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私が黒崎くんを意識し始めたきっかけ…… それは──── 春休みが明け、2年生になった日の学活の時間。 私の直ぐ左横の席だった黒崎くんは、スヤスヤ気持ち良さそうに寝ていた。
龍平
顔をこっちに向けて寝ていた為、横を向けば寝顔が見える状態だった。 綺麗な顔立ちで、眠っている姿も凄くカッコよくて……
陽向
つい、見惚れてしまった。
先生
新学年である私達は学級委員を含め、色んな係りを決めなければならなかった。 他の係りは直ぐに決まったのだけど、学級委員だけは誰もやりたがらない。 その為、先生も困っていた。 私は特に目立たず、黒板に書かれた係り名と、次々と書かれていく、名前を見ているだけだった。
菜穂
陽向
陽向
後ろの席である入江さんに、思ってもない事をふってこられ、私は戸惑ってしまった。
先生
陽向
菜穂
陽向
私は図星過ぎて一瞬、言葉を失ったが、入江さんの言葉に少しだけ腹が立った。
陽向
菜穂
私は思わず席を立ち、入江さんに向かって大声を出してしまった。
先生
陽向
私は先生の言葉にハッとし、皆が私を見ている事にようやく気付いた。
陽向
一気に顔が赤くなった私は、頭を下げて謝り、小さくなりながら座った。
菜穂
そう吐き捨てる声が後ろから飛んできた。
陽向
私は先程の事もあり、黙って聞こえてないフリをしていると……
龍平
横から物凄い視線を感じた────
陽向
少し首を横に向けると、さっきまで寝ていたはずの黒崎くんが、目を丸くして私を見ていたのだ。
陽向
陽向
私は少し警戒しながら彼を見ていると、目が合ってしまった。
陽向
龍平
黒崎くんは驚く私を見て笑ったかと思うと、親指を立てて私にそれを向けた。
陽向
────今の最高だったぞ────
口パクだったけど、何となくそう言っているうな気がした。 何故か私は、この彼の言葉に少しだけ救われた……
あ、ありがとう……///
そう私も、照れながらも口パクで返した。
これが黒崎くんと会話をした最初の言葉だった────
先生
「早くしてくれ」と言わんばかりに、先生が腕を組みながら、私に催促をする。
陽向
せん……… そう答えようとしたその時─────
龍平
急に黒崎くんが手を挙げた。
先生
龍平
は……?
先生
陽向
龍平
そう言ってニコッと笑い、右手を差し出してきた。
陽向
断るつもりが返って彼の笑顔に負けてしまい………
陽向
結局、私は彼の前に左手を出し、握手を交してしまった────
この時、私は物凄い心臓の音が鳴っていたのを今でも覚えている。
そう……これが……
私が黒崎くんを意識し始めたきっかけだった─────