昼休み、校舎中庭
ミドリ
はぁー!?
ミドリ
みやこが惑星の機械化を推進する
ミドリ
アンタらと別派閥にいる宇宙人の手先ー!?
アナ
その通りだ
ミドリ
その通りだじゃないよ
ミドリ
自分で言ってて説明ゼリフすぎてビックリしたわ
ミドリ
そんなわけないでしょー
ミドリ
アンタらみたいなのがうちの近所に
ミドリ
そうポンポンいてたまりますか
ミドリ
第一、みやこは物騒なことなんてしてないよ
ミドリ
私と同じで、ただのオタク女子!
アナ
愚か者め
アナ
なんたる客観性のなさだ
アナ
だからお前の作品は独りよがりで終わるのだ
ミドリ
だからお前はアホなのだみたいに言うな!!
ミドリ
そんでいちいち私の心をえぐってくるな!
ミドリ
私のメンタルが少なくとも
ミドリ
プラスチックレベルの硬さがあって助かったと思え!
ミドリ
でなきゃ泣き叫んで筆折って
ミドリ
アンタらへの呪詛を吐いて死んでるからね!?
アナ
むっ、脅迫か
ミドリ
アンタらがね!?
ミドリ
先に地球を盾に私を脅迫したの
ミドリ
アンタらのほうだからね!?
アナ
星の救世主たる資格を得て
アナ
なにを憤慨することがある
ミドリ
コイツ……
ミドリ
マジで自分達の都合のいい部分しか見ないな……
ミドリ
救世主を任命するなら!
ミドリ
伝説の剣でも持ってこい!!
ミドリ
あと見返りに
ミドリ
ソシャゲのガチャ運を最強にしたりしろ!
ミドリ
隠しルートも全解放を求める!!
アナ
第三者の利益に打撃を与えるような
アナ
非道な報酬を用意する気はない
アナ
さらに、思い通りにならんジレンマとやらが
アナ
お前達の活力源でもあるはずだ
アナ
むざむざと廃人にする気もない
ミドリ
く……ッ!
ミドリ
たった2日で萌えの駆け引きを理解するとは
ミドリ
宇宙人恐るべし……!!
アナ
時にミドリ
アナ
お前に聞きたいこともできた
ミドリ
……聞きたいこと?
ミドリ
なに、改まって
アナ
かつてこの国で、機械文明を礼讚するような
アナ
核心的事案は起きなかったか
アナ
自然は不要と謳い、未来は都市の機械化によって
アナ
こんなにも便利になる、と予言するような物だ
ミドリ
はぁーーーーん??
ミドリ
私、歴史萌えはしない人だからなぁ……
ミドリ
国家擬人化はハマったけど
ミドリ
歴史はなんちゃってでやってたし……
ミドリ
機械文明スゲー!ってことでしょー?
ミドリ
そんなもん、鎖国解いた時点から……
ミドリ
……ん
ミドリ
あ、待って待って
ミドリ
あれかな??
ミドリ
未来ってこんなんなるの!?マジスゲーッ!
ミドリ
なんてなったの、アレじゃない?
ミドリ
性格の悪い不死鳥が人間を弄んだりするアレからじゃない?
ミドリ
車が空飛ぶ時代がくるんだ、スゲー!とか
ミドリ
宇宙の星々に移住できる日がくるかも!スゲー!とか
ミドリ
ロボットが自我を持っちゃう!スゲー!とか
ミドリ
あー、アレだわ
ミドリ
たぶん超絶偉大な漫画家先生のアレだわ
ミドリ
間違いない
ミドリ
そっから、原子力少年なアレとか
ミドリ
作者違うけど、ポケットから便利道具だしてくるアレ?
ミドリ
未来はめっちゃ機械化されてるんだ!
ミドリ
じゃあ現実もそうしようぜ!みたいな感じ?
ミドリ
原子力少年は作ろうとしてる人もいるみたいだし
ミドリ
まーねー、確かに魅力的だもんねー
ミドリ
昔の人からすりゃ、自然とか普通にあったしさー
ミドリ
こんな便利になんの!?って思ったら
ミドリ
まぁ憧れちゃいますよなー
アナ
……
アナ
ミドリよ
アナ
なぜ誰も急かしていないのに待ってと言うのか
アナ
そしてなぜ早口で独り言を続けるのか
アナ
さらになぜ一人で納得しているのか
アナ
その上でなぜ悦に入った語りをするのか
アナ
行動のすべてが違和感でしかないのだが
アナ
それは演出か?
アナ
自らの脳の限界がいかに低いかを暴露することで
アナ
他人との壁を作っているのか?
アナ
それとも畳み掛けて話をすることで相手を煙に巻き
アナ
自分を有能であると偽りたいのか
アナ
お前は時に不可解な生物になる
ミドリ
う、うっさい!!
ミドリ
腐女子どころかオタクあるあるな話し方です!
ミドリ
冷静につっこむな!
ミドリ
なんなのアンタ!
ミドリ
ホントに私をサポートする気あるの!?
アナ
無論だ
アナ
イレギュラーは即時修正をと考えたのだが
アナ
お前にとってつまりそれはデフォルトなのだな
アナ
ならば口を挟むのはよそう
アナ
とにかくどうやら
アナ
機械化促進のインフルエンサーとなったらしい人物がいた
アナ
それが分かったのは収穫だ
アナ
お前も今の確認で気づいたのではないか?
ミドリ
ん?
ミドリ
なに??
アナ
……いっそ哀れなほどの鈍感ぶり……
アナ
作品を作り出す上で大切なことは
アナ
常に世界に機敏であり、アンテナを張り続けることだ
アナ
そんなことでは緑化は成せんぞ
ミドリ
ふぐぅ……
ミドリ
ガチで毎回みぞおち抉られる……
ミドリ
なんなのこのチンアナゴ……
ミドリ
とてもサポートマスコットとは思えない……
アナ
他人に影響を与え、憧れを持たせ
アナ
さらには実行力すら与えてしまうほど
アナ
魅力溢れる読み物を作り出す
アナ
それを成せる可能性を持った、お前たちのような人物こそ
アナ
緑化、機械化、双方の使徒に選ばれやすいということだ
ミドリ
……つまり、書き手のオタク?
ミドリ
てことは、マジでみやこも可能性あんの?
アナ
可能性ではない
アナ
彼女の鞄にぶら下がる下卑た金属マスコットこそ、我らが宿敵
アナ
ドゥラーンムヌストァー
アナ
みやこという少女が奴らに選ばれたのか
アナ
それともお前と同じく、過去の使徒と繋がりがあるのか
アナ
どちらにせよこの任務に障壁が出現したことは間違いない
アナ
本格的に作品づくりを進めていかなければならん
ミドリ
え……
ミドリ
えぇー……
ミドリ
みやこと敵ってこと?
ミドリ
マジで??
アナ
まずはキャラクター設定と世界観を絞り出せ
アナ
朝までに少なくとも2作分
アナ
造形はあとだ
アナ
ただし勉学の途中で構想することは禁じる
アナ
努めて励め
ミドリ
……え
ミドリ
……え、マジで?
ミドリ
逃げ場なし?
ミドリ
……そん……そん……!
ミドリ
そんな無茶なぁーーーーー!!







