでね。
そいつが何をするか
分からないから。
8.鏡
鏡の右側、竟という字。
この漢字には「終わり」とか
「最果て」って意味が
あるんだけど。
今から下に書くことは、絶対に真似しないでね。
"鏡の前に立って"
"そのまま少しずつ"
"鏡の方を向きながら"
"ゆっくりと右に移動"
最後の最後に、
「見てはいけないもの」が
鏡に映し出されるからね。
9.お人形さん
"お人形さん"は
もう要らないからって
押入れに仕舞ってない?
ダメだよ。
お人形さんだって、
閉塞感のある場所を嫌うんだ。
僕らと一緒。
君だって、押入れに閉じ込められたら嫌でしょ?
だから、今日くらいはさ、
お人形さんと一緒に
寝てあげて?
そしたら、お人形さんも
喜ぶから。
今日は君の
お人形さんデー。
ほら、お人形さんが
微笑んでいるよ。
10.怖い話
怖い話を10個したら
幽霊が集まる
らしいよ
だから、ここでは
9個までしか話さない
君のためにね
この物語は、9個でお終い
続きは
君の後ろにいる
小さな女の子が
話してくれるみたいだよ
だから僕は、ここでバイバイ。
コメント
22件
Mikan 0826さん ありがとうございます!✨ 夜中に怖い話を見ると、寝れなくなってしまいますよね。。。゚(゚´ω`゚)゚。 夢に出てくるかも、という一言がより一層恐怖感煽られますね!。゚(゚´ω`゚)゚。。゚(゚´ω`゚)゚。
めっちゃ夜に見てしまった😵9個とも全部怖くて最後も怖かったです!夢に出てくるかも👻😭
あかいとまとさん コメントありがとうございます!✨ 怖い話を夜に読むのは危険です!笑 ありふれたものの中に潜む恐怖を描いたので、より一層怖さを身近に感じていただけたのではないかな?と思います!