ふたつの主役第2章～裏と表が交わる場～

＊無の羅針盤＊

真っ白な空間 無の羅針盤

そこには役目を終えてゆっくりしているハクがいた

彼女のアビリティーの影響だろうか

雪はしんしんと降り続けている

彼女は雪の上に寝転がる 降り注ぐ雪は彼女を避けるように降り続けている

『氷飄ハク』 氷狼に従う白鳳龍族 白鳳龍族は東側の国々過去から存在していると言われる幻獣の一種 正式名称『白鳳龍族雪龍種』 龍族には【皇龍】と言う称号がある

声が聞こえたと同時に、一瞬で火の円が広がり積もっていた雪を溶かす

無の羅針盤では音もあまり響かない ただ、人が近づく気配がするだけだ

『朱鳥』 ホワイトボマー直属組織『正中層部』に所属している【魔蝶族火蝶種】の男 アビリティー相性の影響で正中層部には殆どいない

彼女は悲しそうな顔をして、答えた

ハクは身体を起こして、静かに消えていった

無の羅針盤に残ったのは朱鳥と未だ降り続けている雪のみ

ボソッと無の羅針盤に声が消えていった