やすし
本当にそんな言葉があんのかよ
川中高彦
あるんだって!まじ!
静かな住宅地にある喫茶店に不相応な大声が鳴り響いた。
店内の客達が伏し目がちにこちらをチラチラ見てるのに気付き、三人は声量を落とし話を続ける。
光一
そんなんあったら皆苦労しないだろ?
川中高彦
お前ら友達を疑うのかよ!
やすし
でもなー。
やすし
誰もを笑わせることが出来るある一言
やすし
そんなん言ったら滅茶苦茶ハードルあがるぞ笑
川中高彦
おーいいぞ!ハードルあがれあがれ!
光一
スゲー自信笑
やすし
そこまで、言うなら聞かしてもらおうか!
やすし
誰もが笑ってしまう一言とは…?
川中高彦
うん、それはな…
そう言った瞬間だった。 ヘルメットを被り、銃を持った強盗が突如として入ってきたのだ。
強盗
動くな!!!
光一
ご、強盗!?
やすし
まじかよ!
強盗
うるさい黙れ!ただお前らは金を渡せばいいんだ!
川中高彦
……。
川中高彦
………おい強盗!
強盗
!!
光一
お、おい高彦!なにやってんだ!
強盗
なんだー貴様!!
川中高彦
…お前にある一言を聞かしてやる
やすし
!
光一
おいまさかお前!
強盗
てめー!!
強盗が銃を向ける。今にも引き金を引きそうな迫力だ。
川中高彦
ある一言…それは……!!
光一
……。
やすし
……。
光一
ふふ。
やすし
ふふふ。
光一
あはははは!
やすし
爆笑だよな!超懐かしい!!
川中高彦
いやいや笑いすぎだろ!
光一
いやー、すまんすまん。
光一
でも懐かしくて。確かにこんなんお前書いてたな笑
川中高彦
好評だったろ?
光一
まあ、一人だけ夏休みの自由研究の発表で、自作小説を朗読するんだからな。
やすし
もう皆爆笑だった笑
川中高彦
ちぇー。
光一
まあまあ、いい思い出じゃん!
光一
こうして、同窓会で笑い合えるんだからさ!
川中高彦
…まあな。
やすし
うんうん。
光一
それにしても、本当久しぶりだよな。この学校も皆に会うのも!
川中高彦
光一とやすしはずっと海外で仕事してたもんな。
やすし
本当に、海外ずっといるから日本に帰ってきたら浦島太郎状態だよ!
光一
確かに笑
川中高彦
まあでもお前らが元気で良かったよ!
光一
へへ。
やすし
おう(^-^)
光一
…そういえばさ、この小説の事だけど…。
川中高彦
おお、何だ?
光一
これ未完だったよな
やすし
そうそう!
結局主人公のお前が、その一言を言う直前で終わってたじゃん!
結局主人公のお前が、その一言を言う直前で終わってたじゃん!
光一
宿題終わってないって、先生に怒られてたよな!
川中高彦
いやー、大変なんだぜ。小説作るの。
川中高彦
逆にあそこまで書いたことを誉めてほしいくらい。
やすし
でも、気になるよな。
光一
そうだよ!
光一
最後の一言何だったんだよ!聞かせろよ。
川中高彦
ふふ、聞きたいか!
川中高彦
良いだろう!聞かせてやろう!
やすし
お!まじで!
光一
ハードルあがるぞー笑
何せ25年間引っ張ったんだからな!
何せ25年間引っ張ったんだからな!
やすし
やっと、宿題終わらせられるな笑
川中高彦
おう!よーし、よく聞けよーー!!
川中高彦
その一言とは…!
光一
…ん、電話だ
カナ
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通話
00:00
光一
カナだ!!
やすし
おっ、いいねー!光一の初恋相手!
光一
うるせー!
川中高彦
はは、まあ早く出てやれよ!
光一
おう!
ピッ!
光一
おう、カナ久しぶり!!
光一
うんうん、もう居るよ!
やすし
ふー、いいねー!
川中高彦
はは。カナちゃんも久しぶりだなー!
やすし
お前もカナちゃん好きだったもんな!
川中高彦
うるせ!
川中高彦
…と、ちょっとトイレ行ってくる!
やすし
緊張してんの?笑
川中高彦
うるせ!笑
やすし
はは。いってらしゃーい
川中高彦
……やすし、光一、元気にやれよ(^-^)
やすし
…え?
川中高彦
何でもねーよ笑行ってくる!
やすし
……変なやつ笑
光一
うんうん。
光一
今?
光一
今は、やすしと高彦がもう来てるよ。
光一
高彦?今トイレに行ったみたいだけど。
光一
うんうん。
光一
……は?
やすし
?
光一
いや、そんな訳ねーだろ。
光一
だってさっきまで一緒に…!
光一
……
光一
うん。分かった。とりあえず来てくれ。
ピッ!
やすし
おうおうどうした?何か穏やかじゃなかったね。
光一
…やすし。
やすし
ん?
光一
高彦なんだけどさ、
やすし
おう、今トイレ行ってるぞ
光一
…高彦…
光一
二年前に死んでるんだって…。
やすし
……
やすし
…は?
結局、高彦は戻ってこなかった。
その後、教室に集まった皆から事のいきさつを聞いた。
もともと病弱だった高彦は三年前に、病気が悪化。
一年間の闘病を続けたが、そのまま高彦この世を去っていた。
カナ
高彦君、ずっと言ってたみたいよ。
カナ
光一とやすし君は元気にしてるかなって。
カナ
三人共、仲良かったもんね。
光一
…ああ。ずっと会ってなかったけど俺たちは親友だ。
やすし
…うん。
カナ
…。
カナ
あ、そういえばさ、高彦君、昔小説作ってたじゃない?
光一
うん。
カナ
今度会ったとき、二人に小説のラスト聞かしてやるんだーって、
カナ
それまで死なないって言ってたんだって。
カナ
もしかしたら、そんな強い気持ちがあったから、二人の元に来たのかもね…。
やすし
高彦…。
光一
ちっ。最後の言葉、結局聞けずじまいだったなー。
やすし
とりあえず、俺たちがそっちに行くまでに納得いく答えを考えといてもらうか!
光一
ああ。
やすし
高彦のやつ、まだまだ宿題は終わらないな笑
光一
そうそうハードルめっちゃ上がってるし!
やすし
半端な答えじゃ俺ら笑わないぞ!
光一
そうそう笑
光一
…まあ、それまで、
光一
ゆっくりと長い休みを満喫しろよ!
光一
高彦、本当に……お疲れさま
光一
…またな。