キシャール
いよいよ…開封だな。
雷
………。
雷
樹お願い。
樹
わかった…。
ガチャ…
キシャール
…封筒が一つか。
樹
開けるよ…?
雷
えぇ。
樹
………。
キシャール
ん?
樹
何も書いてない…。
キシャール
なんでだ!?
キシャール
誰かが消したのか!?
樹
俺知らないよ…。
雷
貸して。樹。
樹
うん…。
雷
サラ…。
雷
…点字ね。
キシャール
点字ぃ?
遺言書 遺言者皇 椎菜は次のとおり遺言する。 1 孫皇 雷に次の財産を相続させる (1]土地 所在 〇〇市〇〇区〇町3丁目 番地 〇〇番 地目 宅地 地積 〇〇〇〇平方メートル (2)建物 所在 上記同所同番所在 木造建築二階建て居宅 床面積 一階 〇〇〇平方メートル 二階 〇〇メートル (3)同居宅内にある家財一式 (4)〇〇銀行本店の遺言者名義の普通預金(普通番号4381027)のすべて 2 遺言者は本遺言の執行者として、弟の皇 亮を指定する。 付言事項 遺言者は長男家族、次男家族に一切の利益を与えることがないようこの内容を 書くことにした。 遺書を入れた箱を隠すものが現れた場合直ちに警察を呼ぶように。 そして相続人である雷にわかるように点字で書いておきます。 〇〇年〇月〇日 〇〇市〇〇区〇町3丁目〇〇番 遺言者 皇 椎菜
樹
なんて書いてあるんだ?
雷
…読み上げたいけど…。
樹
?
キシャール
客だ。
樹
わかった行ってくる。
樹
いらっしゃいませ〜。
晴翔
あのぅ…。
店にいた男は顔が真っ青で死んだ目つきをしていた。
樹
なんのようですか?
晴翔
い…依頼を…しに…。
キシャール
樹。ボソッ
樹
なんだ?
キシャール
そいつは通してよさそうだ。
キシャール
嘘の音はしないし…。
晴翔
誰か…いるんです…か?
樹
いいいいいいいや別に…。
キシャール
(なんだこいつ。)
樹
どうぞ奥に。
晴翔
お邪魔…します。
雷
こんにちは。
晴翔
こん…にちは。
雷
依頼内容は何かな。
晴翔
僕…父さんに古い洋館をもらって…。
晴翔
でもすごく暗い場所で…幽霊とか…出そうで…。
雷
ほう。
晴翔
それ…で。
晴翔
走って玄関に戻ったら鍵が…なかったんです…。
晴翔
変な唸り声も…聞こえたから怖くて…。
樹
警察に言わないんですか?
晴翔
僕の父が…元小人で…。
晴翔
こっちの世界の建物では…ないので…。
キシャール
なるほどなぁ。
晴翔
ヒィ!
晴翔
おおおおおおおおおおおおおお置物が喋った!!!!!!
キシャール
うるせぇ俺は置物じゃない!
晴翔
こんなにちっさくて土台の上に…立ってたから…置物じゃ…。
雷
キシャールはあなたのお父さんと同じ小人なのよ。
晴翔
そう…なんですね…。
晴翔
ごめんなさい…。
雷
まあ…依頼は鍵を探せばいいの?
晴翔
それと…建物の変な鳴き声の…原因を…調べて欲しいんです…。
晴翔
わからないと…また…鍵落とすかもだから…。
雷
わかった。
雷
その依頼受けましょう。
樹
遺書はどうするんだ?
雷
弁護士に任せる。
雷
後キシャールが再現してくれてるから証拠もあるし。
晴翔
助かり…ます。
晴翔
あ…ここです…。
樹
ぼっろ…。
雷
失礼よ。樹。
晴翔
いや…この建物は90年ほっとかれてたって…聞いてるので…。
キシャール
そりゃ何か巣食うかもな。
キシャール
(…禁忌の森の屋敷…か。)
キシャール
(ここらはあいつらが…。)
晴翔
あっ。
ドシャッ!
晴翔
イタタ…。
樹
大丈夫ですか?
晴翔
大丈夫…です。
キシャール
雷足元気をつけろよ。
雷
………。
雷
ありがとう。
樹
うわぁ…。
キシャール
なんというか…逃げ出すのもわかるな…。
晴翔
でしょう?
晴翔
あ…キシャールさんと…樹さんは鍵を探してくれませんか…?
雷
?
晴翔
僕は…雷さんと鳴き声の正体を調べに行くから…。
キシャール
任せろ。
キシャール
樹。行くぞ。
樹
キシャール…あそこの2人一緒にしていいのか?ボソッ
キシャール
嘘をあいつは一回もついてないんだよ。
キシャール
だからまあ一応大丈夫だと…。
樹
ならいいけど…。
晴翔
雷さん行きましょう…?
雷
そうだね。
俺は後悔した。
あの男と雷を一緒に行かせたことに。