学校内に音が鳴り響く。
それが耳に届いた途端、クラスメイトの顔がぱっと明るくなる。
喧騒が溢れると共に、遠ざかっていく。
今聞こえたのは下校のチャイムだ。
クラスメイトに流されるように美月も席を立ち、扉の方へ歩み始める。
しかし、廊下には進むことが出来なかった。
颯
え、なんで教室出ようとしてんの?
美月
そりゃ、帰るからだよ
颯
えっ、帰れると思ってんの?
颯
ブスに帰る権利はありませーん!
ガヤ
ははは!チョーウケる!
美月
やめて、颯くん……
美月
通らせてよ
颯
お?今から整形しに行くのか?
美月
家に決まってるでしょ
颯
なーんだ…整形しねーのかよ
ガヤ
てか整形してもブスだろコイツ!
颯
ははっ!言えてるぅー!
美月
うるさい…
颯
スマホ貸してみろよ!
美月
なんで…?
颯
お前、ぜってー加工写真しかねえだろ?
颯
加工が勝つか、お前のブスが勝つか賭けしてんだよ
ガヤ
ま、満場一致でブス勝ちと思ってるけどな
美月
邪魔っ!!
美月は無理矢理人混みを押しのけ、涙をこらえながら急いで家に帰った。
ソファーの上には、子猫のように小さくなった美月が泣きじゃくっていた。
美月
うぅ……ブスなことぐらい、知ってるよ……
美月
なんで私はこんなに気持ち悪いの?お母さんはあんなに綺麗なのに……
美月
だから……余計に言われる……
美月
もう……嫌……
お母さん
ただいまー
お母さん
って、美月?どうしたの?
美月
……うぅ………
お母さん
美月?
美月
美月
……なんでお母さんはそんなに綺麗な顔してるの?
美月
なんで私はこんなに醜い顔をしてるのっ!?
美月
私だって……
美月
私だって……お母さんみたいに綺麗な顔になりたいよ……
お母さん
お母さん
じゃあ、美月。お母さんみたいに……
お母さん
整形、する?