私たちが初めてであったのは私の働く花屋だった
彼は花を愛でるような雰囲気ではなかったし
彼女にでもあげるのかなと思っていたら
彼は口を開けた
玧其¦…黒い百合の花をくれ
びっくりした
黒い百合だなんて、花言葉から全く人気の無い花だし、なにより希少だから高い
なぜこの人は黒い百合を買うのか気になった
ちょっとした好奇心だった
「お兄さん。なんで黒い百合なんですか?」
玧其¦…別に…
「…まぁ、なんでもいいですけど…」
なんでここにいるのか分からない
会社に曲を提供して帰路に着いたはずだった。
すぐ帰りたかったけど、喉が渇いたから自販機でコーヒーを買った
公園の道路挟んだ向かい側に花屋があった
花はなんだか好きになれない
俺の世界には有り得ないほどの色を持っている
俺には影しかない
光も色も…俺には与えられないし、誰も与えてくれない
俺が与えて欲しいと思ってすらないからなのかそれは分からないけど
俺は花が嫌いだ。俺の世界には不必要だ。
けれど、気がついたら俺は花屋の中にいた
色んな花の色んな香りが花を掠める
「やっぱり好きじゃない。」
そう思った。
「いらっしゃいませ」
ふと声をかけられる
店員の顔を見た途端
俺は心を奪われた
綺麗な栗色の目
頭の上で纏められた艶やかな髪
荒れもしてない柔らかそうな肌
唇の形に上手く塗られた真っ赤なルージュ
耳元で揺れる銀のピアス
何より彼女の笑顔に心が踊った
俺に、こんな笑顔を見せてくれる人がいる
あぁ、なんて綺麗なんだろうって、、柄にもないことを思った。
俺は今日も花の美しい香りとは対象的な依存性の高い香りを体内に取り込む
苦くて、美味くもない。
それなのにどうしても辞められない。
彼女のような、爽やかで少し甘さを含んだような香りを俺が纏うことは出来ないんだ
俺は彼女から黒い百合を受け取る
「ありがとうございました。」
彼女はまた笑顔で言った
俺はどうしても伝えたかった。だから伝えた。
玧其¦ねえ、あんた。俺、あんたに興味あるみたい。
「え、?…」
玧其¦まぁ、そういうことだよ。じゃあな。
「え、ちょ、お客さん!」
あーあ、、変なやつだって思われたよな…
なんだよ、興味あるみたいって…
どうしよ、。もう会えねぇのかな…
あー、、くそ、。調子狂う…
俺、あんたに興味あるみたい。_
あのお客さんはなんだったんだろうか
初対面の私に興味あるみたいだなんて…
でも、すごくかっこよかった
服から少しだけ見える鎖骨
真っ黒な髪の毛
耳元で揺れていた銀色のピアスと首元のネックレス
全部が…魅力的だった
あぁ、、お兄さん…
私も、あなたに興味があるみたい…
あなたが悪いのよ
あんなに魅力的で、情熱的な瞳で私を見つめたから
次はいつ、会えるんだろう…
NEXT_
好評なら書きます
コメント
45件
毎日待っとく予定です
黒い百合ってタイトルでセンスを感じた((
鼻血。鼻血が……、、 こんなんさ、ペンが増えちゃうぞッ😬(