鬼神丸
鬼神丸
それにしてもやっぱり長いですね道のり
蓮爺
山をひとつ超えようとしとるからな
蓮爺
しかしまぁ、懐かしくはあるのぉ
鬼神丸
…ですね
鬼神丸
楓ノ里に着くまではずっと野宿でしたし
鬼神丸
それに僕の太刀筋の強化をしたり
鬼神丸
そんなことが多くありましたからね
蓮爺
まだまだお主は太刀筋が甘いがのぉ
鬼神丸
要修行しておきます
蓮爺
ワシ相手ではもうつまらんじゃろ?
鬼神丸
そんなことないですよ
鬼神丸
現に僕まだ蓮爺に一度も勝ててないですから
蓮爺
勝たせるつもりもサラサラないがな
鬼神丸
今なら蓮爺にも勝てる気がしますけどね
蓮爺
ほぉ?
蓮爺
若造が抜かした口を開くようになったのぉ?
鬼神丸
ふふっ……
鬼神丸
冗談ですよ
鬼神丸
僕が勝てるなんて天地がひっくり返ってもありえないです
蓮爺
まぁワシも老いたからのぉ
蓮爺
負けるつもりはないが体が言うことを聞かない歳になってきてのぉ
蓮爺
もしかするともしかするかもしれんな
鬼神丸
とか言いますけど二尾との戦闘衰え見えなかったですよ?
蓮爺
ワシからすれば衰えすぎじゃな
蓮爺
あやつが行動する前に事が終わるはずだったが
蓮爺
やはり後手に回ることが増えたのぉ
久しぶりの二人旅、道中は他愛のない話をして時間を潰す
そんな久しぶりの時間に水を差すかの如く事件に巻き込まれる
鬼神丸
鬼神丸
ん?
鬼神丸
なにかがこちらに向かってきます
蓮爺
こんな山道で会うのは野生動物くらいだろ
鬼神丸
いえ……
鬼神丸
あれは人型のなにかです
蓮爺
どのくらいの大きさだ?
鬼神丸
恐らく子供だと思われます
蓮爺
子供?
蓮爺
なんでこんな何も無い山に子供が…
鬼神丸
なんにせよ保護してあげましょう
???
???
はぁ…はぁ………
鬼神丸
君大丈夫?
???
!?
???
い、いや…
???
私……もう………
蓮爺
少し様子がおかしいな
???
私はもう……
???
???
いやぁぁぁぁぁァァァ!!!
鬼神丸
お、落ち着いて
鬼神丸
一体何が嫌なんだ?
蓮爺
分からん
蓮爺
が、お主の額を見て怯えてるようだな
鬼神丸
僕の額って言うと……
鬼神丸
鬼神丸
角?
鬼神丸
それじゃあこの子の恐怖の対象は鬼?
蓮爺
可能性だがな
蓮爺
とにかくこの子を落ち着かせることが優先だ
蓮爺
きっと何かから逃げてきたはず
蓮爺
彼女が来た方向をよく注意すること
鬼神丸
はい
蓮爺
この子はワシが何とかしよう
鬼神丸
すいません頼みました
鬼神丸
え?
鬼神丸
あるかもしれないけど…
鬼神丸
あの反応は演技じゃできないよ
お前からすれば俺のこの言動が腹立つだろうが頭の中に入れておきな
鬼神丸
もちろんそのつもり
鬼神丸
それよりあの子が恐怖してる対象が現れない
鬼神丸
一体何に怯えてるのか掴めない…
???
???
お兄ちゃん後ろ!!
鬼神丸
後ろ?
闇鬼
あばよ名の知れぬ若造
鬼神丸
!!
音もなく鬼神丸の背後に回り、首目掛けて鋭い爪が迫り来る
鬼神丸
鬼神丸
ほぉ?
鬼神丸
闇鬼とは珍しいなぁ
闇鬼
!?
完全に不意を着いたはずなのに鬼神丸は咄嗟に反応し寸前のところ素手で止めた
闇鬼
完璧な奇襲だったはず…
鬼神丸
どーかな?
蓮爺
蓮爺
どうやって警戒してるワシらの隙をついた?
蓮爺
ピンポイントで鬼神丸の背後に立ち首を狙うなんて……
???
……
蓮爺
!
思案する蓮爺であったが庇っている少女が蓮爺の服をギュッと握る
その握り方は力強く、けれど恐怖によって震えているそんな力の入り方だった
蓮爺
………
蓮爺
安心しろ嬢ちゃん
蓮爺
ワシがいる
蓮爺
老いぼれとはいえ嬢ちゃんを守るだけの力は有してるつもりじゃ
蓮爺
何より今戦ってくれてる彼は
蓮爺
あんな奴には負けれないからの
???
……
蓮爺
まぁ血なまぐさいのは確かだ
蓮爺
あまり嬢ちゃんくらいの歳の子には見せられないがな
鬼神丸
鬼神丸
なぁお前
闇鬼
あ?
鬼神丸
どうやって俺の背後のに回った?
闇鬼
何故教えないといけない?
鬼神丸
教えられないって訳か
闇鬼
敵にわざわざ自分の手の内教えるやつがいるか?
鬼神丸
それはごもっともだな
鬼神丸
鬼神丸
まぁ仕組みは分かってるから喋んなくてもいいけどなぁ?
闇鬼
なに?
鬼神丸
さっきの奇襲を防いだのがまぐれじゃねぇって言ってんだよ
闇鬼
ほぉ?
闇鬼
ならもう一度防いでもらおうかぁ!
鬼神丸
はぁ…
鬼神丸
お前はこれしかないのか…
鬼神丸
うるせぇな
鬼神丸
俺が出ないとお前死んでたぞ
鬼神丸
なら、コイツがどうやって俺の背後に立てたのか分かったか?
鬼神丸
分からねぇならまだ大人しくしてな
鬼神丸
すぐに答え合わせしてやるよ
闇鬼
闇鬼
独り言とは悠長な事だなぁ!!?
鬼神丸
やっぱ俺の後ろか
鬼神丸
ワンパターン過ぎるんだよ雑魚が
背後に現れた闇鬼に即座に反応し肘打ちを決めようとするが闇鬼には当たらない
鬼神丸
なっ!?
闇鬼
ワンパターンじゃねぇんだよなぁ?
鬼神丸
(コイツは幻影か!)
背後に回ったのは闇鬼の幻影でそちらに振り向いた鬼神丸の背後に本体が現れ一撃をいれる
鬼神丸
くっ……!?
闇鬼
ちっ……
闇鬼
頭を飛ばしてやるつもりだったがやはり反応がいい
闇鬼
頬を掠める程度で抑えるとはな
鬼神丸
鬼神丸
そんな小細工ができるとは思わなかった…
鬼神丸
鬼ってやつは単細胞の生き物だと思っててな
鬼神丸
油断した
闇鬼
まだおしゃべりする余裕があるようだなぁ?
鬼神丸
言ったはずだ
鬼神丸
この奇襲攻撃の仕組みは理解してる
闇鬼
そのくせして一撃もらってるけどなぁ?
鬼神丸
代わりに俺の立てた仮説が立証されたも同然だな
闇鬼
なら、次で終わらせてやるよ
闇鬼
仕組みを理解したところで何も出来ねぇと言うのを教えてやる
鬼神丸
そう吠えるな犬畜生が
闇鬼
き、貴様ァァ!
鬼神丸
分かってる…
鬼神丸
無力化して洗いざらい話してもらう
鬼神丸
だがその前に、俺に傷をつけた事を後悔させてやる