くるみ
花冠、できたー!ゆうくんに見せようっと!
くるみ
ゆうくんの為に花冠作ったよー!どう?
ゆうた
どう、じゃねぇよ!
ゆうた
お前、顔傷だらけじゃねーか!花のトゲかな…?
ゆうた
とりあえず手当するから、こっち来て!
くるみ
なんで花冠、褒めてくれないの?ゆうくんのバカ!もう知らない!
ゆうた
待てよっ!…花冠だけ残してってどうすんだよ!
くるみ
…あれ?寝てたのか、私。
くるみ
6歳の時の私とゆうくんの…夢、みてたんだ
くるみ
あの後、ゆうくんは関西に引っ越しちゃって…
くるみ
謝ることも出来ずじまいだったなぁ…
くるみ
ゆうくんに、会いたいなぁ…
昔の夢をみてから1週間後、私は大阪へと1人旅行をした。ちょっとした気分転換をしたくてやってきた。
ゆうた
いらっしゃいませ、お好きな席へどうぞ
大阪に着いたその夜は、ファミレスに入った。そこで私の運命の歯車が回りだした。ファミレスの店員は…
くるみ
ゆう…くん……?
ゆうた
……!お前、くるみか!?
くるみ
ゆうくん…なんだね…。私、ずっとゆうくんに伝えたい事があったの…。
ゆうた
俺もだ。バイト終わりに少し話す時間をくれないか?
くるみ
もちろん!…じゃあ、泊まるホテルで待ってるね
くるみ
ゆうくん…?入っていいよ!
ゆうた
あぁ、お邪魔します。なんか久々だと緊張する…
くるみ
ゆうくんの事、すぐ分かったよ、声と笑顔で!
ゆうた
…彼氏とかいるの?今も東京住まいだろ?
くるみ
急にどうしたの?私はまだ彼氏募集中だけど…
ゆうた
(よかった…)
ゆうた
俺とお前で近所の公園に行った日、覚えてる?
くるみ
あ、私この前夢に出てきたの…その公園でのこと
くるみ
ずっと…謝りたかった。
くるみ
ごめんね。私があの時走って1人で帰っちゃって迷惑だったよね
ゆうた
そっか、覚えててくれたんだ。じゃあさ…
ゆうた
あの時、渡してくれた花冠覚えてる?これなんだけど
そう言って、彼はボロボロになった花冠を大切そうに取り出した。
ゆうた
俺、正直すごく嬉しかったんだ、この花冠。
ゆうた
けど、それ以上に顔に傷が入ったお前をみるのが辛かったんだよ
ゆうた
でも、花冠をもらったすぐあとに俺、引っ越して
ゆうた
お前に言いたいことも言えなかった。
くるみ
それは…お互いさまだから、気にしないで?
ゆうた
…お前との思い出で唯一形に残ってるのがこの花冠で
ゆうた
これを枯らしたくないと一生懸命に頑張ってた
ゆうた
今は流石にボロっちくなっちゃったけど…。
くるみ
そうだね。でも、残していてくれて嬉しいな
ゆうた
今度は俺からお前に花を贈るよ、はいこれ。
ゆうた
ゆうた
この花は永遠に枯れないしちょっとキザっぽいけど…
ゆうた
俺のお前を好きな気持ちも枯れないから!
ゆうた
だから、その…これは婚約指輪として受け取ってほしい
くるみ
…うん!ありがとう!
くるみ
私もゆうくんとずっと一緒にいたい!
くるみ
今日は母の日だから、カーネーション多めにね!
ゆうた
了解!あ、くるみトゲ気をつけろよー!
ゆうくんは私の花冠がきっかけとなり、花屋さんを開きたくてファミレスで働いていたそうです。
私とゆうくんは、晴れて結婚し今では子供2人との4人家族で花屋をしています。
くるみ
ゆうくんはまだ…気づいてないかもしれないけど、
くるみ
あの時の花冠の花は「アネモネ」だったの。
くるみ
花言葉は…
くるみ
「あなたを信じて待っています」
ゆうた
くるみ…ちゃんと気づいてるのかな?
ゆうた
結婚指輪のモチーフの花、あれは、「センニチコウ」なんだ
ゆうた
花言葉は…
ゆうた
「変わらない愛情を永遠に」