昔々
オリーブの実がなる村に
ハンスとクリフトと言う若者がいました
ある日二人は旅に出ました
山を越え川を渡り自由気ままに放浪し
一つの村に着きました…
ハンス
なぁクリフト
クリフト
ん?
ハンス
今日はもう暗いしこの村に泊まろうぜ?
クリフト
あぁ、そうするか
カーン…カーン…
ハンス
教会の鐘?
クリフト
葬式か?
村人A
あんたが死んでせいせいしたよ!
村人B
もっと早く死んでくれればよかったのにな!
村人C
あー!死んでくれてよかった!
ハンス
なんだ?皆で死んだ人の悪口を言ってる
クリフト
不謹慎だなー
長老
そうではありません
ハンス
どちら様?
長老
私はこの村の長老です
長老
この村では人が亡くなっても悲しんではいけないのです
ハンス
なんでですか?
長老
長老
冥界の王が迎えに来るのです
クリフト
冥界の王?
長老
親しい人が死んで悲しんでいると
長老
冥界の王が来るのです
長老
『あの世で会わせてやろう』と言って
長老
人々を連れ去ります
長老
なので、四十九日を迎えるまでは悲しんではいけないのです
ハンス
へぇ~…
クリフト
そんな理由が…
長老
ですからお二人共、泊まるのは結構ですが、
この村では悲しんではいけませんよ
この村では悲しんではいけませんよ
ハンス
はい
翌朝
ハンス
ふぁーー
ハンス
おはようクリフト…
クリフト
ハンス
クリフト?
クリフト
ハンス
死んでる…!?
ハンス
嘘だろ!?クリフト?!
村人A
村人A
どうしました?
ハンス
クリフトが…友人が死んでるんです…
村人A
村人A
!…お葬式の…準備をしましょう…
カーン…カーン…
長老
さぁ…ご友人を罵って下さい
ハンス
え…?
長老
申し上げたでしょう
長老
冥界の王が来る…と
ハンス
ハンス
お前が死んでせいせいしたよ…
ハンス
ハンス
本当に…よかった…
村人B
村人B
いいんです…それで
村人B
悲しむのはこの村を出てからにして下さい…
ハンス
すみません皆さん…
ハンス
僕は…悲しまずにはいられない…
村人C
あんたッ?何する気?!
ハンス
クリフト!
ハンス
なんで死んじまったんだ!戻って来い!クリフト!
長老
だめです!!
長老
あなたまで死んでしまう!
ハンス
あいつに会えるなら本望だ!
ハデス
ハデス
ハデス
そうか…
ハデス
なら会わせてやろう…
ハデス
あの世でな
長老
ハ…ハデス様…
ハンス
これが…冥界の王…?
ハデス
そうだ
ハデス
我が名はハデス
ハデス
皆のもの…我が国へ来い…
ハデス
我が国…冥界へと来い…!
ハンス
ウッ…
ハンス
息…が…
村人A
おやめ…下さい…!
村人B
ハデス様…この者は…
村人C
知らなかったのです…何も…!
長老
何故…我々まで…?
ハデス
我が国の人口は今や昔の半分
ハデス
少しでも人口を増やしたいのだよ、私は
ハデス
さぁ…そこの君も…
オイデ…私ノ国ヘ…