死んでしまった僕は、雨の音だけ覚えている。
雨の夜、高校生の少年・終夜 雫は、自ら“終点”を選んだ。
誰にも嫌われていなかった。
誰かに助けを求める理由も、表向きにはなかった。
それでも彼は、期待に応え続ける日々の中で、静かに息ができなくなっていた。
死んでしまったはずの雫は、しかし完全に消えることができず、
雨の降る夜だけ、この世界に留まり続ける幽霊となる。
自分の死を悼む声。
残された家族の涙。
何も知らずに過ぎていく日常。
それらを見てしまった雫は、初めて後悔する。
――生きていれば、見なくてよかった光景だった、と。
終点だと思っていた場所の先に、
まだ続いていた誰かの時間。
そして、自分が確かに存在していた痕跡。
これは、
「死んでしまった僕」が、
雨の音だけを手がかりに、
“生きたかった気持ち”と向き合っていく物語。