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いふ
6歳の頃、母さんは一人の大人と、 一人の子供を連れて帰ってきた。
母
父
父
いふ
これが、俺たちの出会い。
悠佑
いふ
これから始まる"オレ"たちの物語だ
いふ
昔の夢を見ていた気がする。
いふ
目覚ましが鳴る10分前にどうやら 起きてしまったようだ。
いふ
10分なら意外と寝た気になるはずだ と寒い空気を感じながら布団に潜った
いふ
そうして布団の中で10分ほど 過ごしているとドアが勢いよく開いた
悠佑
目覚ましがやってきたかと 俺は目を開けた。
いふ
悠佑
クソデカい声だけれど、慣れると イケボで優しさが含まれた声なんだと 分かる。
いふ
悠佑
いふ
布団にくるまって動こうとしない俺を 無理矢理引きずり出さないのは 今日が休みだからだ。
いふ
扉の閉まる音、階段を下る音が 聞こえた後、俺はひと息吐いた。
いふ
口の端を緩めながら先ほどの兄貴を 思い出していた。
いふ
いふ
膝を曲げて、そこに頭を乗せた。 今更と言わんばかりのことを考えた
いふ
いふ
昔の祖父母と、今の祖父母を比べて 思い出し人って変わるもんだと思った
いふ
幸せな母の顔を見て、きっと 受け入れたんだと思う。 …俺も、そうだった。
いふ
いふ
いふ
それでも、家族の幸せをどれだけ、 考えたとしてもやっぱり、
いふ
いふ
泣きそうになるほどに複雑で、 それでいて単純なこと。
いふ
そんなことに、毎日頭を 悩ませていた。
いふ
咳を一つ吐き出し、呟いた
いふ
俺は丸めていた足を床に向けて、 立ち上がって一階へと向かった。
悠佑
一階に行くと、兄貴がマグカップを 片手にそう言った。
いふ
悠佑
いふ
にっこりと笑う君に へらりと笑う"オレ"。 それでも、「好き」は消えない。
いふ
本来なら仕事が休みの両親は そこらへんで家事やらTVやらを 見ているはずなのだが、今日はいない
悠佑
いふ
これが普通の反応なんだろうと、 心の中で決めつける。 本当は、君に少し動揺してほしい。
悠佑
なんでもないように、話を続ける。
いふ
一つ、一つの君の言葉が、仕草が、 俺を殺していく。 殺すしか、なくしていくんだ。
悠佑
君はニヤニヤしながらマグカップを 机に置いた。
いふ
だからオレもいやらしい笑みを 浮かべる。
悠佑
いふ
悠佑
不機嫌そうな顔をする君。 言えるわけがない、俺の言葉に、 一喜一憂する君が、愛おしいなんて
悠佑
いふ
この話題は、俺の身がもたない。
悠佑
いふ
悠佑
いふ
悠佑
ホラーが怖いくせ、シリアスな雰囲気が好きな兄貴は、1番に俺を誘って、 一緒にみてほしいと言う。
いふ
悠佑
悠佑
先ほどの申し訳なさそうな顔は 一変して、俺の手を握って 満遍の笑みを魅せられる。
いふ
そんな君も、大好きで、愛おしくて、
「つらい」
いふ
言えるわけないから、ただ、 押し殺す。
いふ
夜、母さんたちが帰ってきた。
母
父
悠佑
いふ
挨拶は基本で大事なことだ。
いふ
母さんたちが帰ってくるまで、 ホラー映画をいくつかみたり、 兄貴が作った昼食を食べたりした
いふ
映画の内容は覚えていないけど。
悠佑
母
悠佑
母
いつも母さんと兄貴で夕飯の支度を する。その光景が、俺は結構好きだ
父
いふ
シャー芯がなくなって、赤ペンも 丁度きれたから頼んでおいたのだ
いふ
悠佑
いふ
扉を閉めて、階段を上がって、 自分の部屋へと向かった。
いふ
今日も、「愛」は消えなかった
いふ
兄弟の関係のままがいい、"オレ"と、 もっと違う関係になりたい俺。
いふ
妄想に過ぎないけれど、 それが、俺の最後ならどんなに、
いふ
いふ
その優しさが、俺の首を絞めることを 知らない。
いふ
涙まで出てきてしまった。 いけない、すぐ履かないと。
いふ
擦ったりすると目が腫れやすくて、 頬にも跡がつきやすくなってしまう。 これは経験談だ。
いふ
いふ
少しの間だけ、10分程度眠ろうと ベッドに横になる。
いふ
いつもより頭痛が酷いように感じたが 眠るしか選択肢はないため、 少し時間をかけて眠りについた
悠佑
夕飯のオムライス四人前が 完成した。 綺麗に整えられており、美味しそうだ
母
悠佑
実際、美味しそうに口に運ぶ姿を 見るのも、美味そうな匂いがだんだんと香る感覚も結構好きだ
母
悠佑
俺は母さんに背を向けて、 扉を開けて階段を登り、 いふの部屋へと向かった。
悠佑
いつも通りの声量でいくが、 いふの様子がいつも通りではないこと に気づき、戸惑った。
悠佑
いふ
重たそうに瞼を開けた。 少し掠れた声が耳に入る。
悠佑
額を触り、いつもより熱いことが わかった。けっこう酷い熱っぽい。
悠佑
いふ
申し訳なさそうに瞳を揺らす弟。
悠佑
悠佑
ある程度、次に行うべきことを 言ったからその場から離れようとした
いふ
名残惜しそうな、弟の声が聞こえる …大きくなっても変わらないんだな
悠佑
なるべく優しく声をかける。 「待って」とは声に出してくれない 弟に。
いふ
悠佑
悠佑
いふの頭を撫でる。 少し表情が和らいだように感じた。
いふ
悠佑
弟が満足するまで頭を撫で続ける その間片方の手でスマホをいじり、 母さんに連絡する。
いふ
悠佑
母への連絡も終わり、いふの目を見る まだまだ息は荒いし辛そうだ。 早く治してあげたい。
いふ
悠佑
ゆっくりだが、口を開いた。 "違う"その言葉の意味はわからない
いふ
悠佑
いふの腕が伸びてきて俺の頬に触れた
いふ
悠佑
確かに、今、"愛してる"と言った。 俺の名を、言って、愛してると。
悠佑
いふ
言葉は真っ直ぐなのに、 辛そうに笑ういふ。 頬に触れていた手はもう離れていた
悠佑
俺は何も言えなかった。 …だけど確かにその笑顔が、俺は、 許せないように感じた
いふ
いふ
悠佑
嘘なんて、お見通しだって、 言えたあの数分前に戻りたい。
悠佑
そのまま、俺は部屋を後にした
いふ
気づいたら朝だった。 頭痛が酷く、眠ったところまでは まだはっきりと覚えているが…
いふ
朧げにしか昨晩の記憶がない。
いふ
ただ、兄貴がいたこと、 撫でてくれたことは覚えている。
いふ
君が隣にいたらいいな、なんて 思ってた俺はひとりぼやいた。
いふ
頭痛も何もなく起きられたため、 熱が引いていることがわかった。
いふ
いふ
病人だからって昨日から何時間 寝てんだって話だ。
いふ
そうしてパジャマのまま一階、 リビングへ向かった。
いふ
兄貴がソファに座ってくつろいでいた 姿を発見したので声をかけた
悠佑
半笑いで、こんな風にツッコミ 返してくれるかなあと思い、 返事を待っていると
悠佑
明らかに動揺した様子で、 ツッコミすらなく返事を返してきた。
いふ
悠佑
いふ
悠佑
わかりやすい嘘だ。 多分、嘘をつき慣れてないんだろう
いふ
兄貴の顔を見て昔から兄貴に 言われてきたことを言い返す。 嘘だらけのオレがよく言えたもんだ
悠佑
いふ
いふ
悠佑
昨晩の記憶には朧げな部分がある。 多分、その時やらかしたのだろう
いふ
悠佑
断固として兄貴は言うつもりは ないらしい。仕方ない。 オレも奥の手を使おう。
いふ
いふ
できるだけ悲しげに、 顔は見せないように。
悠佑
そうすれば、ほら。 優しい君は話してくれる。
悠佑
いふ
少しだけ悲しい声音だ。 やはり昨夜やらかしたんだ。
いふ
いふ
いふ
頭がだんだん働かなくなってくる。 もし君に、取り返しのつかない ナニカを言ってしまっていたら…俺は
悠佑
いふ
悠佑
悠佑
は、
いふ
嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ
いふ
いふ
愛してる?兄貴に?何を考えてたんだ 兄貴をわざわざ困らすようなこと、 態度が変わるようなことなんで!!!
いふ
ありえちゃいけないんだ
悠佑
いふ
いふ
悠佑
何を話したのか、あまり覚えてない けれど大丈夫。 だって、オレは兄貴の弟だから。
悠佑
いふ
兄貴から伸びてきた手が 俺の頬に触れる
悠佑
いふ
悠佑
悠佑
いふ
なんで兄貴は、そんなに優しいの
悠佑
俺は、オレは、俺は、オレは
いふ
悠佑
頬に触れていた兄貴の手を振り落とす
いふ
悠佑
俺は家を飛び出した。