月明かりの喫茶店
"夜だけ現れる、秘密の喫茶店。そこは、心の迷子をやさしく迎えてくれる場所――。"
中学生のあんずは、部活と勉強の両立に悩みながらも、ちょっぴり不思議な恋に心を揺らす日々を送っていた。
ある日の放課後、何気ない帰り道にふと現れた、見知らぬ木の扉。その先にあったのは、「月灯り」と名乗る、不思議な喫茶店だった。
そこでは、時間の流れが少しゆるやかで、出される飲み物はその人の"今の心"にぴったりな味をしている。
カウンターの奥には謎めいた銀髪の青年マスター・ルイ。
彼の言葉は、まるで月の光のようにやさしく心を照らしてくる。
喫茶店には他にも、ちょっと風変わりな常連たち――
未来を夢見る作曲家、秘密を抱える少女、記憶をなくした青年――が集い、夜ごとに小さな物語を語り合う。
あんずはそんな人々と出会い、自分自身の「心の奥」に少しずつ触れていく。
けれど、ある日、彼女は気づいてしまう。
「この喫茶店には、“ある終わり”が近づいている」
果たして「月灯り」は何者なのか?
Yuzuの心がほんとうに求めているものとは?
そして、扉の向こうで待っていた"特別な一杯"が、彼女にもたらすものとは――。