雷兎
…ぇっ?…
どういう意味…
その言葉を皮切りに
瞼を重そうに閉じ始め、
雷兎君は睡魔に負けて
眠りに落ちて行った
雛花
お休みなさい。
雛花
って言っても、
もう寝ちゃったか
雷兎
………………
雷兎
雷兎
雷兎
……んぁ…ッ…うぅ…
雷兎
…っ…ぁあ……
雷兎
雷兎
……ここ……どこ…?
雛花
雛花
おはよう、雷兎君♡
雷兎
…!?…雛花っ…
雷兎
ここ、一体どこ?
それに…何で手足
なんて縛って…っ…
雛花
…ここはね〜♪…
雛花
雷兎君の部屋♪
雷兎
えっ?俺の部屋?
雛花
そう、元は家の物置
だったんだけど、
案外綺麗だったし
雛花
滅多に家族も
近寄らないから、
君を閉じ込めるには
最高の場所なの♡
雛花
……これで君は
私だけの小鳥…
雛花
素敵な鳥籠の中の
小鳥なんだよ♡
雛花
もう逃がさない…
空は広すぎるの。
雛花
君を穢す連中は
夥しい程いるんだ…
雛花
そんな所に
もう、絶対
君を放さない…
雛花
雛花
ずっー、と私だけ
の綺麗な小鳥…
雛花
誰にも邪魔させない。
雛花
誰にも触れさせない。
雛花
……救われてた。
雛花
囚われてた。
雛花
この二つの言葉に、
大した違いなんて
無いんだから。
雛花
大丈夫、
雛花
窮屈なんて
感じさせない。
雛花
この甘くて安全な
密度が心地良い…
雛花
そう、思わせてあげる
雷兎
……っ……、…
雛花
言葉も出ない?
雛花
元々手足も
縛られてるのに
声も出せないなんて
雛花
何だか可哀想…♡
雷兎
………雛花……
雷兎
雛花
雷兎君。…今更君が
何を言っても無駄
なんだよ?
雛花
雛花
人の気持ちを
理解出来る雷兎君
なら分かると思うよ
雛花
さっきからずっと
私の目を見て、もう
察してるでしょ?
雛花
私が本気だって。
雛花
雛花
だから。
雛花
雛花
無駄な抵抗は、
しないでね?
雛花
君は、絶対私を
傷付けたりしない
と信じてるけど…
雛花
もし何か抵抗したら
私はその綺麗な羽を
折らなくちゃ…ね?
雛花
傷付けたくないのは
勿論私もだから…。
雷兎
…雛花……お前……
雷兎
……もう……俺…
雛花
ふふふっ、
そんな顔も素敵
だなぁ…♡
雛花
雛花
あっそうそう、
言い忘れてた
雛花
君の身の回りの
世話は全部、
私がするからね♡
雛花
まぁ、大抵の物は
もうここに置いて
あるけど…それに
雛花
綺麗にしてあるし、
もう立派な部屋には
なってるけどね。
雛花
でも、お風呂とか
トイレとかは
不便でしょ?♡
雛花
だから拘束は
外すけど……
雛花
雛花
逃げない様に、
私が見てるよ♡
雷兎
…えぁっ!?
ちょっ、そんな…
雛花
…窮屈な思いは
させないって
言ったでしょ?
雛花
だからちゃんと
拘束は解いて
あげるからさ…
雛花
見張るぐらい
良いでしょ?
雷兎
えっ…見張る
くらいって…そんな
おかしいよ…っ
雛花
ふふふっ…やっぱり
恥ずかしいみたいね
雛花
ちょっと怯えてる
のも可愛いよ♡
雛花
雷兎君…♪
雛花
雛花
あっ、そうそう
雛花
もう一つ言い
忘れてた事が
あったよ。…
雷兎
…?っ……
雛花
拘束を外すって
言われて少し
安心したかも
知れないけどね
雛花
雛花
抵抗したら、
ただじゃ
済まさない。
雷兎
……………
雷兎
…っ…ぅン……
雛花
…よしよし♡
愛しそうにふわっと
雷兎君の頭に手を乗せ
柔らかな手つきで撫でる
雷兎
………っ………
雛花
…雷兎君…
雛花
雛花
私は、どこか
おかしいかな?
雛花
……君を他人に
奪われるのが嫌で
独占したくて。
雛花
ただただ、ずっと
二人だけで一緒に
いたくて…
雛花
閉じ込めて君が
手に入るなら、
私はそれがいい
雛花
雛花
…邪魔する者が
いるなら、消すだけ
雷兎
…っ…!……
雛花
雛花
…でも君はきっと。
雷兎
……??………
雛花
雛花
こんなのは
望んで無いん
でしょ?…
雷兎
雛花
だけど。
雷兎
…っ!ぁッ!…っ…
雛花
もう何をしても、
逃がさないよ…?
雷兎
ッ…っっ…!
雛花
ふふふっ!
雛花
雛花
はぁ…見惚れるよ
雷兎
………っ………
不審者の様に警戒されている
異常だと恐怖を感じられている
その様さえ狂おしく愛しい…
私はもう戻れないんだろうな。
雛花
…ねぇ、雷兎君。
雷兎
……?……
雛花
私が、怖い?
雛花
もう離れたい?
雷兎
雷兎
…………………
雛花
答えてよ、ねぇ…?
雷兎
…………好き…
雛花
雛花
………えっ…?
雷兎
雷兎
……好きだよ……
雷兎
…全部、俺のせいだ…
雛花
…どうしたの?
雛花
何で、泣いてるの?
雛花
俺のせいって…
雛花
雷兎君は、何も
雛花
……あれ…?
雛花
……違う……
雛花
違う違う違うッ‼‼
雛花
そんな、そんな筈無い‼‼
雛花
私は、雷兎君を
愛してるの‼‼
誰よりも何よりも‼‼
雛花
雛花
これは、愛…愛だよ
雛花
取られたくないから…
大好きだから…っ…
雛花
だからこんな事……‼‼
雛花
雛花
雛花
…もう、いいよ…
雛花
…ふふふ…あぁ、
もう疲れたよ……
雛花
とにかく君は、
ずっーと私と一緒…
雛花
私だけの小鳥……♡
雛花
その事に、変わりは
無いんだから……
雷兎
………………
雛花
………………
雛花
雛花
じゃあ、
また来るね…
雷兎君。
雛花
3分後に戻るよ…
雛花
雛花
雷兎君…♡
雛花
…さっきは取り乱し
ちゃってごめんね
雷兎
……っ…………
雛花
………………
雛花
雛花
私ね、気付いたんだ
雷兎
…?!………
雛花
雛花
……私の事好き?
雷兎
…ぇっ?…えっ、
いや、あの…っ……
雛花
答えてよ。
好きか嫌いか。
雷兎
…ならっ…好き…?
雛花
…だよね、よかった…
その答えが聞けて
雷兎
…………で………
雛花
ん?あっそっか。
雛花
ごめんね、何に
気付いたかを
話したんだよね
雛花
うっかりしてて…
雷兎
……いや、いいよ
雛花
そう、ありがとう♡
雛花
それでね、何に
気付いたかって
言うとね……
雛花
雛花
私達、お互い好き
なら特に問題無い
って事だよ!♡
雷兎
……???………
雷兎
雷兎
……えっ?…
雛花
そんな顔しないで♪
雛花
こんな簡単な事、
何で今まで気付かな
かったんだろう…♪
雛花
私、ほんとに馬鹿だなぁ
雛花
今更だけどね。
雛花
何で早くこう
しなかったのかな…
雛花
ほんとに可笑しいね
雛花
君を閉じ込めて、
独占するなんて
最高でしょ?
雛花
穢れる前にすれば
良かったよぉ…
雛花
雛花
…まぁ、
雛花
今はもうそんな事
どうでもいいの♪…
雛花
さて、雷兎君
雷兎
…ビク…何…?
雛花
はぁ…またそんな
目で見るの…?
雛花
…何も酷い事
しないのに…♡
雷兎
…??……
雛花
…雷兎君……
雷兎
……何……??
雛花
目を、瞑って♡
雷兎
えっ!?…えっいや
でも、そんな…
雛花
嫌?
雷兎
いや、あっいや、
別に嫌って訳じゃ…
雛花
ふふ、焦って
どうしたの?
雛花
……ほら、ね、
優しくするから…
雛花
絶対、嫌な思いは
させないよ。約束。
雷兎
…!!……っ……
雷兎
雛花
っ…んん…♡…
雷兎
…っぁ…ん…っ…
雛花
雛花
…っはぁ…!♪
雛花
ごめんね、結構
強くして……
雷兎
……っ…うっ、
うんん……別に……
雷兎
………でも、何か
口の中に変な液が
入った気がする……
雛花
唾液じゃなくて?
雷兎
うん、唾液じゃない…
雛花
おかしいな…
準備万端で
したのにそんな…
雷兎
………っぅ……!
雷兎
雛花
……どうしたの?
雷兎
何か、よく…
分からないけど
苦…しいっ……
雛花
……何か、私も……
雛花
苦しく…なってきた…
雛花
雛花
なんてね。
雷兎
雷兎
……えっ?
雛花
苦しいのは
ほんとだよ。
雛花
最後に教えてあげる
雷兎
…えっ?意味が…っ
雛花
青酸カリ、知ってる?
雷兎
…!そんな…まさかっ…
雷兎
嘘…でしょ…ッ?!…
雛花
口に塗ったんだよ…
その青酸カリをね。
雷兎
…そんっ…な…ッ
雛花
雛花
もう…私も死ぬみたい
雛花
君を私のキスで、
愛という名の毒で
愛して殺して……
雛花
永遠に、私だけの君…
雛花
それを叶えたのッ…
雛花
ずっと鳥籠の中で
愛してるのも良い…
雛花
けど…いずれバレる
だろうから…ねっ…
雛花
私のキスで、
私と一緒に死んだ
君はもうずっと…!!
雛花
雛花
本当の、私だけの
小鳥になるんだよ…♡
雷兎
………………
雛花
雛花
あ〜あ…もう
死んじゃったか…
雛花
私ももう本当に
最後だね…ぅッ!…
雛花
…雷…兎っ…君…‼‼
雛花
雛花
んっ…‼‼ん…ぅ…っ
雛花
雛花
……はぁ…っ♡♡
雛花
雛花
……ずっーと、
一緒だね……♡
死に際のキスで
全てを満たした雛花は
ゆっくり瞳を閉じて死んだ